055 悪夢の再来②
本日も3話更新!
第55話 悪夢の再来②
午前中の休憩でリバースしちゃって顔色の悪かった領主・・・昼飯を美味しそうに喰ってるんですが・・・回復力ハンパ無いです・・・って思ったら・・・治療して貰ったのかよ!
アレってかなり疲れるはずなのに・・・こんな所で使って良いのか?
しかも今の時期って・・・「ぐががぁあ・・・」あ!フラグだったか・・・
休憩中の俺達の前に大きめのグランドベア1頭とその子供らしい小さな個体が2頭現れたんですが・・・
ま、休憩中とは言え全員でだらだらしてるわけもなく・・・文字道理、現れたと思ったら「サク!」っと討伐されましたよ!
なぜか領主の手から消えたフォークがグランドベアの目に刺さった状態で・・・
何ですかその技?・・・見えなかったんですが・・・つうか!何で領主がそんなに強いのか謎なんですが・・・
技量に感心して領主を少し見直したんだが・・・ヤメロ!そのドヤ顔!!少し見直しかけてたのに・・・ぶち壊しだって・・・
まあ、グランドベアの襲撃も有りましたが・・・先ほど俺が考えていたのは今の季節(ふぅ・・・大丈夫だな)が、初夏って事!
前回、厳寒期に海を目指したのは害獣が冬眠してるって事も関係有ったんだよね・・・泥まみれで湿地帯とか徒歩で・・・って言うのが嫌だったのもあるけど・・・
今回は親父達が道を造っていたので利用したが・・・もし道が無かったとしたら、俺は少数で船を使って森の手前・・・湖の対岸まで渡って海を目指すつもりだったんだけど・・・
ま、そんな事を考えていたら休憩終了で出発することになったんだが・・・いや~親父達って頑張ったのね・・・
道自体は凹凸がかなりあるし、夏に向かって元気の良い草が伸びてるんだけど3m~4mの道幅で木が伐採され結構奥まで続いている・・・
道は森の半ばぐらいで無くなって、その後はちょっと苦労したけど・・・何とか夕刻には海に到着した。
(日が長くなったおかげだね!)
で、まあ~いつものようにテントを張るんだけど・・・領主の使ってるテント・・・型って言うか基本は俺達と同じだが、金糸で模様が入ってたり細工が入ってたりやたら豪華だな・・・
(てか・・・何時の間に同じようなの作ってるだよ!)
小型の馬車といい・・・このテントといい・・・何か計画性が非常に高い気が・・・突然思いついたかのように言ってたが・・・やっぱ油断できない人だ・・・見かけと言動で騙されると絶対に後悔する事になりそうだな~
翌日に備え、宿泊準備が終わった後簡単な食事を取って寝る事になったが・・・
領主の連れてきた護衛の人達ってプロだわ・・・俺達も全面的には信用してないらしく夜の護衛を全部肩代わりしてくれた。
(ま、領主が迷惑な存在だって言う自覚というか考えも多少あるだろうけど・・・)
当然俺達は喜んでその提案に乗って全員ぐっすり寝たよ!
『ふぁ~~よく寝た!』
快適な目覚めで気分が良い俺は、早速海岸に出て昆布を拾い貝を集めてテントに帰ると・・・みそ汁とご飯を炊き朝食の準備を始めた。
『やっぱこれだよね~!』できあがった炊きたてご飯に貝のみそ汁・・・卵かけご飯でこっそりそれを喰う!
なぜか知らないけど・・・親父やゴバックさん、ケントですらこの卵かけご飯だけは拒否するんだよな・・・だが、俺は喰う!
(美味しいのにな~)
見るのもダメらしい卵かけご飯を、みんなに隠れてこっそり喰ってから食休みとミーティングをしてから食材収集開始です。
俺は領主を当然のように放置して・・・前回同様少し歩いた所のある岩場で罠かごを設置して、昆布を拾いながらみんなの所に戻って水温を確かめる。
ん~ちょっと冷たいけど・・・何とかなるかな・・・ま!上手く行けば泳がなくても良いんだけどね!!
自分の空間からカヌーを取り出し折りたたみ式にした筒状の木を組み立てガラスの入ってない箱メガネ(ガラスは間に合わなかった)と長くつなげた槍の柄に三つ又の先を取り付けて突きん棒にしカヌーをこぎ出した・・・
『お!結構使えるじゃん!!』
四角く組み立てた箱メガネというか木の筒を海に入れると、多少ぶれるモノのそのままよりも数段見やすく海の中が見える。
『さて・・・まずは昆布を・・・』
俺は海底の岩場に張り付いた昆布を突きん棒で突き刺し、ぐるぐると回して絡め取るとカヌーに上げようとした・・・
『ぐぬぬ・・・結構重いぞ・・・これ・・・』
予想以上の重さで苦戦したけど・・・何とかカヌーの上に昆布を引き上げ太くて良さそうなのを自分の空間にしまい残りを捨てたら・・・何度かその作業を繰り返した後・・・
『コレで見やすくなったし・・・一石二鳥だよね~』
昆布を剥がした後の岩場を探っていくと・・・
『居ました、居ました!居ましたよ~愛しのウニちゃん!』
昆布を回収しウニを捕って、たまに魚を突いてみるが・・・コレは上手く行かない(><)
有る程度貯まったので海岸に戻って昆布を干しに行こうとしたら・・・領主と親父達に掴まった・・・
(忙しいんだから、説明なんて後にしてよ!)
