0124.英雄もレベルアップ
「ほほう、ここは湿地帯か。ここまでは協会が隠し持つダンジョンと基本構造に差異がないな」
「なしてけど全く難易度が違うなましな。これは、只の沼じゃないなましやろ?」
「はい毒の沼です。ちなみに目の前のは麻痺の効果がでます」
「探知では分かり難いなましな。言われてみてやっと探知でわかったなし」
そうこう言ってる間に奥の方からホブゴブリンの群れが迫ってくる。
「ここも入り口でこれとは、難易度がおかしいな。このダンジョンは」
「まあ、あちし達の敵ではないなましが、協会のダンジョンなら第五層レベルの敵なましな」
「ああ、第三層でこれとは、次の層が恐ろしいな」
「タカはんは、何層まで攻略できてるなまし?」
「今、は第五層を攻略中です」
「マリー、まあまずあのホブゴブリンを殲滅しよう」
「あい、なまし」
「いくぞ、旋雷」
「あい、あちしもやるなしよ。聖炎波」
今までにないほど多く集まっていたホブゴブリンは、今の一撃でほぼ全滅だ。
「おっ、少し残ってしまったか」
「シンディはん、後はお任せなし」
「任された」
シンディさんは背負った長剣を抜き放ち、残ったホブゴブリンを殲滅して回った。
剣を振り、次々とホブゴブリンを仕留めるシンディさんは凶悪ではあるが、その洗練された動きはとても美しく見えた。
そうだな、シンディさんに剣を習ってみるのもいいかもしれない。
今までは我流で力任せに振っていただけだからなあ。
後で聞いてみようかな。
「なにをボーっとしてるんだ。先に進んでくれていいぞ」
「はいっ、こっちです」
俺達は第四層に向かって進んでいく。
「あそこから先が、第四層か?」
「きっと、そうなましな。あっちと同じならきっと寒いなし」
俺は第四層に入っていくが、マリーさんが警戒して第四層への入り口から少し顔を出し眺める。
「吹雪すごいなしな! 気温もあきれるほど低いなまし」
「なあ、マリー。強くなってきて、眠くなってこないか?」
「確かに眠いなまし。ここの魔物からは強い魔力を大量に吸収したなましからそのせいなしね」
「なあ、タカ。極寒の地に入る前にいったん休憩にしないか?」
「そうですね、レベルアップしたなら、いったんベースに帰って休憩にしましょうか」
「帰るって。どうやって?」
「空間接続しますよ」
そう言って俺はベースの居間とここの空間を繋ぎ穴をあけた。
「すごいなまし。本当に空間が繋がってるなまし!」
「すると、あの空間を繋ぐ魔道具は、タカが作ったのか?」
「ええ、まあ」
「俺らの世界に暮らすなら、それだけで、もう一生遊んで暮らせるぞ。たとえ、どんなにお前が長生きでも」
「今の所あっちで暮らす気は無いんで関係ないですよ」
「まあ、長い人生だ。今はそれもいいだろう」
「そう言えば、鳥人はんたちもゲレナンドに連れて行かななりまへんなしやろ」
「ああ、タカの能力が有ればいつでもここに来られるだろうから、休憩したらすぐ行くか。鳥人さん達をいつまでも待たすわけにはいくまい」
そう言うので、鳥人達の部屋を訪ねた。
しかし、部屋をノックしても返答がない。
食堂にも居間にもいなかったけど、まさか外に出てるんじゃあないだろうな。
と思ったが、探知には部屋の中にいると出る。
そう言えば二人のお世話もアンとニノに任せていた。
なので二人に聞いてみる事にした。
「アン、鳥人の二人はどうなっている」
「二人とも全く起きてこないニャ」
えっ、いくら何でも昼もかなり過ぎてるぞ、まさか病気にでもなっているのか?
≪おい大丈夫か≫
ドアをドンドンと叩くが、反応が無い。
≪開けるぞ、無事か?≫
ドアを開け、部屋に入った。すると鳥人兄弟は二人ともベッドに横になっていた。
≪どうしたんだ? 大丈夫か?≫
≪(ああ、タカさんおはようございます)≫
≪(おはようです)≫
声がとても弱々しい。
≪二人ともどうしたんだ、病気か?≫
≪(いや、病気じゃないんだ)≫
≪だったらどうしたんだ≫
≪(それが、筋肉痛と魔力使用の疲労で、話すのもしんどいんだ)≫
≪(恥ずかしながら指一本動かせねえ。すまないが、明日までこのまま放っておいていただくと助かる)≫
≪(ああ、ご飯なんかも食べられないから、いつつっ)≫
なっなるほど、昨日飛びまくった反動が出ているのね。
いくらうれしかったって、急に張り切るから。
≪分かった。ゆっくりしてくれ、話させてすまなかったな≫
と返しドアを閉めた。
「タカ凄く流暢に鳥人語話せるんだな」
「ええ、たぶん吸血鬼か悪魔の知識の中にあったみたいで」
「あちしらは、所々しか解りまへんなし」
「じゃあ、ゲレナンドに出発するわけにはいかないな。ダンジョンに戻ろうぜ」
と嬉しそうにシンディさんは言った。
「あの吹雪はどうやって防ぐんですか?」
「我々を舐めてもらっては困るな。この服は君たちの装備に負けはしないよ」
「それは失礼いたしました」
ヘルメットとか帽子とか無いけど、防げるのか。すごいな。
「俺達のは、オーダーメイドの特別性だからな」
そうだよね、あの世界最強のパーティだもんね。
「タカたちのも、そのうちオーダーメイドしてもらえばいいなし」
なるほど考えておこう。防具って大切だしね。
ヘルメットを忘れずに持って、第四層に向かった。
「おお、凄いな。気温の低下が協会のダンジョンとは全く違うぜ」
「ちゃんとした装備が無ければあっという間に凍ってしまいそうなましな」
「俺達も顔出しでは中ほどまでも進めなかったよ」
「この中に生身で入ったなましか、普通の人間なら即凍死、良くても酷い凍傷になるなしよ。流石の再生力なましな」
やはり、アンにはかなりの無理をさせていたんだろうな。
こんな事が無いようにしなければな。
「おっあそこにアイスウルフの集団が居るぞ。やってしまおうぜ。マリー」
「あいなし。敵多いなしな。ここ」
何故か普段より格段と数が多いぞ。
ちょっとの間来て無いから増えたのかね。
でも最初来た時の何倍かは来てるぞ。
ここまで居なかったよな?
アイスウルフは素早いため後衛のマリーさんも素早く動き回る。
するとごついはずの服と防具を兼ねた装備なのにバイーンと胸が大きく揺れていた。
俺の目は思わずマリーさんの行方を追ってしまう。
なんて柔らかそうなオッパイなんだ。
二人が目の前で戦っていると言うのに淫欲が露出しそうだ!
結果殲滅はしたが、異常に狼の数が多かったので二人はパタンと氷原の中で寝こけてしまう。
かなり負担がかかったみたいで熱も高い。
だが回復力が高いのか命の危険まではいってなさそうだ。
すぐは目覚めないだろうからベッドにでも寝かせておくか。
こんな所に放っておくわけにもいかず俺は二人を担いでベースに帰ったのであった。
もちろん多少の役得はあったよ。
触ったわけじゃないよ。担ぎ上げただけだ。
しかし柔らかかったな、うん!
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