0098.探索ベースも完成間近
俺達は探索ベースの駐輪場に転移した。
「おお、ちゃんとガレージみたいになってる」
「せやろ、中に入ってみーや」
入り口にドアが出来ていたので開けてみるとちゃんとした玄関の土間になっていて、土間が廊下みたいに続き横に居間が作られていた。
なるほど、昔の家みたいな作りだが、これなら居間からでてすぐ靴を履いて異世界に行きやすい。
よく考えられている。
靴を脱ぎ居間に入ると今風なおしゃれな感じのとても広い洋室にUの字の低い大きな机があり。
机の周りと机の下そしてUの字の内側が二段階の高さに穴が掘られている。
内側には椅子があり、外側からは堀机とゆっくりとくつろげるようになっていた。
凄い完成度だ。これは良いな。
色もカラフルで座ると柔らかくて高級ソファーのようだ。
「色を変えたり固さを変えたりで、土魔法って万能やね」
そうか、固くするだけじゃなく柔らかくも出来るんだね。
机の上にアタッシュケースを並べ、小さい方から開けるとそこには日本警察で使われているのと同型の小型オートマチックのハンドガンP232が入っていた。
おおっ! 予想より新型だな。
次に大きい方のアタッシュケースも開けてみる。
そこには二〇式小銃が入っていた。
まあ、自衛隊がくれるんだからこれだよね。
旧式じゃなくて最新式だからきっと性能もいいはずだ。
早く試し撃ちがしたいが、弾が一箱(20発)ずつしかない。
試し撃ちなどするとあっという間に撃ち尽くしてしまう。
「聖、弾って調達できるの?」
「それが、その、簡単には出来ないらしくて……」
「そうか、なにか考えないとな」
「ごめん、タカ」
「いや、日本で実銃を持てるだけで凄い事だよ。俺こそ聖ありがとうだ!」
俺は箱から弾を一発取り出し、眺め、探知する。
魔道具みたいな複雑な物が作れるなら精度はいるが作りがこんな単純な物、作れたりはしないのだろうか?
う~ん。
悩んでいると。
「お兄ちゃん夕食、食べに帰ろうよ」
「そうだな、皆悪かった。いったん帰ろう」
「賛成」
夕食後、皆でダンジョンに行く。
ウズラの面倒は父さんと母さんが見ているのでケイに皆を任せ、アンとガウの三人で第四層で吹雪の中、魔物を狩るが、俺は銃の事が頭を占拠していて戦いに集中できていなかった。
そのせいであろう。
探知も散漫になっていたようだ。
突然後ろの雪が盛り上がり。
「ガァーウォ」
と雪の中に隠れていて、飛び出してきた白熊に気づくのが遅れ、左腕を嚙み切られてしまった。
「ぐわぁっ! いってー、くそっ!」
すぐ焼失魔法で消してやったが腕は痛かったぞ。
「あーどじったな」
再生されている腕を見ていると、そう言えば服はどうやって再生されているのだろう?
気になり探知で魔力の流れを精細にみていると、服や腕の再構築している様がよく解る。
再構築できるなら構築も可能なんじゃなかろうか?
「兄ちゃん、大丈夫ニャ?」
「ああ、アン、ありがとう」
アンの装備はよく見ると結構ボロボロで再構築されてないみたいだ。
そう言えば、俺の装備はいつも新品同様だ。
そうか! 再生と再構築は違うんだよな。
「アンちょっとおいで」
「なんニャ」
近くに来たアンの装備の再構築を念じると、アンの装備の傷ついている所が光り再構築されていく。
「なっ何ニャ! 何で光ってるニャ? なっ! アンの服が綺麗になったニャ!」
「どうやら出来たようだな。アンの装備の再構築」
「兄ちゃんがやったニャ。凄いニャ!」
いつも以上の驚きと尊敬の眼差しでアンが俺を見上げていた。
ちょっとこそばゆい。
「ポキらが使う魔法とはまた一風違う力ビャ。神の力と言った方がいい力ビャ」
神の力だって? 何で俺にそんな力が使えるのか?
まだ、俺の事は分からないことだらけだな。
「おにいーたーん、お帰りー」
家に帰るとウズラが飛んできて抱き着いた。
「ただいま。ウズラまだ起きていたのか? もう寝ないと」
「おにいたんと一緒に寝るー」
「そうか、ちょっと待ってな。お姉ちゃんたちを送ってくるから」
「うんっ」
ウズラは明るくて元気がいいなあ。
皆を家に送りお風呂にウズラと入って寝かしつけてから、自室でああでもないこうでもないと再構築の魔法の流れを改変していく。
そしてある程度改変したら実際に弾の構築を試すを繰り返す。
ケイとガウがずっと後ろからその様子を眺めているので、ちょっと気は散るのだが、なんとか集中し魔法制御をしていると。
やっと個別の物質を思う所に構築でき始め。
「おおっ、やっとできたぞ!」
俺は無から物質の構築にとうとう成功したのだ。
さらに、物質の密度などを調整し完璧なバランスの弾を作り出すことに成功した。
「ふう」
すると、俺は落ち着いてきたのか、前にケイが見た映像を俺に見せたことを思い出しケイとガウに聞いてみると。
「眷属としては当たり前ビャ、タカ殿は、その気になれば、ポキらの視界や、もっと言えば考えまですべて見る事が出来るビャ」
「ええっ、なんだって。すると二人とも俺に対してプライバシーが守れないって事なのか?」
「わたくしは、そこまでできると初めて知りましたが。考えてみますと、そうですね、プライバシーそういった面もございますが。わたくしはタカ様に何を知られても全く困りません。それよりも眷属でいたいです」
「ポキも何も隠すことはないビャ。視界でも思考でもいつでも読み取って、使ってくれてかまわないビャ」
「タカ様、まずはテストで二人の視界を見られてみてはいかがでしょうか」
「わかった、見させてもらうよ」
ケイの視界を見ようと思うだけで、ケイの視界らしい物が俺の視界を占めた。
「おおっ、ケイの視界が見えるぞ」
これでは他の物が見えないと思い、小さくならないかな、と思うと、横長の楕円状に小さくなっていき、俺の視界も見え始める。そして邪魔にならないように視界上から出し上に並べる事も出来る。
ガウの視界をその横に並べ三つの視界を一度に認識するという、信じられない離れ業が出来た。
パソコンのウィンドウの様に重ねる事も出来るし、なんて便利な。
「わたくし、隣に行ってきますね。ちゃんと見えるか、見ていてください」
「ああ、よろしく」
そこには疲れて眠る妹の寝顔とまだ起きていて手を振るアンの姿がちゃんと細部まで確認できるのであった。
なんか、寝相が悪いな妹は。
寝間着がはだけて色々見えているぞ。
手足を結構広げて寝ているのでアンがとても狭そうだ。
次回更新は月曜日になります、よろしくお願いいたします。
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