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0085.案内係 : 封印されし記憶 5

 レベルが上がったせいだろうか、またフレッドの記憶の封印が解けたようだ。


「もう少しで出口だ。今は昼間だから外へ出さえすればきっと助かる」


 そうそうここからだ。どうやら前回の続きを開封できたようで、洞窟を出ようと出口に向かって急ぎ走る三人。

 出口の手前、少し広くなった所にそいつはいた。


「私は吸血鬼リコ、私のテリトリーを荒らしておいて、無事に帰れると思っていたのかい? 能天気な奴らだ。その浅はかな行動を悔やみながら死ぬがよい。死んだ後は便利に使ってやろう。あはははは~♪」


 そこに待ち構えていたのは恐ろしく冷たい表情をした真っ白な肌の女吸血鬼。


 うっわー! すげー細いのに胸だけやたらデカいぞ! 

 どうやったらあんな体形になるんだ。


 胸によっぽど自信があるのかやたら胸が強調されるデザインの服装で、生地が薄いのか乳首の形までよく分かる。

 あんな冷たい表情をしていなければ俺はきっと欲情してしまっていただろう。


「しまった、間に合わなかった。しかも最悪な事に女だ」

「だが、イムス(勇者)倒さないわけにはいかないぞ」

「最悪だわ」


「倒さず逃げるのは無理か?」

「見ろ出口をすっかり結界で閉じられている。彼女を倒さないと解除は無理だ」

「畜生! なんてこったい」


 封印が解けたおかげでフレッド(主 賢者)たちが何を恐れているのかが分かった。

 目の前にいる吸血鬼はどこかにいる真祖のお気に入りの可能性があるのだ。


 それが美女や美男子なら危険の確率がはるかに跳ね上がる。

 どう見てもあの吸血鬼は美人に相違なく。

 イムスたちの落胆は大きい。


 お気に入りの場合、真祖に仕返しをされる場合があるらしい。

 真祖が相手では勇者協会の主力であっても倒せない。


 互角に戦う事すら難しい。

 そう言った存在なのだ。


「もう諦めて戦うしかないわ! 聖光」


 メリッサ(聖巫女)が放つ、ビカーッとそれなりに力のこもった聖光が輝く。

 だが、吸血鬼の手前の膜の様な物に阻まれる。

 おおっ! もしかして魔法障壁。


「ふふふ、ブラドレイ」


 光線の様な魔法がメリッサを襲うが手前で弾かれる。


 ブラドレイは込める魔力の割には威力が高そうな魔法だ。

 これは覚えて損はないだろう。


 こちらも魔法障壁を張っている。

 なるほど魔法障壁を前に張って障壁の外に魔力をためて魔法を放つのか。


「思ったよりやりおるの」

「ちぃっ! くそ!」


 その隙にイムスが横から切りつけるが、ギンッと大きな音とともにそれも別の膜に阻まれる。

 あれは物理障壁だ! 

 両方とも魔力の流れが見えた。

 これで障壁魔法が俺にも使えるぞ。


 なんせただ魔力を集中させればいい攻撃魔法と違って障壁魔法は複雑なのでマジに覚えにくかったのだ。


「そこだあ!」


 いつの間にか吸血鬼の後ろに回っていたフレッドが物理障壁に手を当て解呪していく。


「むむ、猪口才な!」


 吸血鬼は逃げようと上に飛び上がるが。


「逃がすか!」

 

 フレッドも併せて飛びあがる。


 おおフレッド中々素早い! 

 あの動きについていけるなんて。

 その一瞬フレッドの手は物理障壁を破り、吸血鬼に直接触り、手から魔法を発動した。


「聖炎波」

「ぎゃああー! ブ、ブラドレイ」


 吸血鬼は体を焦がしながら魔法を発動しフレッドの肩を貫く。


「ぐわあっ」


 あ~別に俺は痛くはないんだが、痛い様な気になるな。


「聖冷閃」


 聖炎波に焼かれることで切れた障壁の隙間を縫ってメリッサの魔法が吸血鬼に直撃する。


「がががががっ!」


 吸血鬼の体は凍りながら燃えると言う不思議な光景とともに焼けただれていく。


「おのれー許さんぞ」


 吸血鬼はもうボロボロだが、まだ反撃を試みようとする。


「聖光」


 強烈に力の入った聖光が輝き、吸血鬼は灰になっていった。


「ふう、やれたか」

「やれたと言うか、やってしまったわね」


「悩んでいても仕方ない。報告に帰らねば」

「そうね、この後何もない事を祈りましょう」


 漆黒の槍のメンバーは疲れて重くなった足をひきずって進んでいく。


 ……どうやら今回はここまでのようだな。


 しかし、フレッドたちはとんでもなく強いな。

 あれで上から4番目の戦力帯なのか?

 なるほど、その力を持ってあの世界の人類は何とか生き延びているのだな。



 次の日皆で鬼人の村にいく。俺達を見た途端グラの奥さんが呆れた顔で言った。


「なんだい! あんたも父ちゃんと同じ穴の狢かい。善良そうに見えて食えない兄ちゃんだね」


 ははは、そう言われると返しようもない。


「父ちゃんはあのはかなさが鬼女の庇護欲を掻き立てちゃうんだよね。私もその口だが。分かっていても惹かれる物は仕方ないんだよねえ。あんたの何がそう彼女たちを引き付けるのかは、わたしにはわからない所だね」


 なるほど、筋骨隆々の鬼男たちの中でひ弱な事が逆にモテる要因となるのか。

 勉強になるなあ。


「おっやってきたな。すぐ出るかい?」


 バスラが声を掛けてくる。


「ああ、すぐ出たいんだが準備は大丈夫か?」

「ばっちりさ! なら行こう」


 村を出てバスラが走り始め、俺達はその後ろを付いて行く。


「皆すごいんだな。この俺についてこられるなんて。普通の人じゃとてもついてこられない速度なのにな」


 感心してこちらを見ながらも速度を落とさずに言った。


「山菜や何かを知りたいな。採取クエストがあった時の為に」

「そうか? 案内だからな。わかったその辺もやらしてもらおう」


 芽衣は本当に楽しんでいるな。

 まあ、考えてみれば急ぐ理由もないので、異世界情緒を楽しみ、ゆっくり探索するのもいいかもしれない。


 俺達は速度を落とし歩き始め、木の根とに生えている山菜などを収穫しながら行くことになった。


「これなんか食べられる茸だ」

「へ~こんな色なのにか」


 それは赤と黒のいかにも毒々しい茸だ。


「干して粉末にすれば風邪薬にもなる」

「バスラはんは物知りでんなあ」

「いやあ、この程度ここで暮らしていれば誰でも覚える事ですよ」


 バスラは青い顔を少し赤くしながら美香に答える。

 あの親父の子にしては女性に免疫が無いようにも見える。

 もしくは、こういった仕草がモテる要因なのだろうか?

 かなりいかつい顔であるがイケメンに見えない事もない。


「この先には花が群生している谷が有るんですよ」


 おお、照れてるように見せて、スムーズに野花の群生地に誘うとはこやつやりおる。

 えっ俺ですか全く動揺なんかしてないですよ。

 皆を信じている。


「わーすごくきれいや」

「ははは、美香さんに喜んでもらってうれしいです」


 バスラの視線が美香に集中しているような気もする。

 他の女性陣はあきれ顔でバスラを見ているようだ。


 バスラの好みは美香の様だった。

次回更新は金曜日になります、よろしくお願いいたします。

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[一言] まぁ、ぽっとでの奴には靡かないだろうねw 色々あったし
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