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0125.ゲレナンドへ 

「いやー、すまんすまん。俺達としたことが情けない。しかし、恐ろしいダンジョンだな。さすがの俺達も、あんなところで寝てしまっては全滅するよ。タカ、速やかに連れ帰ってくれてありがとう」


 次の日の朝、シンディさんは苦笑しながら謝って来た。


「いや、まあ。あそこで放っておくほど鬼じゃないです」

「まさか、あちし達がタカの言うレベルアップに耐えきれず寝てしまうなんてなし」


「そう言えば運ぶとき俺達の躰触ったんだろ! 正直にいえよ! どうだった?」

「いやその」


「俺より強いタカなら触ってもいいんだぜ」

「タカはんはいやらしいなし。あちしの胸揉んだなしね。気持ちよかったなし?」


「いいえそんな事してません!」

「なんでしなかったなしか? あちしには魅力が無いなしか?」

「いっいえそんな」


「はっはっは奥手だなタカは真っ赤になったりして。冗談だ冗談!」

「(なんであんなチャンスで触らないなしか? あちしに興味が無いなしか? それともホモなしか?)」


 いやマリーさんは冗談じゃ無さそうなんだが? 何かトラウマでもあるのか? 

 そして俺は決してホモじゃない!


「俺、午前中休むので。出来たら、二人を連れて飛竜便とやらに乗れるといいんですが」

「飛竜便は結構な本数出ているし、きっと大丈夫だろう」


≪昨日はどうも、みっともない事にすっかり寝込んでしまって≫

≪もう、大丈夫なんですか?≫

≪まだ、体の節々は痛いが動けないほどでもないよ≫

≪いやあ、心配かけたねえ≫


 ピーとビィも今朝は起きてきたようだ。


≪あっ、紹介するよ。二人をゲレナンドに一緒に送っていく、シンディさんとマリーさんです≫

≪シンディ・です・よろしく≫

≪マリー・です・よろしく≫


 二人は片言の様な話し方だ。


≪こちらこそよろしく。俺がピーです≫

≪よろしく、僕がビィです。なんかどこかで聞いた名前だなあ?≫

≪そうだなあ。どこで聞いたっけ?≫


 二人は蒼天の剣だと気づかないみたいだ。

 シンディさん達も別に正体をばらす気が無いみたいだし俺も黙っていることにした。


 少し意地悪そうなシンディさんの表情。

 そっちの方が面白いといった企みがあるのかも? 


≪じゃあ、朝食を済ませて早く出ましょうか≫


 今日の朝食は、ご飯にみそ汁、焼き魚と純和食であった。

 みそ汁を一口。


「おおっ、おいしい。アン、ニノ、二人とも腕を上げたな」


 出汁がよく効いていてみその風味もいい。


「みそ汁はアンが作ったニャ」

「おらは魚を焼いただ」


 焼き魚も一口食べてみる。


「うん、美味しいぞ」


 ほくほくしていて塩加減もばっちりだ! 


