第23話 そのころ姫は
上の階の亀のところに向かう。
同じように……やっぱり龍と亀モドキの絵を描いて、トントンと。
「はて、もうお迎えが来たのかのぉ。せめて姫の姿をもう一度見たかったものじゃが」
あ、これもしかして、仲間かな? 王様ではないみたいだけど。
「おじいさん、トータ姫をご存知ですか?」
あくまで姿を隠したまま声を掛けてみた。
「おほほ、幻聴まで聞こえるようになるとは、もはや、いよいよかのぉ。また姫様がオイタでもしとるのかな、わっはっは」
まぁ、仲間には違いなさそうね。
魔法を解除して姿を現した。
「ぬ、お主は誰じゃ?」
「安心ください。決して怪しいものではありません」
「はて、どこからどう見ても怪しいのじゃがな、ほっほっほ」
口ではそう言って笑っているが、体からは殺気すら感じる。
どうしたものかなぁ。
あ、そうだ、この水晶玉で……。
「ぬ、これはもしや姫様ではあるまいか? まさか生きておいでか?」
トータちゃん、なにやってるかしらと、私も水晶を覗き込んだ。
頭を掻いたり、お尻を掻いたり……。まぁ暇なのはわかるけども、レディがそんなはしたない。
しまいには、変顔をしはじめた。
「おおう、まさに姫じゃ、姫じゃ。その者よ、姫はご無事なのか?」
変顔でわかるなんて、まったく姫はいつもなにやってたんだか……。
「紛れもなく生きております。この国の外に、こ・の・よ・う・に・し・て・無事におります」
「このようにして」を強調してやったわ、もうっ。
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