092 ダリルさんとの話し合い
更新です・・・
選挙戦が本格化して選挙カーが走り回ってますね~
第92話 ダリルさんとの話し合い
「相変わらず美味そうだな~」
俺達がお酒を木のカップについで席に戻ると、すぐさま残りのメニューを持ってオルドさんが戻って料理を並べだしたのだが、ケントが言うように本当に美味そうだ・・・30cm程の金属製の串に俺の拳より小さいがとても一口じゃ食べられそうもないビックボアのほどよく焼かれた肉・・・見ているだけでもよだれが出てきそうだ!
当然のごとくモリモリと食ってる訳だが・・・
(この調子だと本気で太りそうだ・・・もう少し運動に時間を割いた方が良いかな・・・)
結局そんなことを考えても完食してしまった訳で・・・お酒も飲んで居たからか気疲れの為なのか・・・翌朝までぐっすり眠ったら・・・
(トイレ、トイレ!)
すっきりしてから身支度を調えて、本日も美味しい朝食をがっつりと食べ・・・お茶を飲んでくつろいでいるとダリルさんからの連絡って言うか、お迎えが来ちゃったよ!
ゴバックさん達と迎えの馬車に乗り込んで、領主館に到着後すぐさま応接室に案内されたら・・・ダリルさんが疲れた表情で煤けながら待っていた。
「朝からすいませんね~報告書は拝見しました。」
「で・・・急いでるのはその話で良いのですか?」
「え?まあ・・・えぇ~っと、それでですね・・・報告書を見ると商業地区の1等地ではなく門の近くを推奨していますが・・・」
俺が預けた報告書がキチンと手元に渡ったようで、報告書を眺めつつ俺に確認してきてるようだ・・・
「まあ、理由も書かれているし納得も出来るのですが・・・本当にあそこで良いのですか?実は商業地にある建設候補地は結構自信があったのですが・・・」
ふむふむ・・・この様子から察するに、商業地区の都合の良い空き店舗はダリルさんが用意したところだったようですね・・・
「まあ、他の候補地は論外の所もありましたが・・・アノ候補地は良い場所でしたね~まあ、良い場所過ぎるし土地も門の近くに比べて狭いから次点にしたんですけどね・・・」
「えっと・・・アレン君、良い場所過ぎるとは?」
「えっと・・・アノ候補地って、価値としてはどれぐらいでしょう?門の近くの土地と比べてでも結構ですので大雑把に言うと・・・門の近くの土地より高くなりませんか?」
「それはまあ・・・サウスウッドの1等地ですし、門の近くの候補地が倍の広さでもまだ足りないぐらいですが・・・」
「そこですよ、そこ!最後の決め手は・・・今回の出店概要は全店の統一感!この町は良いとしても王都にも店を出すんです。
王都で同等の土地を用意できますか?」
「王都で・・・まあ、無理でしょうね・・・王都でそれなりの広さの土地を探すなら、郊外というか門の・・・そう、こっちでアレン君が決めたような門の近くか少し寂れた場所になるでしょう・・・」
「まあ、寂れた場所で商売を始めるのはちょっとリスクが高くなるし・・・門の近くなら待ち合わせとか色々集客も見込めますからね~」
「成る程・・・納得できました。報告書にあった門の近くの候補地に決めることにしましょう!」
どうやら納得した様子のダリルさんだったが・・・
「え~っと、計画では異界よりの移住者を積極的に採用すると有りましたが・・・コレも何か理由が?」
「えっと・・・それはですね~異世界からの移住者に接客業の経験者が多く含まれていて、現状で冷遇されて居ますので・・・ぶっちゃけ選び放題なんですよ!馴れてくれば素人を訓練しても良いのですが・・・今必要なのは即戦力です。技術を持った人が選び放題なら・・・私はそっちを選択した方が良いと思ったからです。」
「ふむ・・・確かに・・・移住者は冷遇されていますからね・・・技術を持ってるなら・・・国王派が・・・」
ダリルさんがブツブツ呟く危ない人になりかけたが・・・ニヤリと笑って驚くべき話をしてくれた。
「国王派の態度が軟化してる?!」
原因は移住者の大量採用らしい・・・元々王家の負担を軽くしたい国王とぼんくら息子の心配や自分の影響力を広げたい貴族が結びついていた国王派・・・
サウスウッド領での移住者の大量採用を見て、サウスウッド家からの和解サインと誤解してくれたようだ・・・実態は必要な技術者を早急に求めた結果だったのだが・・・
(コレってラッキー?)
ダリルさんの話では、今回の件でさらに移住者を引き受けるし・・・現在も募集中の大魚亭周辺や海の拠点での開拓要員募集も良い感じの誤解で妨害もなく、むしろ積極的に協力してくれてるらしい・・・
(ん~道理であれ以来、平和な訳だ・・・)
「ダリル・・・その話は本当なのか?」
ゴバックさんも驚いたようでダリルさんに確認してる。
順調って事だろうな~流れが良くなったのは正直嬉しいし、警告やなんやかんやで暗殺されそうになるのは勘弁して貰いたいからな・・・順調すぎて・・・ん?