仕方が無く俺が使った道具や使い方を説明して・・・拠点近くで回収した昆布を干し、ウニをクーラーボックスに入れた後で再び海に戻ったら・・・カヌーを勝手に使われてるし・・・
仕方がないからパンイチになって、ナイフと浮き輪もどきを改造して作った浮きバケツを又自分の空間から取り出して、ロープを足に付けて素潜り漁に変更した。
(おおぉぉお!水中メガネはないけど結構見えるもんだよな~)
(お!アワビ発見!)
(おおお!!コレってホタテ?)
水面に浮かんでは浮きバケツに漁果を放り込み、又潜って探索と回収を繰り返してたら・・・
『何で父さん達がここにいるの?』
「いや・・・何をやってるか気になって・・・」
『何をって見ての通り・・・貝とかを集めてる最中だけど・・・』
「いや・・・何を取ってるか気になっただけだ・・・」
『まあ・・・見たまんまだけど・・・?』
『ん?何か変だな・・・?!』
『父さん・・・ひょとして泳げない?』
「な、何をいきなり・・・俺は泳げるぞ!」
「あぁ~そうだよな~顔を水につけられないだけで・・・一応泳げたよな~」
俺達の話を黙って聞いていたゴバックさんが、ここぞとばかりにニヤついた顔で親父の秘密を暴露してきた!
(あらら・・・そうだたのか!)
「な、何を言うんだ・・・ち、違うぞ・・・いや違わないが・・・」
すっかり混乱しちゃって・・・親父が何を言ってるか理解するのが大変だったぞ・・・
口ぶりからしてゴバックさんは泳げるようだけど・・・どこで練習したんだ?プールって王都にあるのかな・・・あ・・・風呂!ってことは無いよな・・・さすがに・・・
(後で聞いたら正解は風呂だった・・・ま、子供の時らしいけど・・・)
とりあえずおやじを落ち着かせて・・・アウトリガーに掴まって一緒に岸まで帰った・・・飯にするつもりだったのにケントとかに混じって領主から質問攻めにあったよ!
『いや・・・だから・・・で・・・そう・・・って!飯喰わせろ!』
「ごめんごめん・・・じゃあ最後に一つだけ!一つだけお願い!」
『はぁ・・・じゃあ、最後にして下さいよ・・・』
「うん・・・え~っとね・・・そう言った発想はやっぱり別の記憶から出てるの?異世界の知識?」
『ん~まあ、イエスでもありノーもあるって感じでしょうか・・・基本的には異世界の知識ですが・・・この世界に合わせて自分なりに変えたり、こっちのモノを見て発想を変えたりする事も多いですから・・・じゃ!コレで終わりです。』
「あ~うん・・・またあとでね~ん」
何が、「またあとでね~ん」だ!さっさと食材を補充して俺は帰るぞ!まだ試したい事もあるけど・・・まずは食材の調達優先だからな・・・
『夏だな・・・』
素潜りを続けて結構冷えていた俺の身体が・・・昼になってぎらつきを増した太陽と炊事用?のたき火で暖められ・・・熱いくらいに戻っている・・・
『夏と言えば・・・ウナギだけど・・・こっちでも取れるかな?、まあ・・・戻ったら竹で仕掛けでも考えて湖や川で試すか・・・』
あ!そおいえば・・・もうすぐ兄さんが帰ってくるんじゃ・・・
『新年の時は、なんだかんだであまり話も出来ないで終わったからな・・・』
「新年がどうしたって?ちょっと気が早いんじゃないか?」
『あぁ~ケントか・・・』
「あぁ~~ケントかじゃねえって!さっきからずいぶん無視して好きかってやってくれてるよな~」
『いや・・・ちょっと・・・食料品の調達で少し焦ってな・・・』
ちらりと領主を見てから視線を戻し・・・
『厄介なおまけもいるし・・・』
「ま~そうだな・・・んで・・・聞くけど・・・海の水って・・・潜っても平気なのか」
『そりゃ~見てただろ!俺が潜ってるの・・・全然平気だって!』
「そうか・・・ん~じゃあ、昼からは俺も潜る!」
『ふ~ん・・・じゃあ、こんな感じの大きさのナイフと・・・ん~良いや!俺の道具を全部貸すよ!』
『どうせ、昼からは違う事やろうと思ってたし・・・』
本当は素潜りを続ける予定だったが・・・ケントが加わるなら・・・
俺は今回のために・・・って訳じゃないが、次に海に行った時使おうと色々準備してた道具を思い浮かべて、予定を変更する事にした・・・