「ありがとうごぜえますだ」

「ほんとに美味しいな」

「そうなましな」


 ピーとビィも必死に食べている。


「おはようさん、美香やで」

「おはよう美香」

「ふわぁ~あ、おはよう」


 妹も遅まきながら起きてきた。


「昨日遅くまで、芽衣と話し込んじゃって、寝坊しちゃった。てへっ」


 いつもあざとい妹である。


 ケイとガウはほぼ休みなくL.T会の皆さまとレベル上げをやっている。

 昼夜問わず。

 学校や職場を休んでまでシフトを組んでやっているらしい。


 ちょっとやりすぎじゃなかろうか。

 おかげで最近二人の姿も、L.T会の皆もほぼ見る事が無くなってしまった。


『ケイ、そっちは大丈夫なのか?』

『はい問題ありません。皆さん順調に強くおなりです』


『ガウは大丈夫なのか』

『ポキも大丈夫ですビャ。ポキもケイもこの程度では、疲れないビャ。会員の皆が無理してないかの方が心配ビャ』


『そうか、無理はしないように』

『はい』

『はいビャ』


 順調か。

 一体どこまで鍛える気やら。


 美香達も実力的には第三層に行ける位にはなって来てるし。

 今なら、吸血蝙蝠ぐらい俺や、眷属の皆や、シンディさん達が居なくてもすぐ殲滅できそうだな。


 会の皆もきっと美香や妹たちくらいまでは強くなりたいのかもしれないな。

 なぜ成りたいかは俺にはよく分からないが気を付けてやってほしい。


「≪食事が終わったら、行こうか≫」

「そうだな」

≪よろしくです≫


 アンスラルドに転移すると。


「へい、タクシー」


 とシンディさんが走っている馬空車を止めた。


「飛竜港まで頼む」

「さあ、皆乗るなまし」


 えっと、この世界にもタクシー有るんですね。


「はっはっは、場所が分からない時はこうするのが手っ取り早いぜ」


 ああ、シンディさん達も場所分からなかったんですね。

 でも助かるな。


 俺だと、やはり異世界だし構えてしまうよね。

 常識というやつが全く分からないからな。


 タクシーに乗り込み、約15分で大きな川の横に、大きく立派な建物と広い敷地の飛竜港が見えてきた。


 滑走路はなさそうなので、空港とはまた趣が違う。

 その代わりに大きな竜舎が有り、籠と言うかゴンドラ? カーゴ? の倉庫が並ぶ。

 それに比べると発着場は狭く感じた。


「飛竜って、大人しいんですね」

「いやまあ、ここの飛竜は魔獣じゃないので、そうとも言えるが。魔獣じゃなくても野生の飛竜は獰猛だぞ」

「卵から孵して、徹底的に人にならすなまし。飛竜は賢いから、言葉も解するようになるなし、そうなれば可愛いもんなし」


「それでも事故は有るけどな」

「人でも虐待すれば反撃するなしよ」

「まあそうだな」


 発券窓口に皆で並び順番が来た。


「どこまでご利用ですか」

「ゲレナンドに」

「では、皆さまの身分証明書をお出しください」


 俺はハムにもらった身分証明書を用意し、シンディさん達も用意した。

 あれ、鳥人族の二人は持ってないはずだけど大丈夫なのか?

 受付の人は、証明書を受け取って一瞬驚いた顔をしたが、口を押え、何とか大きな声を出さず取り直す。


「えっと、勇者協会主力、蒼天の剣様と、ゲレナンド王国国賓タカ様ですね」


 彼は冷や汗を流しながら。


「そちらの鳥人族の方々の身分証明書をお願いします」


 と続けた。


「彼らは、不当に拉致された者たちだ。よって、証明書を所持していない。我々が、彼らの国元に連れ帰る。問題が有るのか?」

「いえ、とんでもありません。こちらで確認いたしますので、そちらの待合席で少々お待ちください」


 ほう、突発的な出来事のはずなのになかなか的確な判断だな。

 流石プロ。


 座って待つこと数分。


「タカ様、大変お待たせいたしました。確認が取れました。ピー様とビィ様で間違いありませんか?」

「はい、間違いありません」

「では、料金はこちらになっております」


 俺は支払いを済ます。

 受付さんは券をさしだし。


「タカ様、シンディ様、マリー様、ピー様、ビィ様、当社の飛竜便をご利用ありがとうございます。今回は政府の意向により特別席をご用意いたしました。ごゆるりと空の旅をお楽しみください。ありがとうございました」


 おお! えらくサービスいいな。

 特別席ってどんなんだろうな?

 楽しみだ。



「本日、第一種国賓証明を持ったタカと言う者が、蒼天の剣の皆様と我が国へ入国する飛竜便への搭乗手続きを行っているそうですが、どのように対処いたしましょう」

「我が国に来る国賓だ。丁重にもてなすように伝えろ。そして歓迎式典で蒼天の剣ともども派手にもてなすのだ」

「はい、分かりました。そのように手配いたします」

次回更新は月曜日になります、よろしくお願いいたします。

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