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0081.魔物の世界になった理由

 遺跡に新しい入り口を見つけて、美香と芽衣が興奮ぎみに話す。


「ほほう、これは何かありそうやな」

「うん、ワクワクするね」


 芽衣はワクワクしっぱなしだな。

 もっと早く連れてきてあげればよかった。


「降りてみよう」


 と俺は提案する。


 皆が首肯するので降りたらフレッドの記憶にある勇者協会の奥にあった転移装置の入り口に似た感じのドアがあった。

 おおっこれは凄い物があったな。


「お兄ちゃん、周りとは意匠がちがうね」

「超古代文明の遺跡っぽいです」


 なるほど、確かに芽衣の言う通りそんな感じにも見える。


 ドアの奥はメカメカしくてとても魔法文明に似合わない機械で詰まっている大きい部屋だった。

 入り口はきっと自動ドアだったに違いない。


 だがあちこちが風化していたり錆付いたかのように割れていてボロボロになっている。


 こんっ。


 と傍の壁を軽くたたいてみたがそれは金属とも陶器ともプラスチックとも判断が出来ない不思議な素材だった。


 室内の見た目は現代地球よりも遥かに未来的で宇宙船のコクピットとエンジンルームが一緒になっていると言った方がぴったりだ。


「しかし、大仰な機械だな。壊れているみたいだが、いったい何だったのだろう?」


「たぶんなら、ポキに解るビャ。ポキには悪魔達の記憶の一部が移譲されているでビャ。その中にこれと似たものがあったビャ。これはきっと魔力炉ビャ。次元さえ超えた周りから魔力を集め圧縮し街に住む者たちに送魔できるシステムビャ。これが稼働していれば街の中では魔道具のエネルギー源になるビャ」


 あまり会話に参加しないガウだが俺の質問に答えるべく説明をはじめてくれる。


 それは又凄いシステムだ。


「周りの次元からも魔力を集めたことでこの世界の魔力は増え続け、そのおかげでポキらの様な魔物が強くなり多量に発生することになったらしいビャ。それが約30万年くらい前の出来事のようだビャ。悪魔の感覚なので年数はいい加減かもしれないビャ」


