085 領主町の探索②
第85話 領主町の探索②
ギルドの練習場を借りた俺達は、案内されたギルド一階部分にある5m×40m程の空間でそれぞれ購入した的を端にセットして弓の訓練を開始した。
『---バシュ---』・・・『パス』、『---バシュ---』・・・『ポス』、『---バシュ---』・・・『カツ・・・ ・・・コツ』
むう・・・結構難しい・・・静止状態なら何とかなるが・・・相手が突進してきたり距離を詰めてきた場合を想定してやると、まだ外れることがあるな・・・鏃を鈍らせるのもイヤなので5本の矢を練習用にして、先ほどからケントと一緒に射っては回収してるが・・・なかなか上達するモノでもないな・・・
元々俺のスタイルというか役割は、弾幕というか矢幕?に参加してクロスボウで1撃を放ち・・・長槍でとどめを刺すって感じなのでそれほど弓を重視してはいなかったが、狩猟団団員としては弓に変える以上は上達したいし・・・個人的にも手数を増やしたい!
剣を使う手もあるが・・・ハッキリ言って必要ないな・・・対人戦でもないのにわざわざ接近する気もないし、懐に飛び込まれた時は銃を撃てば良いだけだし・・・
一応この世界でもプレートメイルって言うのか?金属系の鎧はあるが・・・ハッキリ言って自警団か、騎士が公的な場で着飾るぐらいで実用的じゃない・・・対人戦を想定するなら役には立つが・・・
(この世界では、基本的に対人戦なんて想定してるのは自警団ぐらいだ・・・)
どんなに頑丈な鎧でも重いし・・・行動を阻害する要因が大きければ狩猟の役には立たない・・・第一、移動するだけで疲れるし脱いでるところを襲われたら意味がないからね・・・俺達の狩猟団でも皮の鎧を使ってるのは脳筋馬鹿のうちの親父達ぐらいで、初級防護スーツなんかの防護力があり普段から着ていられる防具の方が人気がある。
1時間ぐらい練習したら・・・俺もケントも飽き・・・げふげふ、充分だと判断し、他の店を覗きながら宿に帰った。
部屋に戻ると・・・兄さんが軽く寝息を立てていたので、邪魔しないように静かに読書をして、夕食の時間になった時ケントが迎えに着たので兄さんを起こしみんなで下に降りた・・・
他の客は・・・食堂に入って周囲を見渡すと・・・4~5人のグループが3組ほどいるだけでガラガラと言っても良い状態だ・・・
「アレン・・・心配するな!人が少ないのはココが多少高いからだし、料理の腕は俺が保証する。」
食堂に入ってから俺が周囲を気にしていたのが判ったからか、ゴバックさんが俺に声をかけてきたのでちょっとビックリしたが、料理が美味いのは本当だろう・・・メチャメチャ美味そうな匂いが食堂に漂っていて・・・今にも腹が鳴らないか心配するほどだ・・・
「お待たせです!」
俺達が席に座ると、ほとんど待たずにオルドさんが料理を運んできてくれた・・・
なんと、焼きたてのパンだ!・・・普通は朝に焼いて・・・昼や夜は焼きたてなんて出るもんじゃないのに・・・俺がビックリしていると次々料理が運ばれてくる・・・
芋とベーコンにチーズをのせ焼いたモノ・・・湯気を上げるソーセージ・・・葉野菜の上にのせられた黄色いサラダ?(カボチャだろうか・・・)、野菜のスープとメインのホーンラビットのステーキと・・・ずいぶんと御馳走が用意されたモノだ・・・
「えっと・・・後は飲み物なんですが、カウンター脇の樽からお好きなモノをどうぞ!」
カウンターの脇を見ると・・・赤ワイン・白ワイン・蜂蜜酒・・・って酒しか無いぞ!