そう言えば・・・忘れちゃいけない人の姿が・・・ちょっと待てよ・・・アノ人っていつから居ないんだっけ?
挨拶に来た時は居たよね?・・・その後、こっちを放り投げてどこかに消えた気が・・・
ヤバイ、絶対にヤバイ!居ないからラッキーなんて思ってたら足下からひっくり返される・・・
「ダリルさん・・・サピ、イエ・・・御領主様は今どこに?」
(う・・・ダリルさんの顔色が・・・しかも何だか凄く話しずらそうに・・・)
「え、え~っとですね・・・サピオ様は王都に・・・」
「王都に?」
「王都に行って開発の許可を願い出て・・・」
(逃げろ!俺の直感そう告げている・・・今逃げ出さないと・・・)
発作的に立ち上がり逃げようとしたが・・・ゴバックさんに掴まった・・・つうか・・・何でみんな俺を掴んでるんだ?
「イヤだ!これ以上は聞きたくない!!おうちにかえる・・・」
「アレン・・・人間あきらめが肝心だ!」
「とりあえず落ち着け・・・」
「大丈夫、大丈夫・・・」
「突然逃げるのはまずいですよ~」
ケントよ・・・お前もか・・・
「俺が言われてるのは新店舗についてだけだ!この辺りの新規開発なんて知らん!無理無理・・・絶対に無理だって!」
「気が付いてなかったのか・・・」
「てっきり知ってるかと・・・」
「まあ、アレンは意外と鈍いというか・・・集中すると周りが見えなくなるタイプだからな~」
「ちくしょう!みんなグルだったのかよ・・・信じていたのに・・・」
「まあ、とりあえずこっちの話を聞いて頂きましょうか・・・」
抵抗を続ける俺にダリルさんが今後の予定というか・・・領主の計画を話し始めた。
領主の計画では・・・俺達が来る時に使った宿泊拠点、あそこを再整備してさらにそこと村の中間も整備し・・・馬車でも2日に1度、獣車だと毎日集落に泊まれるようにして開発を進めるらしい・・・
確かに便利になるとは思うよ!そこは認める・・・詳しい話までは聞いてないが・・・ウチの村と領主町の間に集落クラスでも人の住む土地が有れば便利なのは理解できるし、昔ウチの村を辺境領のさらに辺境に定めたのだって理由があるからだろう・・・
しかし、食糧の自給もおぼつかない辺境領で考える事じゃない気がするんだが・・・後2~3年、そう・・・大魚亭主右辺の開拓や海の集落が軌道に乗った後なら・・・俺達の村が今年の春から本格化させる開拓と開発事業、コレが成功すればサウスウッド領の自給率は劇的に変化するだろう・・・
かつては食用とされず換金作物として作られていた米・・・水の豊富な大魚亭の周辺なら広大な土地が水田に変わるだろうし・・・
大魚亭の眼前に広がる湖に海の拠点での漁業・・・これらが順調に推移すれば職の多様性を維持しつつ出汁とり用の乾燥昆布や魚節・・・貝類や魚の干物など換金を見込める商品だって結構あるのだが・・・
俺が黙ったまま思考の海に沈んでいたせいだろうか・・・気が付くとその場にいた全員が固唾を飲んで俺を見つめている。
「そんなに見つめられても僕の考えは変わらないよ!」
「いや・・・しかしアレン・・・」
「アレン君・・・」
「あのね・・・僕は確かに新事業として新しい店を作ること、それを軌道に乗せられるように努力することは約束したけどさ・・・何でウチの村以外の、しかも聞いても居ない開発を手伝わなきゃならないの?それも不意打ちで突然言われるっておかしいでしょ?」
「いや・・・だが・・・」
「じゃあさ、もうハッキリ言うよ!領主が言ってる開発は時期が悪いから最低2~3年待って始めましょう・・・出来れば5~10年末のが良いね!ハイ終了!!」
「身も蓋もない意見ですね・・・確かにもう少し待てば・・・しかし待てない理由もあるのです。」
「待てない理由?」
「えぇ・・・アレン君・・・あなたの存在です」
「はぇ?」
ダリルさんから告げられた話が唐突で、何のことか全然理解できず・・・間抜けな声を上げた俺だったが・・・
ここからの話は、思ってるほど簡単な話じゃない様子だった。
書いていて言う事じゃないのでしょうが・・・
複雑化しすぎて手に負えないのに・・・脳内でキャラがべらべら裏事情を暴露してくるような・・・目指していたのはシンプルな話だったはずなのになぜ?
たまに違う話も湧いてくるし・・・脳内で整合性と話の折り合いを付ける乗って大変です。




