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0107.祭りの朝

 今日はアンスラルドの祭りに行く日。


 少し前の話だかミルスに招待されたのだ。


「今度私が主役のお祭りがアンスラルドであるの。泰豊祭って言うのよ。休みの日に皆で見に来てほしいわ」


 ミルスは得意げに俺達を誘った。


「ああそれは楽しみだ。喜んで行かせてもらうよ」

「うちお祭り大好きやで! ぜひ行きたいなあ」

「もちろん私たちも行きたいわよねえ芽衣?」

「うん、私も見たい」

「異界の神事には僕も興味あるよ」


「お祭りの期間は2週間あるの。皆の都合のいい日に来てね。私張り切って準備しちゃうから」

「アンもうわさに聞いたことが有るニャ。なんでも豊穣と魔物殲滅を祈願するアンスラルド最大のお祭りだニャ。凄く盛り上がるって噂だニャ。ウズラも行くニャ?」

「ぼくお祭りって初めて! ワクワクする~」


「お父様とお母様もよかったら見にいらして」

「お父さん私最近祭りに縁が無いので行ってみたいわ」

「そうだな、一度異世界に行ってみるのもいいかな。でも危険じゃないのか?」


「う~んこの街に比べるとアンスラルドは危険かも」

「ならホテルの部屋から見たらどうでしょうか? よく見える安全なホテルを紹介します」

「ならいいかな」

「お父さんありがとう」


「私は祭りの準備があるので、これから祭りが終わるまであまりこちらに来られないけどよろしくね」


 と言うやり取りがあり祭り見物が決まったのだ。


 今日は祭りの中日なのだが俺達全員の予定がそろうのは今日しかなかったのだ。


 うちの町では、祭りはとても衰退していて、いつやってるかもよく分からないほどだ。

 たぶん、やってはいるんだろう。


 しかし、あっちは信仰も盛んなのでさぞや盛り上がるのだろうな。

 楽しみだ。


 昨日はケイ達三人が進化し。

 今朝、祭りに行く前に皆に進化後のすっかり育った姿のお披露目となった。


 各自室とベースが空間接続された上、ベースのリビングから我が家のリビングとも繋がっているため簡単にうちに来れる。

 だから皆は朝早くからうちに集合していた。

 お披露目はいっぺんに行われ、三人の一様に成長した姿、特にガウに至っては無性から女性に代わっていたことも有って、みんなびっくりしていた。


 ケイは実体になれたので念願であった朝食を食べる事が出来た。


「食べるなんて7~80年位ぶりです。こんな味でしたのね!」


 と感動していた。

 味見できないのに料理上手いなんてすごいと思う。


「味が分かるようになったので、もっとおいしい料理を作れますわ」


 とも言っていたのでこれから楽しみだ。


 その後、両親にベースを案内したらかなり驚かれてしまって。


「ここ広いし、食事はこちらの方がいいかもねー。水もおいしいし」


 まあ、水は魔法産なので消毒も何も入っていないからね。


「そうだな母さん、調理用具や食器を運び込むか」


 と、肯定的にとらえてくれたようだ。


 まあ、冷蔵庫も冷凍庫もウォークインで大きいし、こちらの方が使いやすいよね。

 そうだなあ、食器棚もウォークインにして、背の高い台車が有れば、率的で楽に色々出来そう。


「ただ、ケイちゃんのお父様の土地だと言うが、やっぱり、無断使用は悪いなあ。伝手を使って、何とか買い取れないものか当たってみるよ」

「そうね、お父さんそうしましょう」


 かなり探索ベースが気に入ったようだった。


「うっわー、広いねー、すっごーい」


 ウズラもかなり気に入った様子で走り回ってはしゃいでいた。


「ウズラの部屋も用意しなくちゃな。そうそう、俺も土魔法使えるようになったから、俺が試しに作るよ」


「いや、貴志。ウズラに個室はまだ早いよ。父さんと母さんの部屋でまだいいさ」

「うん、父たんと母たんと一緒に寝る~」

「分かりました。ウォークインの食器棚で試してみます」


 よし、ここらに作ってやる。

 冷蔵室の隣りに探知を使い大きさやら形、強さを思い浮かべ、土魔法と構成の魔法をかけ合わせて発動していく。

 ズンッっと大きな穴が開きすうっと形が整えられて、あっという間に出来た。

 えっ、こんなに早く出来る物なの? 


