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1章.アラフォーは美少女になる



ーーーお嬢様!


うるさいなぁ…


ーーーーお嬢様!


もう少し寝かせて…


ーーーーーお嬢様!


「ん…」


「お嬢様!お気付きになられたのですね!」


目の前にはこの世のものとは思えない、淡い青紫の髪を揺らし涙ぐむ女性、コスプレイヤーさん?いやいやそんな、寝てるところに押しかけてくるレイヤーのお友達なんて私にはいないぞ!

っていうか、部屋が私の部屋じゃないし、ベッドも私のじゃない…

そもそも昨日いつの間に寝たのかも覚えてないのだ、アラフォー女が将来に軽く絶望したところで意識が…ない。

落ち着け、落ち着け、私!ビークル!

状況の整理からしよう。

目の前の見知らぬお姉さんにとりあえず話を聞いてみようじゃないの!


「私…一体、何があったの?」


「覚えていらっしゃらないのですね?お嬢様は階段を踏み外して頭を撃ち、2日間意識が戻らなかったのです」


「え、階段……ぁ」


あー、思い出したぞ!というかやっと脳内がリンクした。

私はアラフォーOLであって、5歳の少女でもあるのだ!

いやいや、頭のおかしい子ではなく!

この5歳の女の子の中に私の意識?魂?が入っている状態なようで…

この子の名前はマリンちゃんで、お貴族様のご令嬢、今は王都にいる両親と離れて領地で暮らしている美少女なのだ!

マリンちゃんのこれまでの記憶は理解したが、肝心のマリンちゃんは感じられないのは、もしかしたら階段から落ちた時にこの子はもう亡くなってしまったのかもしれない。

その中に私が乗り移ってしまった…と。

ありがち小説みたいな展開じゃないか…まぁ、あのまま歳食って生きててもいい事も無さそうだったし、お貴族様生活っていうのも楽しそう。

まだ5歳児だった女の子の記憶しかここでの知識はないけれど、貴族階級な時点で現代の地球ではないし、言葉もなんとなく理解できるけれど知らない言語であるのも確か。

5歳児がゆえに本当かはわからないが、魔法という概念があるようで…まさかのファンタジー異世界転生的なものをしてしまったようである。

目の前の心配そうにしている女性の髪が薄青紫色な時点で地球じゃない。

もし染めてるのだとしたら、社会人としてアウトだ。


因みにこの人の名前をマリンちゃんも理解していなかったようで「おばさま」と呼んでいた。

おばさま、と様付けで呼んでいるのに、呼ばれている方は畏った話し方をしてくる…チグハグな関係性に疑問が浮かぶが、そういったことも今後情報収集していくことにしよう。


いろいろ世話を焼いてくれるおばさまに「少し眠る」と伝えると優しく頭を撫でて「おやすみなさい」とおでこにキスしてくれた。

アラフォー女にはむず痒いが、私はもう5歳のマリンという少女になったのだと思い直し、眠りについた。


身体もまた5歳児なのだ。まだまだお昼寝が許されるお年頃である。


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