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0083.救出へ

 探知にオークの集落らしきものが掛かる。

 しかしその間にオークたちは居ない。

 もちろん鬼人族の反応もない。

 これはもう連れ帰られているな。


「グラさん、なんで息子さんは攫われたのですか?」


 グラさんは焦燥に駆られながらもぐったりと落ち込んでいる。


「分からないんじゃ。確かになよなよしていて女に見えない事も無いんじゃが、今までオークが男を攫うなんて聞いた事も無かったんじゃがな」


 しかも、他の女たちより優先して連れ帰っているし、何か我々にはわからない事情が有るのかもな。


 オークの集落らしきところが近づいてきた。

 木が少ないだけのただただ、だだっ広い草原だな。


 そこに(つく)ねるように、相当数のオークが肌を寄せ合っている。

 確かに何も作ったりしていない。


 掘っ立て小屋が並んでいる光景を想像していたが。

 獣と同等の暮らしを多数で行っているように見えるな。


 いや、どうも共食いが行われているようだ。

 魔獣と言われるだけの事はあり、内部のあちこちで行われている。

 増えすぎたために飢えているんだな。


 今まで何喰ってここまで増えられたんだ? 数が多すぎるだろこれ。

 班長は撤退を決意するはずだこれは。


 この群れのほとんどが雄だと思うとなまじ人型をしているだけに気持ち悪くなってきた。

 その群れの中央付近に運ばれていく鬼人の反応がある。


「ガウ、これ忍び込めそうか?」

「オークはあれで臆病な奴らビャ。何かの具合で切れると狂暴になるタイプなのビャ。上空から近づいても発見されそうビャ」


 なら女を攫わなければそれ程脅威ではない? 

 いや食料を食いつくされる危険も有るか。


 ブギイ、ブヒイ、ブヒイ、ブヒイ。


 大量にいるオークの鳴き声が聞こえ始めるまで近づいてきた。

 しかし、俺達はこの位の敵何ともないが、グラさんにはきついだろう。

 中央には大きい魔力を持った手ごわそうな奴もいるみたいだし。

 どこかに避難させた方がいいんじゃなかろうか。

 グラさんを見ると、ぶるぶると震えながら歩いていた。


「グラさん案内はここまででいいですよ。俺達はオークがパニックになって襲い掛かって来ても、逃げてもいいように。横に回り込んでから行動を起こします。最初に会ったあたりまで転移で送りましょう」

