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プロローグ
奴は必ずここに来る。俺にはわかる。
奴と何度も刃を交えた俺だからわかる。
何千人もの軍隊が相手でも倒すことはできなかった。
王国でも屈指の戦士達が挑んでも結果は同じだった。
そんな化物と俺は戦わなければならない。
どうすれば勝てるのか?
正直今でもわからない。
どんな策も謀略も奴に対しては無意味だった。
だがやらなければ。
そうしなければ、あの方をお守りできないからだ。
……もうそこまで来ているか。
俺は立ち上がる。奴の姿が見えた。
「来ると思ってたよ」
奴は答えない。
「ここで終わりにする」
俺は宣言した。奴は身構えた。
俺の最後の戦いだ。