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0119.警備事務所で

 俺が鳥人達の通訳を行った結果。


 彼らはゲレナンド王国の国境付近で探索をやっていたところを魔獣と間違えられて捕獲されたらしい。

 考えてみれば魔獣に間違えられたなら、殺されていても不思議は無いのだから、実は運が良かったのかもしれない。

 そして、自国であるゲレナンド王国に帰る事を望んでいた。


 だが言葉の通じない彼らでは、交通機関などを使う事も出来ない。

 この国の人間が付いて行ってフォローしたくても言葉が通じないんじゃ無理があるとか何とかが問題になって。

 交通費は出すので勝手に帰れ的な話になろうとしていた。


「それは無いんじゃないかなあ、勝手に連れて来ておいて!」


 俺はとうとう耐えきれなくなり、話に口をはさんでしまった。


「しかし、我々では色々と、無理が……」

「ゲレナンドに支援を頼めばいいじゃないですか?」

「それがですね。上の方がきっちり断ってしまっていてもう無理なんですよ(それでいて私に丸投げなんだから。ちくしょう!)」


 この人もまた随分溜まっている物だな。


「分かった俺がフォローしよう。だが本来、君たちの仕事を代わりにするのだから、報酬はちゃんとしたものが欲しいな」

「はあ、そうですね。あなた様にはすでに通訳をやってもらっていますし。規定額でよければ、込みでお支払いいたします」


≪俺がフォローするとなると、余り早く帰れはしないが、それでもいいか?≫

≪我々だけで放り出されて魔獣として処分されるよりはうんといいよ。時間は良いのでお願いします≫

≪お願いします≫


「彼らもそれでいいと言うので、それで」

「分かりました。必要な書類や処理をしますので、明日以降に来ていただければ。彼らと他3人までの旅費込みの経費と報酬を用意しておきますので、彼らとまたここを訪ねてください」


 ほう、先払いでくれるのか? なかなか信用度が高いな。

 協会主力の証明はそれだけで相当効力があるようだ。


「では、明日」


 俺は鳥人族の二人を連れて警備事務所を後にした。


≪大変だったな。それで二人はどこに泊まってたんだ?≫

≪あの、警備事務所の一室の机の上に布団を敷いて、ここで寝てくれって≫

≪ああ、それは、また大変だったな。食事は何を食べるんだ?≫

≪いや、こんな風体でも俺達は人なんだ。食べるもんにそれほど変わりはないんだ。だから事務所にいる間の食べる物は、まあ何とかなっていたよ≫

≪それだけが救いだったよね。魔獣として扱われていた時は、生肉ポンだったもの≫


≪そう言えば紹介がまだだったな、俺はタカ、君たちは?≫

≪俺はピーだ≫

≪俺はビィだ、よろしくな≫

≪こちらこそよろしく≫


って名前、解り辛! 

もっと何とかならなかったのだろうか?

まあ、見分けはまだつかないしどうでもいいか。


≪ああ、ギルドでも心配してるんだろうな?≫

≪ギルドって?≫

≪ああ、この辺にはギルドないのか。田舎な事はあるな≫

≪ギルドと言えば冒険者ギルドさ≫

≪これでも俺達は冒険者ギルドのC級冒険者なんだぜ。ギルドからの依頼で探索中にこれさ≫


 ピーかビィかわからんが両手を半ばまで上げ言った。

 ほほー冒険者ギルドがあるのか。C級がどのくらいか分からないが。


 これは、芽衣が喜びそうだな。

 教えてやらなくっちゃ。

 でも、魔力は妹たちの方が断然大きいな。


≪鳥人族は飛べないのかい?≫

≪いや、飛べるよ。だが、鳥程には飛べない。見ての通り体が重いから≫


 なるほどねえ。


 さて、こいつらどうしようか? 

 言葉が通じないんじゃその辺りのホテルに放り込むわけにもいかんだろうな。


 ゲレナンド王国ってどのあたりなんだ?

 それすらわかんないや。

 そう言えばケイが地図を覚えたって言ってたっけ。


『ケイ、聞こえるか?』

『はい、聞こえます。どうされました』


 ケイ達には、他の皆のレベル上げに付き合ってもらっている。L.T会会員もレベルアップを希望しているため、ケイとガウは、ほぼ休みなくレベル上げに付き合っている。

 苦労を掛けるなあ。


 まあ、ケイは自業自得感がないわけでは無いが、俺の為と頑張っている。


 しかし、最悪の場合におけるこの先に予想される危機を考えてみると、レベルが上がっている者があの町に多くいるのは良い事だろう。

 まあそんなのは杞憂であるとは思うのだけどな。


『異世界の地図の知識って送れる?』

『はい、それ程正確ではありませんが地球に比べると広大な大陸内にある国と、大きい町が記載された結構情報量の多い地図ですが』

『分かった送ってくれ』

『はい送ります』


 今俺が転移出来るのはこの国とセント・ブレイブ公国だがそっちの方が遠いな。

 地道に行くしかないか。


≪二人とも俺の基地に来ないか? 転移で移動する事になるけど≫

≪それは、ありがたいです。しかし、タカさんは転移出来るんですか。じゃあ、元勇者か賢者ですか? ギルドも上位は元協会出身者ばっかりで。その中でもギルド最上位陣は転移できるって聞くし≫


≪いや、勇者協会に所属していたことは無いよ≫

≪じゃあ、自力で強くなったのか! すげー! そんな人いるんだな~。自力じゃ無理だと思ってた≫


 ああそうか、協会は引退出来るんだからそう言う人も多いかも知れないな。

 ダンジョンに行かずレベルを上げるのはしんどいだろうな。

 魔獣だと強いわりに貰える魔力は少ないし、魔物はあまり見つからないらしいし。


 ましてや上位魔物の悪魔や吸血鬼なんて、強くなってないと狩れやしない。

 厳しいな。


 強者の庇護が無いと生きて行けない世界か。

 まあいいや、魔獣や魔物が居る限りどうにもなるまい。

 纏まらなければ、仲たがいをしていたのでは、滅びるだけなのだろうからな。


 なんだかんだ言って地球も基本似たようなものだろうからな。

 人間の業は深い。


 まずは移動手段は何が有るのか? からだな。

 この際だから飛竜便とかに乗ってみたいな。

次回更新は水曜日になります、よろしくお願いいたします。

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