060 黒幕は誰だ?
本日ラスト!3話目です。
第60話 黒幕は誰だ?
俺と領主が話し合った翌日には親父もゴバックさんも戻ってきて・・・
『って言うのが、サピオ氏の見解と推理!ちょっとは俺の考えも入ってるけど・・・でも証拠無し!状況的に納得させられる部分が多いのは確かだね・・・』
「むう~~証拠さえあれば・・・くそ爺を殺すか最悪でも退位・・・」
親父が物騒な思考に囚われてるようだけど・・・まあ、感情的になって大騒ぎしないだけましかな・・・ん?そう言えばゴバックさんは黙ってるな・・・
『ゴバックさんの方は何か判りましたか?』
「ん・・・ん~~まあ~大した話じゃないが・・・」
「街道を調べたが特に異常もなく待ち伏せもなかったので、村に着いたところで自警団に聞き込みをしたり村長の家に行ったが・・・収穫無しだったんだが・・・ちょっと気になる話をザットリーが話してくれたんだ・・・」
『気になる話?』
「あぁ・・・前にアレンがもめた時、ダロイスのヤツがボコった馬鹿どもが居ただろ・・・」
『え!そっちの線?1人じゃ何も出来なさそうだと思って・・・』
「まあ、落ち着け!・・・人の話は最後まで聞くもんだ・・・」
『あ!ごめん・・・』
「でだ・・・その馬鹿を最近村の近くの街道でザットリーが見かけたんだな・・・まあ、あいつはある意味有名人だったからザットリーも知ってたんだろ・・・」
『有名人?・・・何でまた・・・』
「そりゃ~有名にもなるだろ?村長の息子を殴って、村長にぼこぼこにされ・・・村の治療院で治療されてるんだ・・・狭い村だし、あっという間に有名人になるのは当然だろ?」
『あ~・・・なるほど・・・』
田舎の情報伝達って、うわさ話だと光速だからな~主婦の井戸端会議とか・・・勘弁してくれって言う話も盛りだくさんだ・・・(俺は自分のおねしょの話をエリス達から言われた時・・・)イカンイカン黒歴史は封印だ!
『それであの馬鹿を見かけたのが気になる話なの?』
「いや・・・それ自体は大した話じゃないんだが・・・村に立ち寄ってないんだな~村の手前の街道では見かけられたのに、村に立ち寄らないって気にならないか?」
『ふむ・・・確かあいつって勘当されたんだったよね?後見かけられたって話は、何時見かけられたの?』
「やっぱり気になるだろ?見かけられたのはお前が襲われた翌日、村から離れていくところだ!」
『あ~そりゃ~怪しいね!って言うかほとんど本命だね~』
「だろ?・・・ザットリーの話じゃ1人だったらしいが・・・」
『それも問題ないって言うか・・・今の時期なら適当な探索者がこっちに来ても不思議じゃないし・・・どこかの拠点で合流するように計画したらまず判らないからね・・・ま、どうにでもなるって事だけど・・・』
『って事で・・・もうここから出ても良いんでしょ?それと頼んでたモノはどうだった?出来た?』
「まあ、出るのはかまわんだろう・・・それにほれ!」
俺はゴバックさんが放り投げてきたモノを受け取った・・・
『どうもありがと~~~!』
俺はまだブツブツと呟いてる親父を現実に引き戻し、待ちかねていた自由に心が躍ったがぐっと堪えて、待ちわびてるだろう女性陣に名前を告げるため姿を探した・・・
食堂で休憩中の大魚亭スタッフを見つけたのだが・・・何でコーヒー飲んでるの?
コーヒー豆なんて見た事がないし、村でも飲んでる人が居なかった・・・今までこっちの世界にあるとは思っても居なかったよ!
「あ!アレンさん・・・どうしたんですか?」
『ん?あ!、いや・・・部屋から出られるようになったので前に話してた新しい名前を・・・』
「「決まったんですか!」」
『え!あ・・・うん、一応決めたんだけど・・・ところで今飲んでるのって・・・』
「あ!これですか~コーヒーです。・・・って言ってもタンポポコーヒーなんですけどね~」
『タンポポコーヒー?』
俺の疑問に答えた相楽さんが詳しく教えてくれた・・・
実は相楽さん、お茶派ではなくコーヒー党だったのだが・・・こっちの世界でコーヒーなんて見た事もなく、ずっと考えていたそうだ・・・食用の豆を煎って試したり行商人に聞いたり・・・だが良い結果は得られず諦め掛けていたが、こっちに来てから世間話の合間に佐藤さんに話したらこのタンポポコーヒーを教えてもらえたらしい・・・
佐藤さんはハーブティー派で、コーヒーは嫌いらしいが知識として妊婦さんや子供でも安全に飲めるタンポポコーヒーを知ってたから相楽さんに気軽に教えてくれ、大魚亭の増築で大量のタンポポを引き抜いた時に根っこを処理して本日お披露目になったらしい・・・
まあ・・・邪魔にならないように気を遣って・・・時間が掛かったんだろうな~言ってくれれば作業時間やスペースぐらい融通したのに・・・
『ちょっと飲ませて貰っても良い?』
「どうぞどうぞ!」
新しく入れて貰ったコーヒーを飲んでみる・・・
『うん、コーヒーだね!コーヒーの味がするよ!!』
この身体が若いというか幼い?ためか・・・ちょっと苦みがきつい気がするけど・・・懐かしきコーヒーの味がした!
