携帯ショップ
「四角いよなー」
「四角いね」
「ここまでみんな四角でなくてもよかろうに」
「確かにスマホはみんな四角いね」
「しかしとうとう俺たちも携帯デビューかー」
「長かったねー」
「高校入学の記念にスマホ買ってもらうって少しベタだよな」
「少しね」
「星形とかあればいいのに」
「液晶?使いにくいでしょ」
「丸はいいんじゃない?」
「持ちにくいよ」
「投げやすい」
「投げないでよ」
「コースターにもなります」
「それなら四角でもいいね」
「実質ゼロ円ならさー」
「うん」
「千円おいて持って帰っても万引きにならない?」
「なるよ。それにそれは見本だし。そのままじゃ使えないよ」
「遠慮せず好きなの選べよ」
「買うのはコロ助のお母さんだよ」
「そうだよ」
「いいのかなー?僕のぶんまで?」
「俺と同じ高校きたらスマホ買ってくれる約束だったから遠慮するな」
「三年間コロ助の子守をやらされる代わりに?」
「あっ!これ薄いなー。スマホでトランプできそう」
「あまりいじくっちゃだめだよ」
「色は赤と青どっちがいい?」
「2つ限定?」
「か、黒か白」
「青か白かなぁ」
「オレンジかピンク」
「それ対になってる?」
「携帯ってどういうシステム?」
「システム?」
「なんで遠くの人の声きこえんの?」
「また根本的な。一応説明できるけどちゃんと最後まできける?」
「いいや」
「うん」
「どれがテレビ見れるのかな?」
「今のはどれもついてるよ」
「どこでもテレビみれるじゃん」
「そう」
「テレビって高級品じゃん?」
「ん?安くはないね」
「安くないのがついてて実質ゼロ円か……悪いなあ」
「悪くはないんじゃない?」
「外で電話ができてテレビまでみれる……科学はここまできたか」
「君は平成生まれだよね?」
「板前セクシーにだね」
「至れり尽くせり?」
「おおっ!これカッコいいぞ!」
「ガラケーだよそれ」
「パカッとなるのがいい」
「ガラケー……」
「カチッとなるのがいい。拳銃っぽい。スマホではこうはいかない」
「スマホは折り畳めないけどさー……」
「開いて握れば剣にもなる」
「銃にも剣にもなるかぁ」
「これはメールとかできるやつ?」
「メールぐらいできるけど色々できないよ」
「じゃあこれにしよう」
「えー」
「反対か?」
「賛成とは言い難いね」
「反対だーー!ぐらい反対?」
「そこまでではないかな」
「じゃあこれでいいということになるよね?」
「なる?」
「何もないのとこれはどっちがいい?」
「何もないならガラケーでも欲しいよ」
「じゃあ……」
「でもガラケーならスマホの方がいいよ」
「つまり要約すると」
「要約できますか?」
「俺たちはガラケーでよい」
「あー要約されたなぁ」
「お母さん!俺これー!京はこれにするってー!」
「これにします」
「日本文化を守ろうぜ」
「日本文化……うん。日本文化だねガラケーは」