「いや、わしは息子を助けたいんじゃが……そうか、足手まといになりそうじゃな。わかった、連れて帰ってくれ」


 グラさんを転移で出会った所まで送ると。


「わしの事はいい。一人で村に帰る。すまないが息子の事を頼む」


 グラさんは半分泣きそうな顔でそう言って歩いて行った。

 俺達はすぐオークに集落まで戻る。


「よし、回り込むぞ。俺とアンが奴らの注意を引くから、ガウは気配を消して空から近寄り彼を奪還してくれ」

「はいニャ」

「了解ビャ」


 アンは人虎になり、ガウは気配を消し空に舞い上がっていく。


 鬼人の村落に暴走しないよう横に回り込むと俺とアンは大声を張り上げて、オークに向かってゆるく走り出した。


「おらー! 子供を返しやがれー!」

「ガオー!オーク殲滅だニャー!」

「ブヒイ!」

「ブブーヴォオー!」


 オークはいきなりの出来事にパニック気味にこちらに向かって走り始めた。


 よし、こっちにこい。


「遠雷」


 俺とアンはまず遠雷で向かってくるオークを全てなぎ倒し、その間に走り込んできたオークたちと接戦になった。


 いくら俺達がオークより強いと言っても多勢に無勢、噛み付かれたり殴られたり中々に辛い。

 人虎になっているアンは強くスルスルと攻撃をかわし、あまりダメージを食らわないでオークを撃退している。


 さすがは人虎、接近戦は得意のようだ。

 俺もあんな風に動けるようになりたいぜ。


『タカ殿、ウズラ君の救出は成功したビャ。しかしそちらにオークキングが向かってますビャ。お気を付けくださいビャ』


「ブウオー! ヴォオオー!」


「大きい! あれがオークキング」


 オークキングは鳴きながらアンを殴り飛ばしていた。

 アンがあんなに簡単に殴られるなんて。


「こいつ、気配の消し方もうまい。アン大丈夫か?」

「アンは問題ないニャ」


 しかしアンは20mは殴り飛ばされている。

 オークキングは返す体で俺に殴りかかってきている。


「やらせるか」


 俺は剣でオークキングの右手をズバンッ! と斬り飛ばすがすぐに生えてくる。

 すごい再生力だ!


 左手でも殴りかかって来るので左手を斬り飛ばすと治った右手で殴り掛かって来る。

 オークキングは素早いので魔法を狙い放つ余裕がない。


 ここまで接近されたのは失敗だったかな。


 オークキングのパンチはすさまじく、避け切ることが出来ない。

 掠るだけで大ダメージだ。

 段々、追い詰められていくが。


 まだ、俺の再生も後れを取ってはいない。

 が、どうしても痛みは走り体勢も崩されるので、それによって隙が出来ないように頑張るのみだ。


 剣の長さが有るのでその分だけ有利ではあるが、何せ俺には戦闘経験が足りない。

 どうしても一手二手先を行かれる。


 しかし、運よく剣の切っ先がオークキングの目に当たり一瞬怯んだ隙に、俺は何とか剣に沿って焼失の炎を発生させることに成功した。

 剣に沿って焼失魔法を出すことによって、余り考えることなく半自動で魔法を操ることが出来、隙を少なくすることが可能だった。


 オークキングは青い炎を警戒しバックステップしたが、そんなの知ったことか!


「やぁー!」


 気合を入れ全力で、オークキングを追いかけ、大上段から切り伏せようとした。

 頭を狙ったのだけど避けられ、腕を斬り飛ばすだけになってしまったが、オークキングの腕は焼失魔法のせいか再生してこない。


 オークキングが生えてこない腕に戸惑った隙に俺は剣を力任せに水平に振り抜き首を刎ね飛ばすことに成功した。

 一瞬の隙をついた勝利だ!


 流石のオークキングも焼失の炎を纏った剣で首を刎ねられてはたまらなかったらしい。

 それでも数分生きながらえていたが、探知で死亡が確認できた。


 焼失の炎で焼かねば首からでも再生し復活しそうな魔力の流れがあり。

 焼失魔法が使えたのは運が良かった。

 でなければやられていたのは俺だっただろう。


 ふう、! 中々の強さだったな。

 オークたちはオークキングが倒されると蜘蛛の子を散らすみたいに逃げ始めた。

 最初の遠雷の連打で半数以下にオークたちはその数を減らしている。


「アン、もういいだろう。撤退だ」

「はいニャ」


 俺達はガウに合流した。


「ガウご苦労さんだったな」

「何とか成功したビャ」


 ガウは気絶した子供を抱えている。


 ウズラは色は銀色だが、美人の女の子と言ってもだれも疑わないくらい可愛いい男の子だった。

 なぜわかるかと言うと全裸に剥かれていて、かわいいがちゃんと付いてることが確認できるからだ。


 いくら可愛いと言っても男の子相手に俺の淫欲は反応しなかった。

 良かった。

 もし反応したらどうしようかと戦々恐々だったよ。


 それほどまでに俺は俺を信じられなくなっていた。


 俺は上着を脱ぎ彼に着せてやり、背負うと彼は目を覚ました。


「ここは、どこ? ん~誰?」

「俺はタカ、君のお父さん、グラさんに頼まれて助けに来たんだよ」

「ああ、そういえばオークに……うえーん怖かったよー! びえーん!」


 ウズラは泣きながらも安心したようで眠り始めたのだった。

次回更新は月曜日になります、よろしくお願いいたします。

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