0094.西の森
遅くなりました。お許しを。何とかセーフ?
「まてよ、もしバスラの話が嘘だったり、間違っていた場合に備えて、ケイは東に行ってみてくれ」
「はい、解りました。タカ様お気をつけて」
「もし見つければ連絡くれ。俺も連絡する」
「はい、行きます」
ケイは東の空へ飛び立っていった。
俺も蝙蝠になり西へと探知していく。
西側には広い耕作地帯が広がっており、探知できる限界のあたりに森らしきものがある事が分かる。
耕作地帯の上10m程に石油タンカーくらいには巨大なコンテナみたいなものが浮き、人が歩く位のゆっくりさでは有るが大量な収穫物を乗せ移動しているのが見えた。
コンテナの様な飾り気のない貨物船だが、上部に操船したり休憩できそうな建屋が有る。
しかし。
「凄いな! 人の気配がない。自動なのか? 食べ物が安いわけだな」
西の森、なかなか遠いな。
「あれが、森か」
見える範囲にまで近づいたが、ウズラの反応はない。
魔獣や魔物の反応は結構あるので、俺は本当にこの森の中に人身売買の隠れ家があるのか疑わしいな? と思い始めている。
ある程度森を進んでもウズラは見当たらない。
『ケイ、そちらはに何か見つかったか?』
『いいえ、まだ何も見つけていません』
くっ、騙されたのか?
と思いつつも探知の精度を上げていく。
「うん? なにか、違和感があるな」
微妙に反応がおかしい場所がある事が分かる。
“ギャース”
どうやら俺に照準をしぼったらしい魔物が威嚇する鳴き声が響いた。
かなり大きい魔物がこちらに向かって飛んでくるのが探知でわかってはいたんだが。
見逃してはくれないらしい。
「ええい、うっとおしい。やらないと駄目か? 時間が惜しいのに。むっ! 思ったよりも少し大きいな」
それは見える範囲にまで近づいてきた。
「ええっ、もしかしてドラゴン? いや、ワイバーンか。すまんが俺は急いでいるんだ。ブラドレイ」
しかし、劣化種とはいえ竜種、魔法障壁が張ってあるらしく手前で減衰して当たっても大したダメージを負っていない。
俺が突っ込んでくるワイバーンを避けると避けられたことが悔しいのか。
”ピギャー!”
雄たけびを上げ旋回し再度向かって来る。
魔物なので諦めるなど無くただただ悪意を持って襲い来る。
「くっ、効かないのか! 遠雷」
ドシュー!
“ピギャァ!”
強めに撃った遠雷はワイバーンの魔核部分を貫通し一撃で葬る事に成功した。
「ドラゴン系の魔物がいると言う事はドラゴンもどこかには居るんだろうな。いや今はウズラを探さねば」
違和感を感じた辺に接近しながら詳細に探知してみると、どうやら感知しにくいように魔法障壁を張り巡らせてあるようだ。
これでは、近くまで来て探知しないとわからない。
「怪しいな。ここが当りかもな」
俺は障壁の傍に降り立ち人型に戻る。
「弱い魔法障壁だ。物理障壁までは張られていないな」
力は弱くても巧妙に魔法障壁が張ってある。
「よくできた魔法だな。探知波は感じない。入ってみるか」
『ケイ、こちらはそれらしき魔法障壁に囲まれた場所を見つけた。そちらは、どうだ?』
『こちらは、まだ何も見つかりません』
『わかった、まだこちらも確定ではない。引き続き探してみてくれ』
『了解です』
魔法障壁の中に入ってみても探知の効きが悪い。
5m位? それ以上先の事は分からない。
まるで霧の中にいるようだ。
「気配を出来るだけ消して近づくしかないな」
魔法障壁の中心に向かってサバゲで培った技術で木に隠れながら進んでいく。
「(おっ、歩哨がいるぞ。あそこが入り口みたいだな)」
崖際の洞窟っぽい入り口だ。
さて、どうやって中に入ろうか?
気配は消せても姿は消せないんだよね。
洞窟のある崖の上に回り、体を霧水化して地面に染み込んでみたら染み込めないことは無かった。
ただ、土に染み込む感じは体が細分化されバラバラな感じで非常に気持ち悪い。
元の戻れるかすら不安になりながら染み込んでいく。
建物の壁には染み込めないから、ここは、建物扱いでは無いのだろう。
洞窟の通路だ。
周りに人の気配はない。
ボトン
と通路の床に落ち洞窟内に入る事に成功した。
むっ! 前から人の気配が。
俺は急いで横の壁に染み込んだ。
「はっはっは、今回は大儲けだぜ! あのバカな鬼人。あんなはした金で神気持ちなどと言うレアな鬼人の子供を売るなんて」
「言ってやるなよ。鬼人は最強だが脳筋なんだから。未だに忌子とか訳わからん事信じてるし」
「はっはっは、あれはいい、きっと大金貨50枚は下らねえぜ」
「しかし、世の中には変わった奴らがいて助かるよな。あんなガキにそんなに出すなんて」
「ふふふ、レアな子供を蹂躙し調教するのがうれしいんだろう。育てば強い戦力に出来るし」
「そんなもんですかねえ」
「権力には戦力が必須さ」
「それはそうでしょうね」
聞くに堪えないが、どうやらウズラを買った奴らに違いなさそうだ。
『ケイ、こちらが正解だった。すまないが、こちらに向かってくれ』
『はい、急ぎまいります』
「おいっ、見張りの交代に来たぜ」
「待ってたぜ!変わってくれ」
俺は交代した見張りの後を隠れながら付いて行くことにした。
「お待たせいたしました。タカ様」
ケイも転移してやってきた。
彼女は透明になれるのですうっと入って来る。
流石だなケイ。
「わたくしがあちらの先を見てまいります」
『頼む。俺はあいつの行き先を探る』
「はい、お気をつけて」
『ケイもな』
「はい」
見張りは少し綺麗なドアの前に立つと。
「部長、入ります」
「入れ」
と中に入るので俺も壁に浸透し中の様子を伺う。
「警邏ご苦労」
「はっ、異常ありませんでした。奴隷の搬送もつつがなく終わりルシャへと出荷しました」
「うむ、ご苦労休んでよし」
「はっ、ありがとうございます。失礼いたします」
なんてこったい!
すでに運び出されているなんて。
『ケイ、そっちはどうだ』
『見当たりません』
『どうやらすでに連れ出されてしまったようだ。外に出て追うぞ』
急いで外に向かい。
魔法障壁の外にまで出ると。
周りに沢山の人の気配がする。
どうやら囲まれてしまったようだ。
次回更新は金曜日になります、よろしくお願いいたします。
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