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新世界での生活  作者: 投稿初心者
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076 収穫祭最終日

第76話 収穫祭最終日


入浴を済ませ、しっかりと身支度を整え直した俺は昼までの時間をミーアと遊んであげる事にして話してみたが・・・ミーアの希望で露店巡りに変更した。


「うぅ~うぅ~」


お菓子などの屋台を回っていくつか食べた後、ゲーム系の露店に来たら・・・ミーアが射的にはまってる・・・どうやらグランドベア?激しくデホルメされて面影がないほど可愛い感じに仕上がってるぬいぐるみがご所望のようだ・・・


「欲しいなら取ってやろうか?」


すでに何度か提案したセリフをもう一度言ってみるが・・・


「チイ兄ちゃん、ミーアが取るの!」


昔に比べるとずいぶんしっかりした話し方で自分が取ると言ってくる・・・(ウチの妹はずいぶんと負けず嫌いなようだ・・・)


小さな自分の財布から銅貨を取り出し店主から矢を受け取ると・・・『ピュン』・・・『ピュン』少し遅れて・・・『ピュン』っと弓から矢が放たれる音が聞こえ、ミーアはまたもや残念賞のクッキーを手に入れた・・・


このままじゃいつまで経っても終わらないので・・・


「おっちゃん、1回ね!」


料金の銅貨を露店のおっちゃんに渡し、弓を射る・・・


「そんなにふくれるな・・・このぬいぐるみをあげるから・・・」


最初は嫌がってたし・・・自分で取れたと非難していたが・・・ぬいぐるみの魔力・・・もふもふに負けてご機嫌が治った!


ちょうど昼だったので教会の広場に向かい昼飯を喰うか・・・などと考えて歩いてたら、ばったりケントに会った。


「お!今日はミーアちゃんも一緒か~これから昼飯?」


「そろそろ良い時間だし・・・ケントもこれからか?」


「まあな~ウチは今日親父が当番だし・・・母さんも広場だから・・・行かなきゃ飯がない!」


「ついでだし一緒に喰うか?」


「ん?良いのか?家族で喰うなら遠慮しようかと思ってたんだけど・・・」


「別に待ち合わせしてる訳でもないし・・・居たら合流しようかな~って程度だから別にかまわないと思うけど・・・ミーアもケントと一緒でも良いよな?」


「うん」


ケントと合流して広場に着いたが・・・どうやら俺的にまずそうだと思ったあんかけ系は見事駆逐され、定番の料理と生き残ったあんかけ料理がほとんどのようだ・・・


「ミーア、何か食べたいものあるかい?」


「ん~~ん~~アレ!」


ミーアが悩んだ後指さしたのは、俺もケントも初日から食べていたラーメンもどきだ・・・


「じゃあ、あそこで貰ってこようね・・・」


「うん!」


そろそろ混み始める時間だが、まだ少し早いおかげでほとんど並ぶことなくラーメンもどきを受け取れたが・・・


「どう考えてもミーアに1人前は多すぎるよな?」


「だよな~器を借りてくるから・・・少し分けてやって、残りはアレンが喰えよ!その方がいろんなのが喰えるし!!」


俺の返事も待たずケントが飛んでいき・・・すぐさま器を借りてきた・・・


「ミーアもコレで少しずついろんなものが食べられる方が良いよね?」


最初は俺が持ってるラーメンもどきを見て未練がありそうな顔をしていたが・・・色々な種類を食べられると聞いて笑顔になるミーア・・・

(ウチの妹は食い意地も張ってるらしい・・・)


俺が器の中から三分の一ぐらいケントの借りてきた器に移してミーアに渡すと・・・フォークでラーメンもどきを食い始める・・・俺はいつものように自分の空間から箸を出して食い始めたが・・・


俺が考えていた事が判ったのか・・・ちらりと目を向けたケントが慌てたように・・・


「無理、無理!・・・俺はそんなに器用じゃないから・・・」


「別に使ってなんてもう言わないから・・・」


そう、米を食べるようになり始めたあたりでケントやミーアに箸の使い方を教えた事があるのだが・・・いまだに俺と元日本人の従業員と、なぜか兄さんしか箸の使い方を覚えられてないんだよね・・・


その後は三人で焼き肉や魚の串焼き・・・定番化したおにぎりなどを食べケントと昼からの約束をした後、ミーアを昼寝させるために家に戻った。


俺達を待っていて一緒に昼飯を喰う気だった父さんに少し睨まれたが、ミーアを寝かしつけ父さん達が昼飯から帰ってくるまで留守番をした後、ケントと約束したフォードさんの露店まで急いで向かった





