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0117.無敵不死身

 最近学校の様子が違ってきた気がする。

 今までほとんどの女生徒はまったく俺に関心がない風だったのに、最近は思いがこもった風な視線を感じる気がする。


 とうとう、俺にもモテ期が到来したのだろうか。

 それとも、ただの勘違い野郎なのだろうか? 


「よおっ、タカおはようだのー」

「おはよー」

「おはよう、タカ。今日も天気がいいね」

「タカ~、おはよ~」

「おはよー、あかり、樹里」


 鈴木さんと佐藤さんも熱いまなざしで俺を見ている気がする。

 ただの妄想野郎になってしまったのだろうか? 


「おはよう。ちっタカか」

「冬二君、それは無いんじゃないかなあ」

「えっ、あかりさん。すみません」


 最近冬二が冷たい気もする。


 いったいどうなってしまったんだ俺の学校生活は?

 冬二はとっとと自席に行った。


「ふうっ、どっしょもないのう。冬二はのう」

「何か知っているのか、ショウ? いったいどうしたんだ冬二は? 俺何かしたのか?」

「冬二がみっともなく逆恨みして嫉妬しているだけだのう」


 ショウはあきれ顔で空を仰ぐ。


「なんで、俺が嫉妬されるんだろう?」

「冬二の妹がのう、タカの事を格好いい素敵と言ったらしいんだのう。しかも、冬二と比べてのう」


 ああ、それなら、冬二の態度も有る程度うなずける。

 それを言われた時の冬二の顔が思い浮かぶようだ。


 またなんで俺と比べたのかね? 

 さほど違わないと思うんだが。


 俺だって杏子が俺と冬二を比べて俺をくさせば腹が立つだろう。

 冬二の奴普段は妹の悪口を言ってはいるが、あれでいて妹の事を可愛がっていたからな。


 でも腹が立つのは分かるが、それにしてはちょっとひどすぎないか? 

 他にもあるんじゃないか?


「それがのう、それだけじゃないんだのう」

「それだけじゃないって?」


 ああ、やっぱり他にもあったか。


「これは、本人にはあまり言いたくはなかったんだがのう。これを知ったらタカは調子に乗りそうでのう。だがこれを言わないと今回の冬二の態度は説明できないのう。だから言うが」


 ショウはためらいがちながらゆっくりと口を開いた。


「俺達から見ればタカは今まで、なんとなくモテていることが分かってはいたんだがのう。タカが好きだと見える態度をタカ以外に見せる娘は何人もいてよく見て無くても分かるのう。しかし誰もタカが好きだとは言わなかったんだのう。あれ程好きそうなら何人かは漏らしそうな物なんだが不思議だったのう。それが、最近タカの事が好きだと公言する娘が増えていてのう」


「えっなにそれ? そんな事態知らないよ?」

「まあ、俺達も隠していたからのう。その中に、どうも冬二がひそかに惚れていた娘がいたらしくてのう。その話を聞いた途端にふてくされてしまっているんだのう」

「あちゃー!」


 あかりや樹里も心当たりが有るのか、気まずそうな顔になっている。


 あっああ、なるほど。

 それは冬二でなくても恨まれそうな案件だな。


 しかし、今まで全くと言ってそんな事なかったのに突然なんで? 


「それは、なんだ、時間が解決してくれるのを待つしかないかなあ」

「そうだのう、冬二も付き合っていたわけではない片思いだからのう。タカが悪い訳でも無いし、そのうち忘れるんだのう」

「おはよう! なになに? 何に盛り上がってるの? おしえてよう」


 空気の読めない聖が遅刻ギリギリにやって来てまぜくった。

 そして、授業が始まるとケイが話しかけてきた。

 珍しいな学校で話しかけてくるなんて。


 俺は、授業もちゃんと聞きながら、ケイの話も聞くというレベルが上がったせいで出来るようになった器用な技を使って聞いた。


「タカ様、すみませんでした」

『ケイ、なにか知っているのか?』


 そうだな、ケイが最近忙しそうに何かしているようだったが、この件に係わっているのか? 


「前に、困っている友達をダンジョンに、と言う話をして許可をもらったのですが」


 それがいったい何の関係が有るんだ? 


「話すと長くなるんですが……」

『俺の神気がいろいろ、悪さをしていたと言うのか』

「はい、そんな感じでした」


 うっそだろう、今まで、俺は告白まではしたことは無いが、熱く見つめたりなんとなく粉かけて見たりはしてはいるんだ。


 しかし、全く良い反応が無かったどころか無視されたのは!

 俺はモテないと思っていたのは! 


 俺の神気のせいだったのか。


 それが解決された今、実は俺に好意を持った女性がたくさん行動に出始めたって。


 そりゃあモテるのはうれしいが、突然でしかも多すぎるんじゃなかろうか?

 俺はいったい、どう対処すればいいのだろうか? 


 ハッキリ言って俺の手に余る。

 多勢にモテるのもアイドルみたいで気分はいいが、一人と強く結びつく方がもっといいと思うのだが。


「彼女たちはタカ様のハーレム入りを希望していますので、全員、受け入れてあげればよろしいかと」


 えっえええ~!


「タカ様ならその位可能かと」


 ちょまって!


「L.T会の皆さまが放課後に待たれているとのことなので、参加願えますか?」


 分かったよ、俺の神気がやったことなんだ・

 仕方がない。


 いや仕方ないなどと失礼だ。

 真剣に思いを紡いでいこう。きっとできる。


 心の底から思えなければだめだ。

 今はまだよくわからないけど必ず全員を心から愛してやる! 


『行くよ』


 覚悟を決めた俺は放課後、ケイに付いて職員室の有る棟を歩いている。

 へえ、学校にこんな所が有ったんだな?


 会議室の入り口が並ぶ廊下を歩く。

 準備室と書かれたドアを通りその奥の無印の扉の先へと進むと、未来的なモニターが有る会議室に沢山の女性が待ち構えていた。

 えっなに?この熱気。


「木戸君ようこそL.T会へ。歓迎するよ」

「な、名越先生。先生も会員なんですか?」

「そうだ、ここに居る者はみんなそうなんだよ。ラブ.タカ会の会員さ」


 ええっ、L.T会ってラブ.タカ会の略なの? うわ~恥ずかしいぞこれは。


「ここにいるのは、本校の学生だけだから、会員はもっと多いよ。そのうち全員と会ってほしいな」


 えっ、谷津ヶ岳さん!

 俺の初恋の人じゃないか。

 って言うか、これで全部じゃないの? まだいるの?

 我ながらすげー。


「たーちゃんがあっちこっちで助けまわるからじゃない。反省しなさいよね!」


 たーちゃんって! そう呼ぶのはみーちゃんだけ。

 小さいころ遊んでた久良さんなのか?


「うっふっふ、たーちゃん私ね副会長なんだよ」

「ちなみに、あたくしは会長だ」


 うわ~、そう、よく見れば皆見知った顔のようだ。

 あっ、あかりや樹里もいる。

 そして、皆、我が校で上から数えた方が早い美人ばかりだ。


 俺って面食いなのね。

 そりゃあ、これだけ美人を独り占めすれば男からは恨まれるよね! 

 冬二だけじゃすまないなこれは。


 それから俺は町中の嫉妬に狂った男たちの集団に数回襲われることになる。

 独占する俺も悪いので、責任を取る為に怒るケイを止め、痛いのを我慢して黙って殴らせてやった。


 するといつの間にか無敵不死身の男として界隈で密かに有名になり畏れられるのだが、それはまた別のお話。


 ポルターガイスト? 知らんね俺は。

次回更新は明日になります、よろしくお願いいたします。

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