幕間2
今回も非常に短いお話です。
「またも、しくじったな・・・・。いったい何度しくじれば気がすむ。そんな調子では、望みはかなえられんぞ。」
黒ずくめの男が、建物の端で独り言をつぶやいていた。
夕暮れ時にいつもここで男は独り言をつぶやいていた。
それはいつもの光景になろうとしていた。
男はその角にもたれるようにして、今日も独り言をつぶやいている。
通りを歩く人々は、やはり自らの営みに従事して、男の独り言など聞いていなかった。
「しかし、この計画は見直しが必要なようだ。やはり荷が重すぎた。しかし、都合のいいことに、ちょうど運はこちらに歩き出している。計画は変更の時期だろう。」
男は自らの言葉に満足そうに頷いていた。
「お前も知っているだろう。あの男。あの男に近づけ。あの男を落としこめ、その体、使いようもあるだろう。あれだけお前の心配をしたんだ。お前の頼みなら聞くだろう。」
男は笑いを押し殺していた。
その時、小さな影が男のすぐ傍にあった。
身動きしなければ、意識されないものだったが、その影は確かに小さく動いていた。
「そうだな、お前のその貧相ななりでも、役に立つだろうよ。弟子でもなんでもいい。近づいて、籠絡しろ。」
もはや笑いをこらえきれず、含み笑いを漏らしながら、男は暗闇に消えていった。
小さな影は、それっきり動くことはしなかった。
状況が変わったようですね。