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0128.ロイヤルファミリー

「こんな所で立ち話も何だ。わが王宮への招待を受けてもらえるかの? タカ、ぬしは異界人じゃ。断っても誰も何も言わん。吾輩にもタメ口上等じゃ。そっちの方が吾輩もうれしいの」


「分かりました陛下。じゃあ、ハムんちによらせてもらおうかな」

「ふむ、そう来なくてはの。では後ほど王宮で会おう。先に行っておるぞ」


 そう言って、ハムは帰っていった。

 えっとなんで別々なんだ?


「ささ、タカ様、蒼天の剣のお二方。こちらへどうぞ」


 俺達はオープントップの馬空車に案内された。


「もしかしてこれって!」

「もしかしなくても、これはパレードだな」

「あちし達もするんなましな。なかなかのやり手やねえ、魔人王様は」


 まあいい、座って手を振っていればそのうち終わるだろう。

 二人は流石に慣れているのか淡々と馬空車に乗り込みこ、周りに笑顔を振りまきながらちらも見ずに話を始めた。


「タカは、第一種国賓証明書を持ってるくらいだから、王族と関係が有るのかな位は思っていたが、まさか魔人王その人と知り合いとはな。どうやって知り合ったんだ?」

「ああそれはね」


 と沖縄での話を二人に説明した。


「なるほどねえ、やはりゲレナンドは異界への転移を実現していたか」

「俺からも聞きたいんだけど、どうしてこの世界で異界人は、こんなに自由な感じなの?」


「ああそれか、どうも、この世界には様々な異界人が流れ着く事が多いらしくて。こちらの制度を押し付けると、いい奴ほど悲惨な結果になったらしくてな。それは、余りに非人道的で、非生産的で、可愛そうだしね。彼らのほとんどはただの被災者なので、邪悪な異界人と断定される者以外は犯罪などを起こさなけらばほとんどの制約を免除する。と言うのが一般的になったらしいんだ。まあ、これが適用されない国も無いことは無いので気は付けた方がいいがな」


 そこまで、異界人の事を考えてくれているとは凄いな。

 そんなにも迷い込んでくる異界人が多かったと言う事か。


 人がごった返す沿道を、踊りと演奏に付いてゆっくりと進んでいく。

 蒼天の剣への声援もあるが。


「キャータカー! こっち向いて―!」

「おおっ! こっちを向いたぞ。タカー、ようこそーゲレナンドへー!」

「おお、あれが王様を助けた英雄か!」


 などの声が混じった歓声も凄い。

 本当に人気者になってるんだな。


 しかし、これって王宮とやらに何時着くんだ?

 心の中ではげっそりしながらも、笑顔を作り手を振りながらパレードは続く。


 そして、俺は気づいた、もしかしてこれって凄く気持ちいいのではないだろうかと。

 日本では正体ばれイコール身の置き場が無くなる。


 だがこちらではどうだろうか? 

 すでにこの国ではほとんど正体ばれちゃってるんじゃなかろうか? 


 そしてこの歓迎ぶりである。

 俺の目立ちたがり屋欲求が凄く、くすぐられる。


 でもちょーっと長すぎる拘束の様な気もするな。

 デメリットはその位?


 いや、目立つことで危険と向い合せられる可能性も高いのかな。

 周りには強い魔物はいっぱいいるわけだしね。

 でもこうやって目立つのは嬉しいな。


 暗くなる頃にやっとパレードが滞りなく終わった。


「ふう、やっと終わった~」

「なんだか、タカ途中から嬉しそうだったな。どうした心境の変化だい?」

「いや、俺ってさー目立ちたがり屋だったなって思い出しただけなのさ」


「なるほどねー、色々な事件を裏でこっそり解決していたから、目立ちたくないのかと思っていたよ」

「まあ、アンスラルドで目立った場合、どうなるかは未だにはっきり分んないからね。危険は避けるのさ俺。それに、こっちの政治にはかかわる気はないよ。所詮異邦人だからね」


「ふむ、正しい意見だなそれは」

「そうなしねえ、あの国は少し怪しい所がありそうなましから、それが正解なましかもね」

「ささ、こちらへどうぞ」


 馬空車のドアが開けられ王宮前におりる。


 すうーっと見回すと、とんでもなく大きくて目立つと言うわけでは無いが、豪奢な作りをした、気品ある王宮だった。

 壁面にはバルコニーが多くあり鉄傘があるのは対空用施設かな? 


 さてこれから謁見の間みたいな所で、でも会うのだろうか? 

 明日も学校あるから、余り遅くはなりたくは無いのだがな。


 と思いながら案内に付いて行くと、応接室の様な居間の様な所へと案内された。


「よおっ、タカ、お疲れじゃったな。すまんな、国民の人気者でしかも国賓故に、パレードしないわけにはいかなかったのじゃ。吾輩をゆるせよ」


 そこには先ほどの金ぴか衣装ではなく、ゆったりとした絹っぽい衣装に着替えたハムが待っていた。


「ああいいさ。それ程苦痛でも無かったさ」


「そうかそうか、やっぱりタカは良い奴じゃの。では、吾輩の自己紹介と行こう。吾輩はハムド・マジックールⅢ世じゃ。そしてあちらに並んで座っているのが吾輩の家族じゃ。右端に居るのが正室のモリーリャ」


 王妃もドレスとかでなくて肩の凝らなそうな軽めの衣装だ。


「モリーと呼んでね」

「木戸貴志です。タカとお呼びください」

「次が長子のマーロウじゃ」


 王子マーロウはシャツの前ボタン外し着崩した上体を斜めに向けている。


「よろっ」


 と軽く手を挙げ少しきつい視線を俺に浴びせのたまう。

 どうやら俺の事がお気に召さないらしい。


「ふんっ、そいつ本当に親父を救ったのか? ほとんど魔力を感じないぞ。悪魔を眷属にとか親父も法螺が過ぎたな」

「マーロウ失礼だぞ!」

「へーい」


 長男は大人に見えるが、どうやらまだ反抗期のようだな。


「次が長女のモーラだ」


 彼女はシックなドレスに見えない事もないいでだちだ。

 なぜか胸の部分だけは大きく開いている。

 目のやり場に困るって。


「タカ様、よろしくですわ」

「こちらこそよろしく」


「まあ、まだたくさんいるのじゃが、今日は、これだけじゃ。後は離宮に居たり、留学していたりじゃ。まあ、その内にな」


 俺はシンディとマリーの方をちらと見た。


「おほん、蒼天の剣の二人には、前に紹介が終わっとるな」

「はい、陛下」


 そうか、この二人は初めてってわけでは無いのか。

 年齢の紹介は無いらしい。


 まあ、されても分からないか。500歳越えのハムも10台に見えるし、皆500歳以上でも俺は全く驚かんね。


「堅苦しいのはここまでじゃ。タカは学生との事だからあまり遅くはなれんじゃろうが、夕食を食べながらでも色々と話をしたいの。おっと、食べて帰るだろう」

「そうだな、そうするよ」

次回更新は明日になります、よろしくお願いいたします。

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