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第2話 つかまっちゃった

 目が覚めた。


――ここはどこだろう?


 ん、手が動かん……。

 足も縛られている……?


 なんでよ?


 どうやら手足を縛られて、床に転がされているようだった。

 真っ暗でよく見えないが、どうやら倉庫のような建物の中らしい。


 きゃっ。


 真っ裸じゃないの!


 どうしてこうなった?


 ……ただ、一つだけ心配していたことは解消された。


 白い炎の人物に、胸のサイズについて注文をしていなかったことだ。


 個人的には小さくても構わない。

 前の転生の時などは、さほど大きいとは思わなかった胸だったが、肩こりに悩まされた。

 やけに頭痛がするなと思ったら、原因は肩こりで、もとはといえば胸があることだった。


 前は男性だったので全く思いもしないことだった。

 生理といい、本当に女性は大変だ……。

 そんなことをイヤというほど思い知らされたものだ。


 ただ、アイドルとして生き抜いていくことを考えると、胸があった方が得だろう。

 人目を惹きやすいということが、最もポイントが高い。


 しかし、それだけではない。

 もしかしたら、グラビアアイドルなどという道が開けるかもしれない。

 手段など選んではいられないのだ。


 さらに『若い』という感覚が、肌の張りからも感じられた。

 堅い床に転がされているのだが、反発するような弾力がある。

 これも前の転生では感じられなかったものだ。


 あ、そんなことを呑気に考えている場合ではなかった……。

 手足が縛られてるんだったか……。


 こういう時こそケットバシーに連絡して、なんとかしてもらおう。


 ……。


 …………?


 ……連絡取れないじゃん……。


 どこぞのサポセン並みだな、こりゃ。

 お客なくすわよ!


 まぁ、お客じゃないけども……。


 ドアがぎぃという音を立てて開いた。

 毛むくじゃらの大男が入ってくる。

 天井に届きそうなほどの背だ。ゆうに2メートルは超えてそう。

 熊みたいなナリで、腕なんて女性の胴まわりくらいあるんじゃないかしら。

 なぜか知らないが、頭に黄色いバンダナを巻いている。それだけでも頭は悪そうだ……。


 私の方を向いた。


「ぐふふ、相当な上玉だな」


 それはどうもありがとう。おメガネに叶ったようでなによりですわ……。


「商品ではあるが……。ぐふふ、たまらん。一回ぐらい味見してもいいよなぁ」


 ああ、そういうベタな展開になるのね……。

 さて、どうしたものかしら。


 あっ、不思議なのよね。

 転生してその体になると、思考とか立ち居振る舞いとかが転生後のになっていくのよね。

 そういう意味で言うと、今は前の転生、オバチャンアイドルが一番色濃いのかもしれない。


 もちろん、ブラック企業に勤めていた男の記憶はある。

 ただ、次第に薄れていくのだ。

 頭脳が人を操っていると考えがちだが、もしかしたら逆なのかもしれない。

 体に相応しい頭脳が出来るってことも、あるんじゃないかしら?


 あ、いやいや。

 そんなことの前に、この状況をどうにかしなきゃだわね。


 これは処女の危機ね。


 ……処女かどうかはわかんないけど。


 ちょっと、まぁ……。

 熊さん、すっぽんぽんになっちゃって、恥ずかしいわねぇ。

 残念ながら体の大きさに似つかずアソコはかなり小っちゃいようで、かわいそうに……。


 でも、実は大きさって男が考えるより、さほど意味をなさないのよね。

 女になってみて初めてわかったのだけど。


 従順に舐めるフリでもして噛みちぎって逃げてやろうかしら。

 なんとか言いくるめて、手足縛ってるのも、ほどいてもらってね。


 まぁ、ただ、そうして小屋から逃げたとしても、外の様子もわからなければ、追手を振り切れるかどうかもわからない。

 ドアを開けた途端に、団体さんに取り囲まれちゃうかもしれない。

 ……滅多なことは出来ないかも。


 一回くらいヤらせちゃって、情報を引き出してから逃げるチャンスでも伺うって方が良さそうかなあ。


 オバチャンの頃は枕営業だって、なんだってやったのよね。

「減るもんじゃなし」って男連中は言うけど、たしかに何も減らないわ。


 でもね、綺麗に見せようとか気を遣ってるんだから、その分プラスが欲しいじゃない。

 気持でも体でも待遇でも未来でも、なんでもいいと思うけど。

 打算的とか陰口叩かれるので口が裂けても言わないけど、女、男に限らず人間なんてそんなもの。

「あなたのこと『だけ』が大好きなのよ」と添い遂げるのだって、結局、自分がそうしたいっていう欲望を満たすってこと。


 そのことに気づいた上で、現実的に相手がプラスになるように気を配る。

 これが本当の真心ってやつじゃないかと思うのよね。


 ただ……、うーん、見事なまでに綺麗な体なのよね……。

 ダンスが上手いって設定にしてもらったんで当たり前だけど、腰の辺りなんて脂肪もなくてキュッと引き締まってるし。

 体全体にきちんと筋肉もついていて、自分でもドキドキしちゃうのよねぇ。


 女性になりたいっていうのは、今度こそ恋したかったし、子供をとにかく産みたいなぁって思ったの。

 オバチャンアイドルとはいえ立派なアイドルだったし、大忙しだし。それどころじゃなかったのよね。

 言い寄ってくる男はいたけれど。


 こんな体、なにかのハズミで熊さんの子供でも出来ちゃったら、ちょっと勿体ないわぁ。

 子供は産みたいけど、ナイわよね……。

 また子持ちのアイドルに逆戻りってのは、あれは辛かったものねぇ。


 さて、どうしたものかしら。


お読みいただき、ありがとうございました!


ブックマークなどなど、まことにありがとうございます。

更新の励みとなっております!


引き続きよろしくお願いいたしますm(__)m


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― 新着の感想 ―
[一言] また遊びにきます
[気になる点] 意外と勘違いしてる方が多いのですが、転生とは赤ちゃんになる生まれ変わりのことでして。この作品の主人公の場合は転生ではなく乗り移り、つまり憑依なんですね。ちゃんと憑依と表記すれば憑依モノ…
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