わたしの知らないわたしが死んだ。
掲載日:2016/11/03
わたしの知らないわたしが死んだ。
一帯に飛び散った血、血、血。その中央にはわたしの姿。
わたしの知らないわたしが死んだ。
そんな凄惨な光景を、虚空に浮かぶ窓を通してわたしは見ていた。
突如窓は色を失い、再び別の景色を映し出す。
わたしは恐怖を好奇心で押し殺し、窓の向こうを覗き込む。
わたしの知らないわたしが死んだ。
通学路で友人二人と談笑するわたしは、暴走車両に押し潰されてただの肉の塊へと成り下がる。
一帯に飛び散った血、血、血。ごちゃごちゃに混じった三人の肉塊。
わたしの知らないわたしが死んだ。
そんな陰惨な光景を、見ていられずに目を逸らした。
突如窓は色を失い、再び別の景色を映し出す。
わたしの目は、わたしの意に反し再び覗き込んでしまう。
わたしの知らないわたしが死んだ。
一人部屋で、何かを覗き込むわたしは、部屋の揺れに気づいていない。
はっと振り向いた時にはもう遅い。既にわたしはタンスの下だ。
わたしの知らないわたしが死んだ。
そんな無残な光景から、わたしは目を背けた。
ふと、窓の外に光を見た。
爆風が全てを意味のないものへと変えた。
最後にわたしは、わたしの知らないわたしが、わたしを覗き込んでいるのを見たような気がした。
「わたしの知らないわたしが死んだ。」