「お!やっと来たかアレン!」


「悪い、悪い!父さん達がまだ飯を喰って無くてさ~ミーアを寝かしつけた後、戻ってくるまで留守番だったんだ~」


「んじゃあ~仕方がねえか・・・ジュース1杯で許してやるよ!」


「うぐ・・・まあ~結構待たせちゃったしな・・・良いよ」


「お!まじ?ラッキー!!」


俺達がそんな感じで話していたら・・・


「あ!ちょうど良かった・・・アレン君、コレなんだけどね・・・」


ヘンリーさんの話は、俺が昨日制作依頼した物の構造確認だった。


「それでですね・・・この形で作って頂ければ・・・」


「ふむ・・・簡単な構造だしそんなに時間は掛からないが・・・本当にこの大きさで良いのかい?」


「えぇ・・・コレは小さな子供用ですから・・・」


「ふむ・・・確かに!子供用なら納得できるが・・・君は面白い事を考えるね~」


「イヤ・・・コレって元々俺の知ってる知識にあった物だし・・・こっちじゃ見かけないけど、結構ありふれてたんですよ?」


「ま、ウチの工房に頼んだ事を後悔させない出来に仕上げるようにするから・・・」


「えぇ~判ってます!完成後は販売品目に加えて頂いてもかまいませんよ!」


「うん・・・そう言う事なら・・・そうだな~試作した1台と・・・完成品の1台、2種類だから4台まではサービスって事で・・・後の追加分は半値って事でどうだい?」


「はい!それでお願いします・・・権利関係はチャリと似てるしフォードさんのところで作ってもらえば問題ないですよね?」


「もちろん、チャリ関係はウチの権利だからね!まあ、個人で作る分には権利は主張できないけど・・・正規に売れるのは今のところウチだけだし、第一普通の手作りとは外観も品質も段違いだよ!職人の腕をなめられないようきっちり仕上げてみせるね!」


制作依頼の権利関係も話し合いが終わったし・・・あまりケントを待たせると後が怖いからな~

俺はヘンリーさんに別れを告げ、少しイラついて待ってたケントと一緒に露店を回る事にした。


「アレン・・・又何か作るのか?」


「ん?まあ~今回のは大魚亭用だ!大魚亭はどちかって言うと大人向けの感じがあるから・・・今度は子供用にな!」


「で、何を作るんだ?」


「ケントも俺が書いた図とか説明を聞いてたら判ってるんじゃないのか?」


「いや~俺・・・ほとんど聞き流してたし・・・アレンに聞けば判るから、正直気にしてなかった・・・」


「うぐ・・・あのな~ケント・・・」


「良いだろ!教えてくれよ~」


「イヤ!そう言う事なら教えない!・・・現物が届いたら判るはずだからそれまで内緒だ!!」


「そんな~けちくさい事言うなよ!」


「ダメだ!内緒と言ったら内緒だ!」


しつこく食い下がるケントをなだめつつ届くまで内緒にする事を何とか承知させ(ま、自分で兄さんやヘンリーさんに聞く事は止めてないけど・・・気が付くかな?)俺達は露店を冷やかし始めた。


「すいません・・・こちらに焼き物とかガラス製作の技術書みたいな本って有りますか?」


「焼き物?調理の本なら何冊か有ったはずだけど・・・ガラスは無いな・・・王都に取り寄せを頼むか、商工会で開示して貰った方が早いんじゃないか?」


「あ!そうですね~そうしてみます!!」


足早にその場を離れて、露店の店主の話で思い出したが・・・商工会って言う手があったか・・・権利金は取られるけど、確かに高額ではあるが少しはガラス製品も流通してるし、技術などの開示を受ければ製作できるかも・・・


「盲点だったよな~他の店員や店主は『無いね!』の一言で終わりだったからな~親切な人で良かったじゃん!」


「そうだね~自分で作る事にこだわって商工会の事をすっかり忘れてたよ!」


「ま、商工会でも値段次第だと思うけどな~ガラスって結構高いらしいし・・・権利となると桁が違うかもしれないからな~」


ケントとの話で少し不安が出てきた・・・確かにこっちの世界にもガラスは存在している。しかし結構高い物らしく水晶を加工したりして作ったガラスもどきの方が安いんだよな・・・しかも今回はおそらく独占技術のガラス製法の開示・・・やっぱり無理かな?


「まあ、聞くだけ聞いてみるさ!」


最悪、水晶の加工で作っても良いけど・・・この辺で大量の水晶が取れるなんて聞いた事もないし、東の山脈にある鉱山では採掘できるらしいけど・・・取り寄せるとかなり高いからな・・・個人的に使う分ぐらいなら何とかなっても、大魚亭などで使うとなると・・・やっぱりガラスは作りたいな・・・

有る程度は焼き物で代用可能なのだが・・・透明なガラス容器で冷やされコップに氷と一緒に入ってる麦茶・・・くだらないかもしれないが、俺のこだわりだ!

それに・・・「水晶の加工は大変だからな・・・」

誰に聞かせる訳でもなくぼそりと呟き、水中メガネ製作の苦労を思い出していた。


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