俺は相楽さんに邪道だと言われたが砂糖を少し入れてコーヒーの味を堪能した・・・
『あ!忘れるところだった!!・・・4人の名前なんだけど・・・』
俺が4人の名前を発表すると、4人は凄く喜んでくれたが・・・
「ちょっと安易な気が・・・」
「ん~容姿と比較するとやっぱり違和感が・・・」
元日本人には厳しい意見を言われたが・・・
『まあ、本人も喜んでいるし・・・覚えやすいでしょ?』
「まあ・・・それは・・・」
結局、4人の名前は・・・春恵・夏樹・秋穂・冬美で決定して、リッタルさん達工房班がネームプレートを炭焼きの合間に作っていたので、そこに彫り込んで完成させたのだが・・・
『レベル高いよな~』
思わずそうつぶやくぐらい、完成度の高いネームプレートだ・・・素材は炭焼きで余った木材片なのだが・・・細かい細工で魚の姿が彫り上げられ、中央部に名前を彫り込んで完成だ・・・
ん~なんだか統一感というか正面から見るとかっこいいんだよね~付けたみんなもまるで勲章のように扱ってくれてるし・・・
その後、丸太のコテージに戻って銃をいじったり滞っていた日常業務をこなして有る意味平和な時が過ぎていったが・・・
親父達が海までの道を完成させ、こっちでの遊びに飽きた領主が再び海に行きたいと言い出した辺りで急速な動きが出た!
『っで・・・親方が連れてきたの?』
「あぁ~きっちり縛り上げて処分はこちらに任せるってさ・・・」
なんと、俺を襲った(本人の自白で決定!)馬鹿を職人の親方が捕まえて大魚亭に連れてきたのだ・・・
『ん~っで・・・何で俺を襲ったって言ってるわけ?』
「ん?ん~~~それがな・・・」
ゴバックさんの話によると・・・馬鹿一号!事、職人の親方の息子名前がピロンって言うらしいけど、彼が王都に戻されて酒場で酔っぱらいながら愚痴を垂れ流していると・・・
「ピロン、ずいぶんとまあ~景気の悪そうな面をしてどうしたんだ?」
「ん・・・あぁ~てめーか!どうでも良いだろ・・・一人にしてくれ・・・」
って感じでお決まりのやりとりがあって、上等な酒とお姉ちゃんの居る店に連れて行って貰ったピロン君があっさり全部話した相手が普段からの顔見知り(まあ~ろくでなし仲間)で貴族の3男坊だったらしく・・・
手を貸してやるとそそのかされて、その男が手配したらしい2人の男と俺を襲ったらしい・・・
ま~本人はいたって本気で俺を狙ったらしいのだが・・・そこは訓練も何もしてない一般人?見習い職人?だったため最初に撃つ事も出来ず、途中で何度か矢を撃ち込んでたらしいが・・・まあ、当たらないよな・・・
で、襲撃に失敗して撤退したわけだが・・・根性無しの馬鹿だから、急に怖くなって親父に泣きついたらふん縛張られて連行されてきたらしい・・・
まあ、馬鹿の処分で多少ゴタゴタはあったけど・・・俺が『誰かにナイフを刺された時に、刺した相手を恨んでも刺さったナイフを恨む気はない!』って宣言したらだいぶ沈静化したよ・・・まあ、職人の親方は感激してたし、「息子を真人間に戻す!」とか言ってめちゃくちゃ厳しい修行をさせるみたいだし・・・うちの村からの依頼には今後格安で対応するとか約束してくれて・・・早速、海にも同行する事になったし・・・
『結構良い感じに収まったかな~』
「いや・・・貴族への報復がまだだ!」
あぁ~うちの親父って結構ねちっこいんだね・・・貴族への復讐ね~ま、いい手を思いつくか誰かが考えたら乗ってみるのもてかな・・・
あっさりと事件終幕?
とりあえず別の話はネタ帳に封印したので・・・頑張って更新を続けます。




