第25話 そこで見たもの
少し休んだことで、体の疲れがだいぶ取れた。
やはり、戦闘能力がチートなので、回復も早いのだろうか。
また助けに行くとみなに言い、おおーという歓声がまき起こる中、私はワープした。
だが、そこで見たのは地獄であった。
多数の銃弾を撃ち込まれ、全ての亀が絶命していた。
あ、じいは?
じいの姿を探す。
いた。
……やはり、銃弾を体中に浴びて。
しかし、顔は実に穏やかだった。
最後に姫の姿を見たい。
その願いが叶ったせいだろうか。笑っているようにも見えた。
みんな、痛かったろうに……。
階下、さらにその下も念のため確認したが、すべて同じだった。
姫の所に戻る。
「今回は随分と時間かかりましたね。で、助けた方は?」
姫が私に言うが、私の口はまるで鉛のように動かなかった。
もしかして、わたし、泣いてるんだ……。
次から次から涙が溢れてくるのを感じた。
今見てきた光景を話すことが出来たのは、それからしばらくしてからのことだった。
せめてもという想いで、何度も何度も往復し、亡骸を拾い集めた。
まさかこんな敵の近くに埋めるわけにもいかない。
この国にはもう、彼らの生きる場所はない。
人々の様子を伝えると、皆はどこかで新しい土地を探すと言った。
その地が見つかった時には、ぜひそこに彼らを葬りたいと。
私は、むかし笑ったり怒ったりしていただろうこの亀たちを、かなりの時間をかけて掌に乗る程に小さくした。それまで私が大切に預かっておくわ。
亀の国の男たちはこうして三々五々に旅立っていった。
で……女たちは?
トータ姫も含めて、わたしの家に居候したいと言った。
マジか?!
だいいち、わたしの家じゃないんだけども……。
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