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0112.祭りの終わりに

「あーおもろかった、闘魔獣見るよりもタカの活躍の方が何倍もおもろかったでえ」


 面白いと言われるとなんだか気になるのだが、まあ、楽しんでくれて幸いだ。


「みんなすまなかった。俺が暴れたせいで闘魔獣観戦が台無しになってしまって」

「どうせすぐ出るつもりだったんだ。気にするなよ。それでさ、空いた時間演劇見に行こうぜ」


「そうね演劇いいかも。なんだか常識が違ったりしていて展開が読めないから面白いのよね」

「地球の小説なんかじゃ味わえない物があるわ」

「ねー、芽衣」

「ねー、杏ちゃん」


 仲いいな皆。

 つまり闘魔獣はもういいでいいんだな。


「なあ、タカ。あの鳥人ってピーピーとしか言ってなかったんだが、本当に人だったのか?」

「ああ、俺の中の吸血鬼の知識にあったらしくてな。何話してるか分かったんだ」

「へー便利なもんやな」


 知識の受け継ぎか、人類にもできればいいのにな。

 感情や生い立ちなどを除いて受け継げれば、発展し放題の様な気がするんだがな。


 うむ、便利過ぎて停滞する可能性もあるのか。

 誰も勉強なんかしなくなるもんなあ。

 後間違えた知識や古い知識が邪魔になる事も有りそうだ。


 などと、訳の分からない事を考えていると。

 いつの間にか演劇を見に入って、その上に見ている演劇が終わっていた。


 恋愛ものの演劇はさすがの俺でもハードルが高すぎて、全然頭に入ってこない。

 だが、皆には受けが良かったようだ。


 皆ポーっとしていて、心ここに有らずと言った感じだ。

 そんなに面白かったのだろうか? 俺には分からない。


「なーなー、あの間男おかしゅうなかったか?」

「そうだな、唐突過ぎだな。もうちょっと考えてほしいよな」

「でも、あの恋実ってよかった~。私涙出ちゃった」

「そうよね、あそこまで頑張って悲恋だったら見てられなかったわ」


 皆乙女なんだよねー。

 そんな皆の恋愛を俺は魅了の力でなんてことを! 


 ごめんね皆。

 せめて、俺は出来るだけ頑張るよ。

 それからも何軒か回り、最後にミルスが小麦の穂を撒く公園に足を延ばし、山車の上から穂を撒くミルスを見て、帰ろうとした時だった。


 俺の探知範囲内にに憎悪の塊のような劣悪魔の集団が、雲霞のごとく大量に入ってきた。

 どうやらこの山車に向かって飛んできているように感じる。


 ガガガガゴギャーン!


 大きな音が響き劣悪魔達は街の周りに張られている障壁にどんどんと突っ込んでくる。


 バッキャーン!


 あっという間に障壁は限界を迎え、劣悪魔の侵入を許してしまった。


 そして、山車に向かって魔法を打ち込み始めるのだった。

俺は慌ててこの公園の周りと街全体の上空に魔法障壁と物理障壁を展開しその攻撃を防いだが、奴らは次々と魔法を打ち込み飽和攻撃に徹するみたいだ。


 俺は展開している障壁の範囲が広すぎる為身動きが取れない。


「タカ、動けないみたいだな。こいつらは僕たちに任せな。これくらいの奴らなら皆やれるはずだ」

「しかし聖、危ないぞ」


 確かに劣悪魔達、一体一体は弱いが多すぎないか?