「ほへ~、タカ凄い早い、しかもしっかりしてるやん。てか、これ、土じゃなくて鉄やプラスチックに木材まで使こうてあるで。いったいなにしたん?」

「美香、その、物質を再構成してみました」

「再構成って、それって反則やん」

「タカ、ホント神様みたいな魔法使えるようになったんだね」


 と呆れたのか、感心したのか、聖はつぶやいた。


 そっそうだよね、物質の再構成って考えてみればおかしいよね。

 取扱いに気を付けなきゃな。


「私もそんな魔法が有るなんて聞いた事もないわ」


 ミルスもかなり驚いていた。


「タカ、ならリビングの床をモフモフのカーペットにしてえな」

「分かったよ」


 俺はピンクのカーペット風にリビングの床を改善するのだった。

 すると皆リビングで、ごろごろして寝心地を楽しみご満悦だ。


「私そろそろ、準備が有るので帰るわ」


 ミルスは帰っていったので俺達も外出の準備をするのだった。


「アンスラルドの祭り楽しみだニャー。アン、前から行ってみたかったニャ」

「そんなに凄いのか?」

「あの辺りの町から人が集まって、凄くにぎやかだって聞いたニャ」

「へー、いろんな人種がいたりして楽しそうだな」


「お兄ちゃん、女の人を見に行くんじゃないんだからね!」


 妹は俺をいったいなんだって思っているのだろうか? 心外である。

 とは、言い難いか。

 今現在こんな感じだし。


 改めて皆を見てみると、ほんと美人ばかりだ。

 ちょっと前まで全く女っ気が無かったとは思えないな。


 まあ、かなりズルをした結果なので全く誉められたもんじゃないが。

 さて、祭りを楽しみますかね。


「ウズラ、肩車してやろう」

「やったー、おにいたん好き」

「ははは、さあ皆、行くぞ」

「うわーい」


 俺達はこの時の為に昨晩にはチェックイン済みのホテルの部屋に空間接続し移動した。

 ホテルの窓から外を見ると、凄い賑わいで歩く人々から熱気が伝わってくる。


「うち祭り好きやねん。この雰囲気たまらんわ!」


 ここは大通りに面したホテルなので、ここからでもパレードを眺める事が出来る。


 父さんと母さんはここのベランダから祭りを眺める予定だ。

 人込みは、満員電車だけで十分なんだそうだ。


 俺達は祭りに繰り出すとしよう。

 まあ、とても治安がいいとは言いがたいのでそれが正解なのかもね。


 他の面々はウズラを除いて、すでにダンジョンの第二階層を余裕で戦える猛者ばかりで最高級防具を装備しているので、一般人では何をどうすることも出来ないと思う。


 それにケイ、アン、ガウ、俺がいるんだ。

 よほどのことがない限り大丈夫。

 ウズラは俺がずっと肩車している予定だ。


 ここから見るだけでいろんな種族の人々が見える。

 鱗が有ったり、耳が大きかったり、背が高かったり、低かったり、千差万別で肌の色も髪の色もほんと色々で童話の世界のようだな。


「いってきます」

「ああ、私たちの事は気にしないで楽しんできなさい」

「気を付けるのよ、貴志は時々変な事が抜けるのだからね!」


 うっ、耳が痛いことを。

 しかし、真実なので。


「はいっ、気を付けて行ってきます」


 そう元気に言ってホテルの部屋を後にした。

次回更新は水曜日になります、よろしくお願いいたします。

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