1章.アラフォー、空気は是非吸いたい
ゆるふわ父と騎士然なカルミア、夕食の間観察したところ、父にとって甘えられる存在がカルミアなのだろう。
カルミアもそんな父が満更でも無さそうで微笑ましかった。
まぁ、父はゆるふわだが見た目は水色の髪に藍色の眼の涼しげなイケメンだし、イケメンに甘えられるというのは女冥利に尽きるというもの。
かつてイケメン若手俳優を追っかけていた私だ、その気持ちわからんでもない。
イケメンはイケメンというだけで正義なのだ。
そっくりな兄もイケメンになるだろう。
もう、イケメン育成ゲームと思って、兄を見守る所存です。
カルミアも多分同じ気持ちだと思う。
私たち、同士になれる気がするわ!
と、そんな感じで過ぎた夕食。
今は自室で兄と食後のティータイムである。
「まぁ、お兄様こんなにたくさんのお土産ありがとうございますわ!」
「お父様と選んだんだけど、気に入ってもらえてよかったよ、王都のものはあまりここでは出回らないと聞いたから」
「嬉しいですわ、お父様にもお礼をしなくてはいけないわね」
「今はもう、寝室にいるみたいだけど、行ってみるかい?」
「え、あ…明日に致しますわ、長旅でお疲れですもの!」
今頃カルミアとラブラブタイムだよ!この天然兄め!
「ところで、お兄様はカルミアのことをお父様からどのようにお聞きになっているのかしら?」
「カルミアかい?もう1人の奥さんと聞いていたが…そういえば、ここには他にも僕の兄弟がいるのだろう?今まで一人だと思っていたから楽しみにしていたんだ!」
100%無垢スマイルいただきました!
…え、ちょ…父よ。
嘘だろ、この険悪な関係知ってるだろ、え、もしかして父も把握していないのか?
もう事故物件だよ!!!
私は苦労してオブラートに包みながらも現状を兄に説明した。
オブラートどころかダンボールに包んだ表現しかできなかったが、貴族としての立場や平民との違いはしっかり教育されていたようで、なんとか理解してもらえた。
まだ見ぬ王都の兄の教育係、グッジョブである。
聞いたところによると、父の教育係のお子さんらしい。
父のゆるふわを省みての教育か…
とてもいい人材だ。
とにかく、滞在期間は異母兄弟には…いや、オーロラとウィスタリアは私に懐いているから大丈夫かな?
ゾティとスマルトには関わらせないようにしなければ…うん。
翌朝は四人で朝食を食べ、父とカルミアと異母兄弟たちは街へお出かけだそう。
兄は羨ましそうにしていたが、私が無理矢理この屋敷を案内する!と遮り本館から出ないようにした。
クロッカスからナイスとジェスチャーいただきました。
そして、父に次は私と兄に領地を案内してほしいとお願いしました。
父よ、私たちと出掛けられる喜びに涙するなら少しは空気読んでくれよ!
屋敷を案内した後はクロッカスと共にお勉強タイムである。
兄も教育係から課題を出されているようで、一緒に勉強してくれるとのこと。
スマルトの様に勉強の進み具合でプライドを傷つけてしまうのではとハラハラしたが、課題の内容を見る限りさほど私と変わりないように思えた。
ここでの教育はあくまでも平民向けだったという事だろうか?
それとも兄がとても頭がいいのだろうか?
比較対象がないので私にはわからないが、簡単な計算はささっとすませて、大好きな魔法のお勉強に勤しむのだ!
因みに魔法の実践はまださせてもらえない。
クロッカスは魔力量が少ないし、魔法の実技はちゃんとした魔導師に教えてもらうものだと言っていたのでがっかりである。
しかも私は希少な光属性。
教えられる人は少ないと言われてさらにがっかりだ。
水属性ならば父ならある程度教えられるのでは?と言われたので、今度父におねだりするのだ。
父は今までの負い目で私のおねだりには弱いのである。
因みに兄は父から初歩だけ教えてもらっているようで、コップの水を操って見せてくれた。
羨ましい!
凄い凄いときゃっきゃっする私に満更でも無さそうな兄のドヤ顔が可愛かったのはいうまでもあるまい。