067 純白の焼き物を求めて・・・②
本日も・・・一応3話更新・・・
第67話 純白の焼き物を求めて・・・②
翌朝目を覚まして朝食の準備をしていると、村へ向かうザットリーさん達が簡単な朝食を取ってすぐに出立していった。
『やっぱり商人さんは忙しいんだろうね~』
『おっと!こっちもそろそろだし・・・準備準備っと!!』
昨日は結構飲んでたみたいなので、俺が用意した朝食はおかゆっぽいご飯に海草のみそ汁・インチキ節と醤油で味付けしたおひたし、佐藤さん製の昆布の佃煮と塩焼きした魚に卵焼きだ・・・
案の定、深酒したメンバーは食が進まないようだが・・・ここで食べておかないと1日身体が持たない事をよく知ってるので無理にでも食べてるようだ・・・
(定番化してるとは言え、結構自信のメニューなんだけどな~)
朝食の後から1週間ほど掛けて罠の確認と設置を繰り返し、今は復路で罠の確認と付近の調査って言うか狩猟に移ってるんだけど・・・いや~人手不足って怖いね・・・大型の害獣が大増殖中ですよ~
どうも・・・昨年から色々と忙しかったせいでバランスが崩れたみたい・・・簡単に言うと、俺達が忙しい→狩りの猟果が減る→大型も小型も害獣が生き残る→餌が豊富で生き残り個体数も多いので大型の害獣が増殖したって事になるらしい・・・普段の狩りじゃ0~5頭ぐらい取れればって感じのグランドベアがすでに20頭以上・・・ウィンドウルフなんて100頭は確実に超えてるし・・・
おかげで村に帰ってからやるはずの解体を出先で何度もやり・・・それでも獲物が多くて数名が交代で村に戻って何度も素材を倉庫に入れてきてるのに・・・
「あまり人を襲わないとは言え・・・ここまで増えているとは・・・」
「若い個体が多いですから・・・やっぱり・・・」
「村の近くは平年並みって感じだが・・・遠征が少なかった影響がな・・・」
親父達は現状を深刻にとらえて考え込んでるようだったが・・・飢えてる訳じゃないしそんなに深刻な状況でもないと思うんだが・・・
俺達が討伐している害獣でも・・・比較的に大型の種であるグランドベアやウィンドウルフ何かの肉食系は、あまり人を襲わない事で知られてる。
以前俺が襲われたのは、俺が縄張り中に入ってしまい・・・出てきたグランドベアを見て焦ってしまい・・・基本を忘れて逃げようとしたからだ・・・
もし冷静に対処するなら・・・相手の目をにらみつけつつゆっくりと慎重に後ずさって、縄張りから出て行けば襲われなかったはずだ・・・
ウィンドウルフにしても若い個体か、はぐれて飢えた1匹狼じゃなければ武器や想念を持った人間は滅多な事じゃ襲わないし・・・問題は草食系というか比較的小さな個体だな・・・増えるのが早いし、肉食系を呼ぶというか草食系の害獣が増えて縄張りが拡大すると、それを餌にする肉食系も進出してくるからな・・・
俺達がこうして街道沿いや付近の土地で狩りをしてるのも増えすぎないように間引いてるって感じの方が強い・・・
『しかし・・・対して時間があった訳じゃないのにメッチャ増えてるな・・・』
「家畜の被害も出始めてたらしいからな~まあ、コレで当分おとなしいだろうけど・・・」
『まあ、収穫祭までには有る程度終わらせないとな・・・』
「狩りすぎてバランスが崩れると又襲ってくるんだけどな~」
『襲ってくるかな?』
「ん~・・・ ・・・」
どうやらケントが言いたかったのは、草食系や小動物系を狩りすぎると・・・餌が不足した肉食系に襲われる可能性が高くなるって事らしい・・・
『そう言えば前にも襲われたな・・・』
「まあ、状況って言うかさ~襲ってくる側にも色々と理由があるって事だ!」
『まあ・・・たしかに・・・』
「放置したらしたで問題だし、狩りをしなくても狩りをしすぎても襲われやすくなるから厄介だよな~」
『さすが猟師の息子!詳しいじゃん!!』
「ま~な~親父に何度もぶったたかれて覚えたからな・・・」
ケントが遠い目をして暗くなったので話題を変えなきゃ!
