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ネコタマR  作者: 和本明子
第3章 変態と電脳化対策チーム
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④ “浸食”されているみたいだが


 騒ぎに先生が駆けつけてきて事情聴取となった。

 殴られた生徒、そして突如狂変した男子の治療のために救急車で運ばれて、もはやテストどころではない。


 男子の狂変は、勉強のし過ぎによる精神錯乱という理由で片付けられたが、中間考査は一旦中止となり緊急下校となった。


 不幸中の幸いだが、純粋に喜んでいられない。真子も救急車に乗せられて運ばれていたのだ。


「あ、あれ? なんで、私も?」


 襲われた時に二階から転落したものの、ギン子の身体変化によって無傷だったので丁重に拒否をしたのだが、念のためにと強制的に乗せらてしまった。


 真子以外に、中神烈が同乗していた。外見的には何処も怪我をしていないのにと気にかかったが、


(行き先が伊河総合病院だったら、どうしよう‥‥。つい先日退院したばかりなのに)


 また病院に行かないといけないという面倒さに煩わしさを感じていた。

 やがて車が止まり、バックドアが開かれる。乗務員から促されるまま降りると、真子は「あれ?」と疑問の声を上げた。


 薄暗く、数基の照明で照らされた場所は、地下の駐車場のようだった。


 ここが何処なのかと訊ねようとしたが、先ほどの乗務員の姿は無く、居たのは元より悪い目つきをより鋭くさせて睨んでいる烈が、少し離れた場所で立っていた。


「単刀直入に訊く。その猫のような物体はなんだ?」


 烈の予想外の発言に真子は戸惑ってしまい言葉が思いつかない。その代わりにと、ギンが答える。


『ほう。やっぱり見えていたのか』


「‥‥何モノだ?」


『ご存知の通り‥‥電脳生命体と言えば良いかのう』


「‥‥藤宮真子! 藤宮、お前自身の意識はあるのか?」


「は、はい! なに? 一体何なの?」


 突然の呼びかけに、真子は身体をビクつかせて返事をした。


「‥‥藤宮、その猫のような物体は何だ? 解るか?」


「解るかと言われても、さっきこいつが言っていた通りで、なんか電脳生命体っぽいよ? 目が覚ましたら付いていた‥‥というか、なんで中神くんは、これが見えるの?」


 真子が逆質問するも、烈は黙ったまま。


(‥‥どういうことだ? “浸食”されているみたいだが‥‥)


 これまで真子を様態を観察していた烈だったが、自身が知る事象とは違うことに考えあぐねいていた。


『小僧、今度はそちらが名乗る番ではないかな? なぜ、わしが見えているというのもな』


 ギンの言葉に、烈はふーと息を吐く。


「そうですね。はああああああーーー」


 烈は右腕をかざして唸り声をあげると、右腕から放電が奔る。徐々に腕は赤くなり形を変えていく。まるで爬虫類‥‥格好良く言えば、まるで龍の手のように変化してしまった。


「中神くん‥‥なに、それ?」


「見た目は違えど、藤宮がした変態メタモルフォーゼと同じものだ」


「え? めた、もる?」


『こういうことだよ』


 ギンが真子に憑依し、ギン化した。

 烈は変化した右腕を前に出して構えるものの、ギン子は平然と構えており、敵意が全く感じられない。


「ただの電脳化や浸食した訳ではないな‥‥。藤宮、ありのまま話してくれ。そうなってしまった経緯と実害などを」


「べ、別に良いけど‥‥そういう、中神くんは一体何者なの?」


「俺も藤宮と同ペア社特別電脳化対策チーム所属、第一種B級、電脳生体士カウンセラーだ」


 烈が威風堂々と名乗ったが、当然の如く真子は首を傾げたのだった。

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