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第50話 ステージの準備

 第一の問題はすぐにクリアできた。


 亀三人娘は自分たちで色々と考え、私のところに持ってきた。


 トータススリー

 トーフラワースリー

 トーギャルズ

 トーチャイルズ


 この頭の「トー」って何なのよと聞いたら、トータス族の王家だけが使える名前で、姫様から特別に許されたと言った。そういえば、そんなのあったわね。


 でも、ダメ!


 語呂がよくて、覚えやすくて、誰にでもわかりやすくて、しかも彼女たちの音楽に合ってるものにしなきゃ。


 そう私に言われてちょっと落ち込んでいたけど「そうですね!」と明るく答えてくれた。うーん、前向き! それがこの子たちのいいところよね。


 グループ名よね。

 前向きって、英語で『ポジティブ』。

 ポジティブ・トータス……ダメね、語呂も悪いし、明るそうでもないわ。

 明るいって言ったら『太陽』。太陽トータス。いやいや、トータスからもう離れましょ。

 ほかには、そうねぇ。わくわくさせたいから『ワクワク胸キュン探検隊』。……センスなさすぎるわ。

 ああん、もうっ、メイシャ~っ! なんかいいのないかしらんっ。


「あはは、探検隊って、ひど~い。……そうね、緑色だし、海の生き物だし、乙女ってことで、『グリーンマーメイド乙女隊』ってのはどうかしら?」


 グリーンマーメイド乙女隊!? うーん、ちょっとダサくない?

 グリーンマーメイド乙女隊、グリーンマーメイド乙女隊……。あら、何度か言ってたら、しっくり来たわ。

 少しダサイかなと思ったところも、彼女たちの愛嬌になりそうだし、亀じゃなくて、人魚マーメイドにしたところも、ヒネリが効いてる。もしかしてメイシャ、こういうセンスあるのかも!


「よし、君たちは今日から『グリーンマーメイド乙女隊』を任命するっ!」


 亀三人娘にそう言ったら、ノリノリで『らじゃー!』って答えてくれた。あ、いい感じ! うん、三人にぴったりかも。


 この流れで歌詞が思いつきそうだ。書いてみようかしら。


 と思って作ってみたら、15分くらいで出来ちゃった!


『出逢いはいつも偶然で キラキラ心を震わせる

 乙女心はいつの日も 届かぬ思いで泣いている

 もっとかわいくなりたいの いくつ涙を流したら

 あなたの胸に届くだろう この純情の花束が


 優しくされたら 泣きそうになる

 嘘でもいいから 夢を見させて


 Hi! 恋なんて すぐ 消えちゃうものって ママは言う

 Hi! でも 愛だって 始まりは恋なんだから!

 Hi! 奇跡さえ もう わたしのものって 信じてる

 Hi! さあ 駆け出して! 風はいつでも気持ちいい』


 実はこの歌詞、隠れた狙いがあるの。


 こっちの人たちは「愛」を大事にするけども、「恋」はないがしろにしているのよね。移り変わらないものじゃないから、ってことらしいわ。王家とか親とかへの愛ばっかりで「恋」の歌ってないのよ。


 この国では、離婚も法律で許されていないし、浮気も重罪。愛は永遠であるべきってことらしい。徹底しているわ。


 でもおかしいと思うのよね。

 愛って少し重たい印象もあるんで、アイドルのテーマはやっぱり恋!


『恋なんて すぐ 消えちゃうものって ママは言う

 でも 愛だって 始まりは恋なんだから!』


 ここをサビの頭に持ってきたのは、そういう狙い。私からしたら、そこまで大したことは言ってない。そうは思うのだけど、現実にはなかなか厳しい反応も来るかもね。

 それも覚悟の上。乙女隊の可愛さで、なんとかして欲しいところ!


 メイシャが、「マーメイドだから、メイド服にしたらどうかしら?」と言ってきた。

 メイド服、好きね、メイシャ……。

 レイナに着せようかなと思ったけど、乙女隊にしましょ。


「じゃ、レイナにはサキュバスの格好させちゃおうかしら」とメイシャに言ったら、顔を真っ赤にして、「勘弁してください」と言った。さすがにあの時のことは、忘れられないわよねっ。二人で大笑いした。


「みなさんー、歌詞書いたので、曲つけてくださいっ! 3日後締め切りっ!!」


 ハンサムボーイズだけでなく、歌手でもOK。その中から、一番いいの、選ぼうっと。

 ちょっと急ではあるけど、時間もないことだし。それに、みんななら、なんとかしてくれると信じてるっ!



 三日後、ジュゲンさんとカズくんが1曲ずつ書いて持ってきてくれた。


「ダメっす。出来なかったです……」


 張り切っていたフェルドさんだったが、間に合わなかったらしい。

 全員でそれぞれの曲を演奏してみた。


「リーダーの曲の方が良いのぉ。実に変わった曲じゃが、新しい感じがする」


 ジュゲンさんが言った。カズくんはみんなから『リーダー』と呼ばれてるらしい。呼ばれるたびに、耳が赤くなるのはご愛敬だけど。

 ジュゲンさんの曲も悪くはなかったが、重い感じがするのよね。いい曲ではあるんで、別の歌詞考えて乗っけてもいいかもしれない。


 満場一致でカズくんの曲に決まった。カズくん、嬉しそう。これで、予定の曲が全部出そろった。


 ステージまであと少し。

 すでにチケットは売り切れていた。

 ゴードンレストランでの今までのステージの評判、看板娘のメイシャが歌うという話題性。さらには、あのジュゲンさんがピアノを弾くという噂がいつの間にか広まったことも大きいのだろう。

 発売して即完売!


 アレンジや振り付けも練り直し。

 練習もいっぱいやった。クタクタになるまでやった。


 そしてとうとう、初めてのステージの日を迎えた!


お読みいただき、ありがとうございました!


ブックマークなどなど、まことにありがとうございます。

更新の励みとなっております!


引き続きよろしくお願いいたしますm(__)m

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