064 村民大募集中!
本日は3話更新!
第64話 村民大募集中!
【新たな大地で自分の可能性を試してみませんか?】
【現在、我々が開拓を進める地域では多くの人材を大募集中です。
接客が得意な方・料理・調理が得意な方・建築が得意な方・漁業や造船に詳しい方・・・様々な分野での人材を広く募集しています。】
『ん~こんな感じだろうか?・・・』
俺が今悩んでいるのは募集広告だ!
俺達に今必要なのは人材だと気が付いたので・・・親父達と相談し色々考えたが、結局・・・王都や遠方の町で広く人を集めるしかないって事になったのでポスターのような広告を出す事になった。
最初に・・・『んじゃ、募集広告でも出す?』って聞いた俺に・・・「広告とは何だ?」って親父達から真顔で聞かれた時には驚いたけどね~
この世界で人を集める方法としては・・・
①探索者を雇う
②領主の居る町や王都に願い出て移住者を求める
③教会へ願い出て神殿の斡旋で移住者を求める
大雑把に言うとこの3つの方法があるが・・・一般的には短期的なモノや臨時は①の探索者を・・・長期的もしくは永続的なモノは②で移住者を求めるのだが・・・③の教会や神殿を使うのは・・・まあ、裏技的使い方だろう・・・
ウチの村の場合だと、レーシア様が親族で司祭様が親父の名付け親というコネがあるので、前回雇用した移住者は教会経由らしいけど・・・一応、表向きは②での募集を行ってそこにコネで集めた人を応募させたらしい・・・だからなのか・・・俺の考えていた募集広告って頭に無いらしいんだよね・・・
まあ、人数がそろうだけでも良いんだが・・・やはり技術を持った即戦力が欲しい俺としては、募集広告を諦めるはずもなく・・・
『広く人材を求めてこそ優秀な人材が来てくれる』(可能性がある)
『コネやお役所仕事じゃ限界がある』って親父達を説得した結果、「なら好きにやって見ろ!」って言われちゃって・・・
現在、ポスターの宣伝文句に頭をひねってる訳なんだが・・・
『ん~そろそろ休憩時間のはずだし・・・やっぱり実際に来た人にも意見を聞いてみるか・・・』
そう呟いた俺が向かった先はもちろん大魚亭の食堂だ!
ちょうど付いた時間は午後三時の少し前・・・昼食の後かたづけなどが終わり従業員が遅めの昼食を取り、休憩後にそろそろ昼からの仕事を・・・って動き出す少し前だ・・・ちなみに俺達、狩猟団メンバーのみしか居なかった時は、当然一緒に飯を喰ったり片づけていたよ!お金を払うお客様相手だから時間を変えただけ・・・
(残念ながら当番制や交代制じゃ人数が足りなくてね・・・)
俺は集まってた従業員の皆さんに事情を話し協力と助言を求めた・・・
『って訳で・・・宣伝広告って言うか人材を募集するんだけど・・・』
「ふむ・・・面白い手法ですね~私たちは神殿の人から話を聞いたのですが・・・」って言ったのはリッタルさん
「へぇ~~そう言えばこっちにはアルバイト情報もハローワークも無いですからね~」って言ったのは相楽さん・・・
「こっちに来た時期が同じならともかく、移住者は横のつながりが弱いですからね・・・不満を持っていても仕方が無くって人は居るでしょうし・・・良いかもしれませんね!」って言ってくれたのが沖田さん
「料理人・調理師・・・とにかく料理が判る人!出来れば日本人を是非雇ってくれ!!」・・・まあ、言うまでもないけど・・・佐藤さん
あ~やっぱ料理ができる人は絶対増やさないと・・・元日本人が来てくれるかどうか判らんが・・・
それに・・・思った以上に口コミとか噂は役に立ちそうだけど、正確な情報をキチンとわかりやすく示さなきゃどんな形にねじ曲がるか判らんからな~
ん?そう言えば・・・ここの噂ってねじ曲がってないだろうな?これだけ客が着ていても、変な噂や間違った情報で来て例の馬鹿のような事が又起こったらイヤだし・・・そう思った俺が沖田さんに聞くと・・・
「たま~に、そう言う方もいらしゃいますが・・・キチンとO・HA・NA・SIしさせて頂いてますよ!」っとまぶしいばかりの笑顔で答えてきた・・・
(逃げちゃダメだ!逃げちゃダメだ!・・・でも逃げよう!)
