0090.ベースの改善
「しかし、持ち物が増えてきて部屋が手狭でかなわないな」
俺は皆と部屋に帰り部屋を眺めて銃火器の置き場を考えあぐね、つい思ったことをつい口に出してしまった。
そう、皆の装備や剣などありその上に銃もとなると我部屋では安全上も問題が有りそうな気もする。
「タカ様、そういう事であれば探索ベースの奥に隠し部屋を作ってはどうでしょうか? 障壁を張っておけば隠し部屋には誰も入れません」
ケイが良い考えが有りますと提案してきた。
「ふむ、でもそれはどうやって作るんだ? 日本円は小遣い程度しかないし、あの山って無断使用してるだけだよ?」
俺は一介の高校生だよ! 地下造成なんて無理だ。
いったどうしろと言うんだ?
「あの山はわたくしのお父様の名義です。娘の私が使うのは当たり前です。まあ、それはおいておいて土魔法が皆使えるので魔法で拡張しましょう」
そんな魔法有るんだ?
いや有ったなそう言えば。
自分では使えないから失念していたよ。
しかしそれは法律上駄目なんじゃ? とは思ったが、現在進行形で無断使用の俺がとやかく言う事ではなかった。
そして、自然属性の魔法が使える皆をうらやましく思う。
しかし大量に物を置ける場所は便利だ。
棚でも作って、ちゃんと並べておけば転移魔法の応用で異世界から取り寄せが楽にできて大きい物も運び放題になるぞ。
大きい冷蔵庫なんかも欲しくなるなあ。
ラノベで言うところの無限収納庫やアイテムボックス、ストレージみたいでかっこいい。
こんな話をしているとミルスが教えてくれる。
「土魔法には土を掘ったり固めて鉄みたいにする魔法も有るのでかなり大きい頑丈な部屋をいくつも作れますよ」
なるほど、そんな事も出来るのか!
それなら、田舎の盗賊が石の包丁を使っていたのも理解できる。
強度が上げられるなら、石器の方が鉄器より安そうだもんな。
ベース増築に対して、妹、美香、芽衣、聖、ミルスが思い思いに言う。
「お兄ちゃん私も、もう一つ部屋が欲しいな」
「うちもー」
「私も欲しいです。本棚がいっぱいで困ってます」
「僕も欲しいぞ、いつも男だらけの家で落ち着かないからな」
「私も教会以外に部屋があるのは嬉しいかな」
小山と言っても山だから広さに問題は無いなと思い俺は応える。
「各自作ればいいんじゃないかな」
「やったー!」
皆が喜んでくれた。
それならこの家の地下でもいいんじゃねと思ったが、この家賃貸住宅だったな。
なら持ち主不明のあの山の方がいいか。
突如持ち主が現れて穴でも掘り始めるまでには次の候補を見つけていればいいよね。
電気がないので異界で何か明るくなる魔道具を見繕ってみるのもいいかもしれない。
授業が5限終わりの時にでもアンスラルドでミルスと魔道具屋に行って探そう。
次の日から皆ダンジョンではなくベースに行って部屋作りを始めた。
大体の大きさの穴は俺が焼失魔法で空けておき細部の作りは皆に任せるとする。
しかし、魔力を結構食うみたいで時間が掛かりそうなのでダンジョンとベースに一日交替で行く事に皆で決めた。
だが、自然属性魔法が使えない俺は部屋をどうするかを決める時にしか役に立たず、空いた時間はダンジョンの第四層で一人レベル上げを行うしかないようだ。
ぐすん、寂しくなんかないやい!
「じゃあ、ミルスと魔道具屋にいってくるな」
次の日俺は学校が速く終わったので魔道具を見に行こうかとすると。
「うちも行きたいな」
「僕も魔道具には興味があるな」
何故か早くから家に来ている美香と同級生だから同じく早く終わった聖が絡んできた。
「仕方ない、一緒に行くか」
「やったー!」
二人は上機嫌だがそんなに行きたかったのか。
「わたくし達は探索ベースで作業をしています」
ケイ、アン、ガウは他の皆と行動してくれるようだ。
そこで、聖が話を変えてきた。
「タカ、そう言えば銃の事なんだけど。ハンドガンとアサルトライフル? は自衛隊と警察が供与してくれるって言ってたので結構早く届きそうよ。この前迷惑かけたので弾も合わせて無料だそうよ」
自衛隊と警察か?