「うちたちは、こういった場面に備えて鍛えてるんや、まかしときいな」

「ポキ達もいるビャ」


 ブウンと言った音がするような感じで。

 アンが転移して来た。

 眷属になったのでアンも転移出来るようになっているし、意思も繋がっている。


「アンも応援に来たニャ」

「タカ様、わたくしたちもいます。お任せください」

「分かった無理をするんじゃないぞ」


 探知で読める劣悪魔達はそこまで強い存在ではなく、どうやら前倒したバオンの部下らしい。

 聖女にバオンがやられたと思い込んでいて、聖女を抹殺しその後この街も破壊するつもりのようだ。

 そんな事は絶対させない。


 ケイ、アン、ガウは転移で結界の外に出て劣悪魔を攻撃し始めた。


「数が多いわ。私たちも行きます」

「お兄ちゃん障壁をあけて」

「僕たちを信用してくれ」

「そうやで、タカ」

「分かった、しかし、だめだと思うようになる前に、必ずこの障壁の中に逃げ込むと約束してくれ」

「はいっ」


 いい返事だ。

 俺は物理障壁の一部をあけ、彼女らを外へと出したのだった。


『アン、アンは彼女らの傍で援護しながら戦ってくれ』

『了解だニャ』


「おらおらー、急急如律令、式神よ我の敵を破壊しろ」


 聖が大量な札をばらまくと、それがすべて小鳥になって、劣悪魔に飛んでいきあたると爆発していた。


「えーい、熱線魔法だ! 当たれー」

「冷凍ビームや! 砕けろ」


 ズビーム!


 各自打つ魔法が劣悪魔を減らしていく、凄いな。

 そして敵の魔法は障壁で防ぐ事が出来ているようだった。

 上空ではケイとガウが旋雷を打ちまくりその数を減らしている。


 俺の探知ではそのはるか後方の森の中に、バオンと同等な力を持った劣悪魔が様子を伺っているのが判る。


 しかし、今倒せばきっとこの大量にいる劣悪魔達の統制が崩れて周りを攻撃し始めるな。

 最後に倒すしかなさそうだ。

 もし逃がせば、またこのような攻撃を仕掛けてくるかもしれない。


 逃がさないように、探知で目標をロックしておく。

 俺はライフルを取り寄せ、焼失魔法を籠め遠くで見ている劣悪魔に照準を合わせておく。


 祭りに来ていた周りの皆もあまりの事にびっくりしていたが、ケイ達の戦いに気づき。


「この攻撃は勇者様だ! 勇者様がおられたぞ! 俺達は助かるんだ」

「するとこの大きな障壁は賢者様がいるんですね。よかったわー」


 まあ、パニックにならなくてよかった。

 ミルスが山車から飛び降りて来て。


「私も戦うわ」


 と張り切って言ったが。


「いや、奴らの狙いはミルス、君だ。障壁の外に出れば攻撃目標が変わって周りに被害が出る。だから山車の上に居てくれ」

「え~、でも、分かったわタカ。私は山車の上にいるわ。タカ、それを構えているってことは遠くに本命が居るのね」

「そうだ、必ず仕留めてやるから、安心して山車の上に居てくれ」

「うん、わかった」


 そう言うとミルスは山車に上って行って。


「皆大丈夫よ、必ず助かるわ。落ち着いて行動しなさい」


 と周りに宣言して、皆を安心させるのだった。


「聖女様もああいってるし、安心ね」

「そうだな、聖女様万歳!」

「勇者様万歳!」

「賢者様万歳!」


 とまあ、落ち着いてくれてよかった。

 空が黒く見えるほどいた劣悪魔もほぼ掃討が終わり始めると、後方にいた劣悪魔は慌てて逃げ始めたので。


「逃がすかよ」


 タッァーン!


 俺はライフルの引き金を引いた。

 ライフルの弾は火魔法と風魔法により遥かに強化された速度で超長距離の狙撃を可能にしていた。


 ボフウム


 弾は命中し劣悪魔は焼失の炎に焼かれ灰になった。


 そして、あれほどいた弱い劣悪魔もすべて滅びたようだ。












 ドシュッ!!











 俺が広域障壁を解き安心したその瞬間を狙われたらしい。

 俺の探知範囲外から放たれた魔法によって俺の頭を撃ち抜かれ、倒れたのであった。



 しかし、倒れ意識が消失するまでのわずかな瞬間、その悪意をたどりもう一発ライフルを撃つ事に成功したので、たぶん相打ちに持ち込めたはず。


 だがおかしい、再生が始まらない。


『あなたは時々変な事が抜けるのだから』


 母さんの言葉が浮かび消えていき、そして、意識は無くなった。

次回更新は月曜日になります、よろしくお願いいたします。

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