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0115.復活の時

「ううん、あ、皆、大丈夫だったかい? そうだ街は無事か? 祭りは無事再開したか? ううっ、俺は夢を見ていたみたいだ。赤ちゃんの頃、覚えのない優しい女性に、抱かれていた夢を。あれは、いったい誰だったのだろうか? 思い出そうとすると、頭が痛い」


 目覚めたばかりなのに思考がすぐ立ち上がってくる。

 が夢の内容はぼやけていて思い出すことは出来ない。


「お兄ちゃん! 良かった」


 妹が寝ている俺に抱き着いてきた。


「やっと目覚めたかと思ったら何言ってんねん! タカ! 頭をぶち抜かれて生死を彷徨っとったんやで。人の心配してる場合やないで」

「そうよお兄ちゃん! さっきまでマリーさんが来ていて解呪してたから、それはマリーさんじゃないの?」


 妹は抱き着いたままぐっと、まだ成長中の胸を俺に押し付け上目遣いで言う。

 ああこんな時でも俺の淫欲は加減を知らない。

 一部元気になり妹のお腹辺りに刺さる様に当たっている。

 しかし妹はそんなことなどお構いなしに体をすりすりと擦り付けてくる。


「あっちょっと杏やめて」


 いっ妹でこんな! あっあかん! みっみんなが見てる目の前でっ! 


「うんん、お兄ちゃん♡」

「まっまて!」

「いや! またない♡」

「あっ!」




 うん? またなにか記憶が飛んでる感じが?


「まー、僕らはとりあえず隠れていたんだけどね。マリーさんに会って色々説明するのもめんどくさかったんで」


 聖はなぜか多少あきれた様子で他所を向いている。

 他の皆も何かにやにやしていて変だ。

 いったい何があった? 


「うーむ、マリーさんじゃ無かったような感じなんだけどねー」

「マリーさんも魔物のスタンピード中に無理言って来てもらったんだから、お礼を言わないと駄目だよ!」

「お兄さん、元気そうでよかったー」

「そうやな」


 俺は半身を起こしてベッドに座った。


「お兄ちゃん、大変だったんだからね! ……だったのよ」


 妹は俺がもう大丈夫と確信したのか、落ち着いて詳しくどんなことが起こったのか教えてくれる。


「そうか、俺は再生阻害の呪いに掛かっていたのか。戦闘が終わったと思って気を抜いたのがいけなかったんだな。ちくしょう。皆心配かけてごめん。もう大丈夫だ。レベルアップもしたらしく力がみなぎっているよ」


「にいちゃん良かったニャ」

「ケイとガウは?」

「二人はその、マリーさんを借りたのでスタンピードを抑えに行ってるよ」

「そうか」


 ケイ達眷属には特に迷惑をかけたようだ。


『そっちはどうだ? 心配かけたが俺は無事全快したぞ』

『おめでとうございます、タカ様。こちらは敵の数が多いので先ほどまで膠着していましたが、わたくしとガウが本来の力を取り戻したので押し返し始めています』


『そうか、俺とアンもそちらに参戦する』

『お待ちしております』


「皆すまないが、行ってくる。アン行こう」

「はいっ、ニャ。アンも戦うニャ!」


 その顔はやる気に見てている。


「がんばってねー」

「もうやられるんじゃないぞ」

「そうよ、お兄ちゃん」

「がんばってきーや」


 うっわー、信用が激減してる気がするよ、


「うん、頑張って来るよ」


 俺はアンに連れられて、マク市とやらに転移した。


「あれに見えるは、蒼天の剣の二人だな」


 俺達は走り寄っていく。


「シンディさん、マリーさん」

「おっおお、タカか、回復したんだな」

「よかったなしなあ」


 あれ、マリーさんの顔が心なしか赤い気がするな。


「二人とも戦いのさなかにポカーンとして、どうしたんですか?」

「いや、どうしたもこうしたも、突然あの二人がものすごく強くなって」


「ああ、俺が回復したんで、半減してた力が復活したんですよ」

「半減って、さっきまでそうだったって言うのか?」

「はい、それがどうかしましたか?」


「俺達は超人族の中でも最強の、勇者協会でも最強のパーティなんだぞ。それを、圧倒的に凌駕するなんて! あっ、あり得ない」

「そうなまし、びっくりしたなし」

「ああ、皆進化したからかなあ?」


「しんか? なましか?」

「進化ねえ、俺達もしたいなあ。そう言えば今回俺達に借りがあるはずだよなあ、タカ君?」

「ええ、まあ」

「なら、後でお願いがあるんだが。聞いてもらえるよなあ?」

「ええ、まあ、も、もちろん」


 いったい何をお願いするつもりなんだ! この二人は?


「ふふふふふ、まあ、続きは後だ。スタンピード、殲滅するよー!」


『二人とも、魔法を放つから避けてよ』

『はい、分かりました』

『分かったビャ』


「じゃあ、まず俺が復帰後の最初の一発行くよ! 聖炎波、極大」


 俺は今の俺に出来る最大幅、最大力の聖炎波を放った。


 グゴォオオ~!


 それは、幅5㎞高さ100mの聖炎の壁が、魔物たちに向かって凄いスピードで流れていく。


「へっ! なんだこれ?」

「なにを言ってるんだ。お前が放ったんだろう?」

「でっでもこんなに大きいなんて!」

「タカ様、流石です」

「タカ殿完璧だビャ」


 二人が転移して戻ってきた。


「アン、ちゃんとできましたね」

「アン、やったニャ」

「御二方、帰ってきたか。タカの力、あれはなんだ?」

「タカ様はわたくし達、眷属のご主人様ですよ。わたくしたちの何倍も強いのです」

「そんな……、マジか? 味方でよかった」


「タカ様、地上の敵はほぼ殲滅されました。後は上空の敵のみです。パーッとお願いしますね」

「えっ、わかったよ。こうなればやってやるさ。いっくぞー。旋雷、極大」


 グワォオオオ~ビカードワッシャアアン!


 超巨大な旋雷が強烈な光と音を立てながら上空の魔物達を飲み込んでいく。


「ああ~旋雷ってあんなにも威力が出る物なんだな」

「すごいなしー」


「おい、マリー。さっきから凄いしか言わないが、大丈夫か?」

「大丈夫なし~、すごいなし~」

「いかん、マリーが壊れた」


「では、タカ様。後はわたくし達3人で残敵を掃討してまいります。お任せを」


 俺が唖然としていると3人は元気よく言った。


「おっおお、たのむ」

「いきますよ」

「はいビャ」

「はいニャ」


 3人は意気揚々と敵に向かって走っていった。

 もう敵の数はさほど多くはない。

 大丈夫だろうとは思うが、俺はもう気を抜いたりしない。

 最後まで気を抜かずやり抜こう、そう決めたんだ。


「で、タカ。先ほどの話の続きなんだが」


 えっ? ああ、俺がマリーさんに借りがあるって話ね。


「なにを、お望みですか? あまり無理なことはできませんよ」

「いや、大したことじゃない。今回の件が終わると俺達も少し長い休みに入るわけなんだが。休みにやることってあまり無いんだよな。そこでだ、タカの居る世界への案内と実力の強化を一緒にしたいなーっと、な! ほら、秘密は守るから」

「そうなまし、タカお願いなし」


 えっええー、二人が日本へ来るんですかー!

次回更新は明日になります、よろしくお願いいたします。

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