すると20式とP230かな。まあそれでもいいや。
タダなのは素敵な事だしね。
性能的には問題ないはずだな。
「狙撃銃については、もう少し時間がかかるみたい。なぜか父さまが張り切って準備している。重くても構わんかと言ってたけど。僕、いいって言っちゃった。いいよね」
確かに力が常人のそれじゃないから重くても大丈夫だろう。
「それでいいよ。ありがとう」
しかし、重いってどんな狙撃銃だ? 楽しみだなあ。
その後、凄く上品でドレスコードでもありそうなお店にミルス達とやって来た。
「ここが私の知ってる魔道具屋よ」
中々おしゃれな感じな店だね。
中に入るとと、店員さんが。
「いらっしゃいませ。これはこれは聖女様。ようこそお越しくださり、誠にありがとうございます。ごゆるりとご精査ください」
「お邪魔するわ。ありがとう」
ミルスが言うと店員さんは頭を下げ奥に下がっていった。
高級そうだな。
魔道具って高いのかな。
「タカ、私と来たのは正解よ。勇者協会の割引がここでは効くわ。私って勇者協会と同等扱いなの凄いでしょ!」
おおっ確かに凄い。
安いのは歓迎だ。
ミルスはドヤ顔も美しい。
いつもは騒がしい美香と聖は借りてきた猫みたいに大人しい。
不気味だ。
「うちらはその辺を見てるさかいに」
「そうだな、僕らはそうするよ」
美香と聖はそれぞれに興味のある方へ散っていった。
そこには色々な魔道具が展示してある。
水が出る物。お湯が出る物。
料理用のコンロなどもある。
確かに豪奢な作りなのだが面白味はない。
見た目は電磁調理器に近く食材を直接温める電子レンジの様な機能まである。
凄い高機能だが値段もすごいので一般的には使われていなさそうだ。
最近は無意識に探知が使いっぱなしになっているのだが、探知で魔道具の構造までなんとなく分かってきた。
俺達も余裕が有れば拾っている魔物を倒した後に残る魔物の核。
魔石と言うらしいそれをエネルギーにして起動する複雑な魔法陣が何層も重ねてあり、色々な魔法が発動する仕掛けになっている。
その魔法陣をなんと俺は解析できるようだ。
吸血鬼の本能と賢者の知恵によってそれは、ほぼ自動でなされていく。
これでは技術の盗用ではと気づくころには店にある魔道具すべての魔法陣の解析は終わっていた。
そして、本能が久しぶりにつぶやく。
使える魔法陣は使え!
実力を上げれば段階的ではあるが魔道具の全て作ることが可能であると。
えっと作れるってどゆこと?
そんな能力あるの俺に?
しかし、それ以上は本能は答えてくれなかった。
たぶん使える実力になれば分かるようになりそうだ。
ふむ、魔法陣を介すれば自然属性の魔法も使えるかも知れない。
すでに解析してしまったものは仕方ないありがたく使わせてもらおう。
やったね!
だが再現できるとも限らないので照明用の魔道具と水が出る魔道具、トイレの魔道具、お湯が出る魔道具と後、排水浄化器などをいるだけ買ってベースに転移させた。
それでも皆に買った装備よりかなり安かったよ。
聖女様ありがとう。
ミルスに向かって拝んでおいた。ミルスはいったい何って顔になっていたけどね。
美香と聖は、雰囲気に押され、ほげーと周りを眺めるだけに終始し、何が欲しいとかの有ればいいとかの要望もなかった。
まあ楽しんでいてもらえたならばいいか。
次回更新は明日になります、よろしくお願いいたします。
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