俺はそれ以上つっこまず・・・「そうですか・・・」と一言話してスルーした・・・ハ、ハナシアイハタイセツダシ・・・
まあ、その後・・・親父に条件面を確認しに戻ったんだ・・・怖くなって逃げた訳じゃないぞ!・・・怖かったけど・・・
(最近思うんだが・・・笑顔って怖いよな・・・)
ちなみに親父に確認した条件は・・・
①大魚亭の集落(まだ分村ですらないから)も、海の拠点(まだ開拓すらしてない)も開拓に従事した人には土地が与えられ・・・いずれ土地持ちに昇格して狩猟団に加えるか村で土地を買い取るか、自由に選択できる(売ったお金で工房を開いたり商売を始めたりもOK)
②は、①の場合住む場所と食事は支給されるが無給で・・・開拓に参加はしても土地持ちになる事を望まなかったり将来的に小作を望む人には給与が支払われる(米・麦等現物支給の場合もあり)
③開拓参加者全員に村民としての権利が開拓期間中及び永住時に付与される
ま、わかりやすく言うと・・・開拓に参加すれば食と住が保証され給料か土地がもらえて、いずれ新たな村の土地持ちか小作になれるし・・・村での商売や工房開設が容易になるって事だな・・・
『ま、どこまで集められるか判らないけど・・・これ以上の条件は厳しいだろからな・・・』
そんな事を呟いて、親父に最終案を見せに行ったら・・・兄さんが居た!
『兄さん・・・来てたんだ!全然知らなかったよ!!』
「あ、うん・・・ちょっと前について色々見てたんだ・・・」
『へぇ~結構良い感じでしょ?もう全部見たの?』
「ん・・・いや・・・ちょっとね・・・」
「ところで・・・船の推進器だけど・・・」
『お!早速見たんだ!アレ凄いでしょ~ケントの大発明だよ!!』
「あ~・・・うん・・・そう言えばアレンも、ポンプだけ?アレを利用した改造で違うモノを作ったんでしょ?」
『あ~アレね~まあ・・・作ったけど・・・いまいちかな・・・』
「お、おまえ!アレの可能性に気が付いてないのか!!」
『へぇ?可能性??』
「な、おまえ・・・本気か?アレを使えば井戸しか無いところに水道を通したり、建物を高くしても水道が使えるって言うのに・・・」
可能性って水道なの?まあ、確かにこっちの世界の水道じゃ平屋が主流だし・・・有っても2階建てなんだけど・・・そんなに凄い事か?
俺の疑問に満ちた目に気が付いたのか、詳しく説明してくれた兄さんの話は驚くべき内容だった・・・まあ、そりゃ~驚くよね・・・
兄さんが考えていたのは・・・動力源としての活用法だ!
ケントや俺の作った念具を見た兄さんは、開発を進めてるチャリに動力源を組み込んで俺から聞いた「バイク」や馬車に組み込んで「自動車」が作れないか考えていたそうだ・・・
この世界にだって水車はある・・・水を任意に動かせるなら・・・水道のように細かな制御が可能なら・・・小型化して有る程度の動力装置を作る事は可能だろう・・・今までの風を動かすだけなら不可能でも・・・水中ポンプのように使えるなら・・・そこまで考えて兄さんの発想力に正直驚かされた・・・
「こっちはすぐにでも試作したくて、お前らの権利を侵害しないように許可を求めに来たって言うのに・・・」
『へぇ?権利?』
「な・・・父さん!アレン達に説明した無かったの!」
「へぇ・・・あ!・・・いや・・・」
「いずれ話そうと思ってはいたんだよ・・・でも最近ちょっと忙しくてね・・・」
「忙しいじゃないだろ!こっちだって忙しいのに権利の申請したの誰だと思ってるんだよ!!」
その後、兄さんから聞いた話だと・・・
俺達が考えたケント式推進器と水中ポンプ・・・両方とも商業ギルドに登録されて特許料みたいな使用料を払えば、誰でも自由に利用できる技術として親父に言われて兄さんが登録してくれたらしく・・・独占できない替わりに俺達に使用料が入ってくるらしい・・・んで・・・登録された技術って言うのはその技術を改良したり別の形で利用する際に登録者の許可が必要になるので、その許可を求めて兄さんは大魚亭に今回来たらしいんだよね・・・
でも俺、そんな事知らないから・・・勝手に改造したぞ「ケント式推進器」・・・それに元になった扇風機の権利ってどうなんだろう?
ちょっとまずそうな雰囲気の中さらに聞いてみると・・・権利が有効なのは1代限り、権利者が死亡するか50年経つと使用料もなくなり自由に利用できるようになるらしい・・・
(ひょっとして俺が狙われたのってコレも関係してる?)
そんな思いから聞いてみたが・・・
「登録したのも最近だし、そこまで注目はされたい無いと思う・・・可能性が全くない訳じゃないけど・・・ほとんど無いと思うよ!」
兄さんからそう言われ・・・
「貴族がそんな権利まで考えてるはずがない!気の回しすぎだ!」
って、親父にも言われちゃった・・・
まあ、俺が心配してるのは貴族じゃなく金の流れで関わりがあるかもしれない商人だったんだが・・・ま、恨んでた馬鹿息子はともかく・・・貴族なら貧乏していても2人ぐらい人を出すのは簡単だろうし・・・やっぱ考えすぎだな・・・
その場を取り繕うべく人材募集の最終案を取りだし・・・親父と兄貴に相談する事で、その場をごまかす事に成功した!
まずは1話目・・・