 そうか、凄いクリーンエネルギーに見えるがそれでもメリットがあればデメリットもあったってわけか。


「それで、人類は滅びる寸前まで人口が減ったと記憶に有ったビャ」


 30万年か、言うにはやすいがその長きにわたる魔物との戦いは想像を絶する。


「よし、こんな物は見なかった事にしよう」

「そうやな、それがええと思うで」

「私はこんなSFめいた物が見られただけで幸せです」


 感動し過ぎて顔が緩み切っている芽衣はファンタジーだけじゃなくてSFも大好きなんだな。


「なんと、現状がこのような状態なのはそんな理由が!」


 ミルスはガーンと言った効果音がとても似合う表情で言ったのだった。

 30万年もの記録の引継ぎなんか無理だろうから、ミルスが知らなくて当然だろう。


「この世界に亜人が多かったり、人が魔法を使えるのは、まだ文明が衰退する前に増えた魔物に対抗しようと試行錯誤して強くなった結果ビャ」

「まてよ、その言い方だと元から魔物はいたが、亜人種はいなかったのか?」

「どちらも、少数が隠れるようにいたはずビャ」


 それは、俺達の世界に似た状態だったのかもしれないな。


「タカ殿の世界は異常に魔力が少なすぎるビャ」


 ははは、違ったか。

 でも、もし魔力が増えれば地球でも似たようになる可能性もあるわけだ。

 この遺跡は危険すぎる。


「そうとわかればさっさと移動するか」


 俺達は最初の目標である村に向かって移動し始めた。

 小高い丘を越えると、今にも衝突しそうな100対60位の二つの集団が見えてくる。


「タカ様、あの戦いをどういたしますか?」


 ケイが指さす先、丘のふもと辺りの少し離れたところで戦闘が行われ始めている。


「うちにはどっちがいいもんか分からん。タカはどう思うん?」


 美香の質問に答えようとよく見たところ、角が生えた者達、つまり鬼と豚の顔をした者達オークかな? が戦闘している。 

 見た目は魔物同士の戦いにも見えるが。

 探知した感じだと鬼の方が人の反応があり、オークは魔獣の反応を示している。

 角がある方は赤や青色の肌をしていて、まるで日本の昔話にでも出てきそうな鬼では有るが。


「鬼の方は人みたいだから、加勢するか」

「お兄ちゃん、鬼さんの方が優勢そうよ。見ていてもいいんじゃない」


 杏子はそう言うが。

 探知ではオークは悪意の塊だな。

 説得も和解も無理だし退却すらしないだろう。


 鬼の方も人数がかなり多いおかげで今は優勢そうでは有るが、再生力があるオークに対して決定力に欠けるようでそれ程実戦力に差があるように見えない。

 放っておけば鬼の方に被害者が出るだろう。


「にいちゃん、アンが行ってオークを倒してくるニャ」


 アンは可愛いねえ、俺はアンの頭をなでる。


「にゃああ~ん。にいちゃ~ん。気持ちいいニャ~」


 アンは撫でられるのが好きだなあ。

 ネコ科の遺伝子がそうさせるのだろうか? 

 でれっとたるんだ表情でとてもうれしそうだ。


「あれは、たぶん鬼人族ですね。鬼人は人類では最強の部族の一つだと習ったはずです。聞いた話だとオーガはもっとまがまがしいはずです」


 オーガとは鬼の魔物の事だろうか? 

 少しあやふやな気もするがミルスが言うなら、なるほどと思う。


 しかし、助けないと不味いように見える。

 部族が最強でも彼らが最強でオークより圧倒的に強いとは限らないから。


「いや、俺、ケイ、アン、ガウの四人で加勢する」

「分かったビャ」


 ケイとアンはこちらを見て頷いている。


「では、鬼人達を助けに行くぞ!」

「おー!」


 俺達は戦いを目指して丘を駆け下りていくのだ。

 鬼人達は魔法による攻撃をしているが、オークにあまりダメージが入ってるように見えず後退を続けている。


「よし、魔法で援護だ」

「「「はい」ニャ」ビャ」

「遠雷(小)」「悪魔砲ビャ!」


 俺達の魔法が少々体を貫いても多少弱ったようにしか見えない。

 思ったよりも回復力がかなり高そうだ。


「くっ、頭を狙うぞ」

「はいビャ」


 流石に頭を打ちぬかれると倒れるが、走っている的なので中々ヒットしない。


 後退している鬼人達がこちらに気づき向かってくる。


「助けてくれてありがとう。共闘してもらえるか?」

「ええ、喜んで」


 横から狙うのは難しかったが、こちらに向かってくるとなると当てやすい。

 勝負はあっという間に済んでしまう。


 赤い肌の屈強そうな鬼人が代表して声を掛けてくる。


「ありがとう、おかげで助かったよ。奴ら予想よりはるかに強くて困っていたんだ」

「いいえ、どういたしまして。襲われていたのが見えましたので、駆け付けさせてもらいました」

「そうですか、どうでしょう我が村によられませんか?」

「そこの村ですよね寄るつもりではありますが。何かされている途中では?」


 そう言うと鬼人族の皆、苦虫をつぶしたような顔になり横を向いた。

 おや? してはいけない質問だったのかな。


「実は、村から数人女の子がいなくなりまして、奴らの仕業じゃないかと繰り出してきていたんですが、見ての通り苦戦をしていまして」


 ほほー、だから見捨てようかと。

 そんな馬鹿なとも一瞬思うが、助けに行って全滅したのでは不味いだろう。


「我々が加勢します。救出に行きましょう!」


 俺は強く言い放った。

ゴールデンウイークも終わりますね。なんだかさみしいです。

皆様の応援のおかげでやっと、序章の場面(今は無くなっています)に追いつくことができました。

ありがとうございます。これからも頑張ります。

次回更新は金曜日になります、よろしくお願いいたします。

楽しんでいただければ幸いです。

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