『そおいや、こんなに狩りで肉を取って保存とか大丈夫かな?』
「ん~大丈夫じゃねえか?大魚亭とかでも結構使うし・・・知ってるか?メッチャ忙しかった時なんて探索者や行商人からも肉とか買ってたんだぞ・・・」
『え!そんなに使ったのか?』
俺がケントの話に驚いて確認すると・・・
大魚亭では海産物が人気だったが・・・海産物が不足して肉系を増やした結果、今度は肉系が足りなくなり狩猟団の手が回らなかったので肉の買い取りと輸入?をしてしのいだらしい・・・
『ん~施設とかの設備系は結構整ったから・・・今度人が増えたら生産物とか供給できる食べ物の方でもう少し考えた方が良さそうだな・・・』
「まあ、それもあるだろうけど・・・とりあえず人を増やして狩猟団が狩猟団として活動できるように考えないとな・・・」
こうして村に戻るまでの数日を・・・俺達は親父や狩猟団メンバーと一緒に今後の対策会議(現地編)をして過ごす事になった。
まあ、そんなこんなで村に着いてからも対策会議やら寄り合いやらで話を進める間にも、村の周囲や裏山などを巡ってそろそろシーズンになってきた森の幸(果実・キノコ・薬草・野草等)を回収しつつ、小さな獲物を狩っていった訳なんだが・・・
白い石を見つけ大量にゲットした!
最初は母さんに白い便器って言うか石の話を聞いて・・・
「白い石?裏の山で取れるわよ・・・あまり使い道のない石だけど・・・」
っと聞いていたので・・・釣りや狩りに出る時に気にしながら周囲を見ていたのだが・・・自警団の人に、現在眠気ざまし用に使われてるワサビが生えてる場所を聞いて補充しようと移動してる最中に山の中で見つけたのだ・・・
軽く想念法で掘って確認したが、周囲全てが白い地層というか石で出来ていて埋蔵量もかなり期待できる。
『人が増えたら村の方に窯を移した方が・・・』
「まあ、焦んなって!お前が言ってる白い器が出来るか実験してからの事だろ?人が増えるのだってまだ先だし・・・」
ケントに言われて現実に戻った俺は、自分が先走りしすぎている事に気が付き少し恥ずかしくなった・・・
とりあえず有る程度の量を採掘して大魚亭工房班に手紙と一緒に送る手続きをし、寄り合いでの相談結果で収穫祭に向け狩りを進めていく・・・
収穫祭が2週間後に迫った辺りで兄さんから手紙が届いた・・・
文面は短かったが、動力装置(エンジン?)の試作成功と馬車に取り付けての起動実験をしつつ、収穫祭に村に到着する事を目指して今日あたりから王都を出て移動を始めるらしい・・・
『うほ~成功したんだ・・・しかしやっぱすごいよな~有る程度の知識伝達と概念が有ったら何でも作れるんじゃないか?』
「なんだアレン?何が成功したんだ??」
かいつまんで隣にいたケントに話を教えると・・・
「おお・・・アレな!ウイル兄ちゃんが言ってたやつ成功したんだ!!」
「俺も負けてられないな・・・又何か考えよ~っと!」
『おいおい・・・そんな事言って何か当てでもあるのか?』
「無い!」
そんなケントの返事を聞いてずっこけた俺だったが・・・
エンジンか~車とかバイクを作ったらビックリするかな~・・・いや・・・馬車に動力って・・・すでに車か?まだ見ぬ兄の発明を利用する事を考えながらもキチンと仕事をこなし、その後も狩りに採取に忙しく働き・・・収穫祭の前日になった。
朝から沢山の行商人や露店商人が村に到着していつものように収穫調査官が村を訪れ・・・収穫祭がにぎやかに準備されていくが・・・
『兄さん遅いな・・・』
「ん~確かそろそろ付くはずなんだろ?」
『一応手紙では今日あたり着くって書いてあったけど・・・』
ドンドン準備が進んでいく収穫祭だったが、兄さんの到着が遅れてるようでまだ到着しないのだ・・・
「ここでボ~っとしていても仕方がないし・・・仕事もあるからな・・・」
『ん~そうだな・・・着いたら広場に店を出すだろうし・・・見回りをするか?』
俺もケントも昨年と同じように会場整理と統制を仕事として割り当てられているし・・・何時までも門の前で待ってるわけにもいかないので、後ろ髪引かれる思いだったが仕事に戻る事にした。
「こんにちわ~宜しくお願いします。」
『はい、お疲れ様です・・・それではこちらのくじを引いて頂けますか?』
「はい・・・」
『えっと・・・A-20ですね~では、業種とお名前を・・・』
くじ引きで出店場所を決めるため受付業務を手伝ったり、決まった場所でのトラブルがないように会場を回ったり・・・忙しく働いてるうちに兄さんの事を忘れたが・・・
とうとうその日は到着しなかった・・・・
まずは1話・・・




