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彩6




狭間に立つ人間の苦しみを

貴方は知っていますか?







忘れ去られた被害者や、


忘れ去った加害者よりも




どちらにもなれない、


中途半端な仲介者の苦しみを





貴方は、知っていますか。














無機質な電話を取って、慣れたように番号を押す。



最後の、「6」を躊躇いもなく押して、


僕は受話器を耳につけた。









長い呼び出し音の後に、


「ただいま、電話に出ることが出来ません。発信音の後に…」





お決まりの台詞を喋る、女性に向かって、




一言呟くと、僕は受話器を静かに置いた。














彩。


僕は君を忘れないよ。






例え、君が僕を忘れようと。












その日、僕がぼんやりとカレンダーを見つめていると、


ふと、今日が、僕が彩と初めて出会った日だと気づいた。












お祝い、しなきゃ。







ふとそう思い付いた。

そうだ。



オイワイシナクチャ。












僕は暫くカレンダーを見つめて、考えた。





何がいるかな?




彩が喜びそうなもの。







無難にケーキかな?

じゃあ蝋燭もいるかな?





そうか、と脚に力を込めてゆっくりと立ち上がった。



彩、君は喜んでくれるかな?


皆、君を忘れないように。



僕が、君に覚えられるように。






口元が自然と緩むのを感じた。

まるで、surprise計画で他人を喜ばそうとする、子供みたいな。










皆は、喜ぶかな。



ふと、そんな考えが頭を掠めたが、



彩が喜ぶなら、皆も喜ぶはずさ。



と思い直して、強く唇を噛んだ。




一瞬の痛みは、僕を勇気づけた。

次あたりで終わらせます。

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