ゴバックさんがこの宿屋を選んだ理由と親父を知ってる訳が何となく想像できたが・・・見ていても仕方がないし・・・
「すいません・・・お茶かジュースはありますか?」
「へぇ?酒じゃまずいの?・・・てっきり親父さんに鍛えられてると思ったんだが・・・」
「いえ、明日はちょっと朝から用事があるので・・・飲み過ぎて2日酔いとか・・・寝坊する訳には・・・」
「なるほどね~たぶんお茶なら出せると思うけど・・・用意するのに少し時間が掛かるよ?それでも良いかな?」
「すいません・・・お手間を取らせてしまって・・・」
「良いって、良いって!客商売だからね~・・・ま、気が向いたらお酒の方も少しは飲んでよ!去年の秋に仕込んだ新酒だけど、家の自慢は料理と酒!それに安全なんだからさ!」
「はい、ありがとうございます。」
そう言い残して空の木のカップを人数分置いたオルドさんはカウンターの奥に戻っていった。
「とりあえず、料理が冷める前に好きな飲み物を持ってきてさっさと喰うぞ!ココは飲み放題だが・・・明日のことも考えて深酒はするなよ!」
ゴバックさんがこの宿を選んだ最大の理由っぽいモノがちらりと聞こえ、さらには『あんたがそれを言うのか!』って感じの発言だったが・・・飯は美味く喰いたいので黙って俺も蜂蜜酒をカップに注いで席に着くと、みんなと同じように猛烈な勢いで食い始めた。
30分ほど経って、あらかた料理を平らげ・・・俺が飲み物をお茶に変えたあたりでこの宿の店主、ケビンさんが現れ・・・ゴバックさんと昔話をしながらゆっくり飲む雰囲気になった。
俺達の雰囲気を察したのか・・・オルドさんが空になった木皿などを片付け、チーズや燻製・・・数種類のおつまみをのせた木皿を持って再登場し、『親父・・・朝の仕込みもあるしあまり飲み過ぎるなよ!』っとケビンさんに釘を刺して夕食の後かたづけに又奥に消えていった・・・
ゴバックさんや親父の昔話は気になったが、俺は風呂に入りたかったのでその場を離れると・・・カウンターの奥にいたオルドさんに風呂について聞いたら・・・
「風呂ね!ゴバックさんから聞いてなかったのか~ウチはこのあたりじゃ珍しく温泉だからいつでも使えるんだけど・・・裏にある別棟だから気が付かなかったのかな?」
「へぇ~裏にあるんだ・・・別棟にしてるのは何か理由が?」
「いや・・・昔はこの辺の宿なんかと同じで釜で風呂を湧かしてた時の名残だよ!」
「温泉に美味しい料理・・・安全にも配慮されて・・・その割にお客が少ないですね?」
「ハッキリ言うね~まあ、ウチの場合半分親父の趣味だし・・・有る程度信用できる人しか泊めないからね~まあ、安全対策って感じかな?」
領主町での悠々自適生活?・・・俺も記憶というか知識がなければ間違いなくあこがれるであろう生活だ・・・
俺の場合、色々料理の記憶があるから逆にココまでこっちの料理を追求できない可能性もあるし・・・やっぱり色々な料理が食いたいからな・・・
「ありがとうございました。料理もお酒も美味しかったです!それじゃあお風呂に行きますので・・・」
「気に入ってくれたようでなによりだったよ・・・ゆっくり休んで疲れを取ってね~」
(オルドさんっていい人っぽいな~雰囲気も柔らかいし・・・)
俺がカウンターの奥から出て食堂に戻ると、ケントと兄さんが待っていてくれて・・・一緒に風呂に入ってから寝ることになった。
(兄さん・・・結構飲んでたけど・・・明日大丈夫なのかな?)
俺もケントも途中からって言うか2杯ほど酒を飲んだ後は、オルドさんが用意してくれたお茶に変えていたが・・・兄さんは結構飲んでたはず何だけど・・・
(まあ、顔色も変わってないし・・・やっぱり遺伝かな?)
バリバリの西洋系の顔立ちをしてる兄さん・・・俺の記憶によると、日本人より西洋人はアルコール耐性が強いらしく、遺伝的に酒に強いって話を聞いたことがある。まあ、俺も黒目・黒髪だけど・・・バリバリ西洋系の顔立ちなんだよね・・・親父に似てゴツイ系だけなのがアレだけど・・・><
一端部屋に戻って風呂の用意をして下に降り・・・1階の階段下にあった扉から裏に出ると別棟になった風呂に向かった。
「結構大きいね~ウチの風呂と変わらないぐらい有るよ!」
俺達が向かった風呂場は予想以上に大きく、宿に泊まった人が全員で使っても何とかなりそうな大きさだったが・・・
「ん?男湯と女湯が分かれていない・・・ひょっとして混浴?」
「「混浴!!」」
「まあ、今日宿にいた人は男ばっかりだったし・・・別に問題ないか!」
「「そう言えば男しか居なかったな・・・」」
なぜか少し元気のなくなった兄さんとケント・・・何となく気持ちは理解できるけど・・・面倒だから放置だな!
温泉にゆっくりとつかり・・・ほかほかの身体でベッドに潜り込むと、アルコールの影響もあるのか・・・あっという間に眠ってしまい・・・爆睡した後、猛烈な尿意で目が覚めた!
「トイレ、トイレ!」
まだ、日の出前らしいく薄暗い廊下を通って1階にあるトイレに向かうと・・・朝食の準備中らしいオルドさんに会ったが、かなりせっぱ詰まっていたので速攻でトイレに入ってすっきりした後、少しだけ話して2度寝した!
「ん~快眠、快眠!」
「いや~寝た、寝た!・・・久々にゆっくり寝た気がする!!」
俺が起きると兄さんも起きたようで、すっきりした顔で身支度をしている・・・
「そう言えば兄さん、今日って兄さんは8時出発だっけ?」
「一応そうだけど・・・門の外で獣車に乗るから飯を喰ったらすぐに出るぞ!王都でやることもあるし・・・遅れてしまったら1週間もかけて王都に戻らなきゃならんからな~」
「そうだね~次の獣車を待つって言っても・・・王都に2日、1日休んでこっちに2日・・・村とこっちの往復で5日だから10日後じゃないと獣車は来ないもんね~」
「まあ、そう言う訳だから・・・さっさと朝飯を喰いに行こうぜ!」
俺達はケントの部屋に行き、まだ寝ているゴバックさんを放置してケントと合流すると朝飯を喰いに食堂へ向かった。
なかなかストックできるほど話が書けません><
何とかアレン君の成人前には・・・有る程度世界設定や状況設定を終わらせて主人公や周りの行動だけ書ければな~




