053 記憶って有る意味チートですね~
本日2話目です。
第53話 記憶って有る意味チートですね~
大魚亭に帰って、シェフの佐藤さんと進水式について相談してたんだけど・・・
親父にバレタ!・・・と言うか・・・都合良く通りかかったので、実際の進捗状況を聞いて話を進めようとしたんだけど・・・
親父が来るのって・・・3日後の交代だったような・・・アレ?
違和感なく話に加わっていたので、とりあえず疑問をしまい込んで話を続けたんだけど・・・進水式と炭を試すって話をしたら、親父の方から疑問がでちゃったよ・・・「進水式ってなに?」ってね!
まあ、俺も佐藤さんも・・・知識として普通に知ってる一般常識だったし、リッタルさんとか異世界組も特に疑問を感じていないようだったので気がつかなかったけど・・・
確かにこの基本内陸国家じゃ進水式なんて言っても知らなかっただろうね~
ま、俺と佐藤さんで軽く説明したら判ったみたいなんだけど・・・
どうにも宴会の種としての認識の方が強い気が・・・気のせいだよね?!
『で・・・話を元に戻すけど・・・』
『今言ったように進水式でできあがった炭の具合を見るのにバーベキューをしようと思うんだよね~』
「良いんじゃないか?ちょうど大魚亭も完成するだろうし・・・」
「貴賓室なんて本当はなくてもいい気がするからな~」
あ!親父・・・今、サピオさんの事考えて言ったろ!サピオさんのための貴賓室じゃないってーの!!
俺が、すぐさま貴賓室の使い方についての考え・・・貴族とか豪商を呼び込んで金を落とさせる・・・を話すと・・・納得してくれたのは良いが、貴賓室完成まで宴をのばして・・・全部纏めてもっと盛大にって話になってきた・・・
『まあ、そう言う考え方もあるだろうけど・・・とりあえずお試しだし・・・全体の打ち上げというか完成の宴会は全部が出来て方で良いんじゃないか?』
『僕としては、進水式が不要でも炭の確認はしたいからバーベキューだけはするつもりだし・・・』
(のばしたり無しにしたら・・・命の危険を感じますし・・・)
「ふむ・・・そうか・・・んじゃ、明日にでも進水式をやって、全力で残りの作業を支援して6月中に完成させるぞ!」
『え!6月中に完成させるの?』
何かがおかしい・・・予定では7月の中旬までだったはずだし・・・3日早く親父が来た事といい・・・
『父さん・・・何があったの?3日も早く来てるし・・・完成予定を繰り上げるなんて・・・』
「ん・・・あ・・・いや・・・」
「サピオからな・・・村に連絡が来ていてな・・・7月に入ったら・・・来るんだって・・・こっちに・・・」
『え!聞いてないよ!!』
「一応な・・・言ってただろ・・・夏に戻るって言うか来るって・・・暦の上では7月に入ったら夏だし・・・」
なんか・・・聞いちゃ行けなかったような・・・親父の顔が怒りというか・・・怒鳴りたいのをこらえてる感じになってるし・・・
『えっと・・・とりあえず6月中に完成させて7月にはサピオ氏が来訪って事でいいわけね?』
さらりと事実のみ口にした俺を一瞬見た後、「そうだ・・・」っと不完全燃焼っぽい顔で答えた親父を見て何かあるんだろうと思いつつ無視する事に決めた!
(だってさ・・・つっこむとまずそうなんだもん)
まあ、決まったら早いのは凄いと思うよ!
翌日の昼に進水式、夜にはバーベキューが行われリッタルさん達が恍惚とした表情で喰いまくってるし・・・狩猟団や職人さん達もメチャメチャ喰ってるからね・・・
裏方の宿泊部門担当と厨房担当はメッチャ忙しいみたいだけど・・・すっかりなじんでやっぱ「プロ」の知識と経験、教育って凄いな~っと感心させられた・・・
その後、工房班とでも言うべき俺のグループはサクサクと作業をこなし、炭を焼いて貯蓄する傍ら・・・陶芸用の窯を作るべく全員で想念法の土系操作を行い、耐熱石とでも言うべき素材を作っていった・・・
作っていく中で判ったんだけど・・・焼き物とか陶磁器って段階とか色々な方法があるのね・・・俺は漠然と登り窯?って言うのか・・・某TV番組で見たようなのを想像してたんだけど・・・
陶芸班の1人と炭焼き班の1人・・・この二人は野焼きって言うのかな?大昔から有る焼き物の方法で陶芸って言うか器を作ってたんだって・・・炭焼き班に1人混じってるのは俺の言い方がまずかったかららしい・・・
(まあ、焼き物・陶芸って言えば窯だ!って固定概念があるとね・・・)
んで、残りの陶芸班のうちリッタルさんは一応レンガというか・・・規格のあるブロックを積み上げたりした窯で焼き物を作ってるところから仕入れを行い、趣味というか腕を鈍らせないように一部自分の作品を焼いてたそうだ・・・リッタルさんの家って代々陶芸家というか職人だったらしいけど、リッタルさんの親が商店を始めて身内や仲間の製品を売る販売方面に移ったらしい・・・まあ、だからこそガラスとか別分野の事も知ってたのだから俺にしてみればラッキーだよね~
もう一人の移住者で職人のラスターナさん・・・彼は一番職人らしく活躍していて・・・そのために殺されたらしいんだよね~何だか俺にはよく判らないけど・・・虹色に輝く焼き物を作る方法を伝承してた一族らしく・・・それを狙った貴族に殺されたらしいんだよね・・・
まあ、深くは聞かなかったけど・・・素材を見つけたら再現にチャレンジしてこっちの世界で頑張るって言ってくれてるので期待できそうだ・・・
そうそう、もう一人・・・野焼きの職人ロブさん・・・彼がなぜ死んだのか?
確か貴族に殺されたって聞いてた気がするので、何で野焼きで?って疑問に思ってちょっと聞いちゃったんだけど・・・
恋愛がらみだったYO!幼馴染みの恋人を見初めた貴族に逆らって・・・って話を聞かされたので・・・正直ちょっと疲れたね・・・精神的に・・・
ま~やっぱ異世界(この世界以外)って結構危険みたい・・・夜盗に襲われたり強盗がでたり・・・貴族にも殺されたりね~
考えたら結構良い世界に生まれ変わったみたいで・・・改めて幸せを感じちゃったよ!
あ!大事な話が抜けてた・・・これだけ技術格差があると上手く行かないんじゃない?って思えるでしょ?んで、俺も聞いてみたのよ・・・そうしたらね~
こっちに来る時、何か神様から理解力を底上げされてるらしくって・・・ここまで作業を進める間にお話し合いというか、自己研修会みたいなミーティングをしてくれていたらしく・・・炭焼き班も含めて有る程度みんな知識を共有してるんだって!
(いや~やっぱこの世界って有る意味全員チートだよね~)
普通研修なんか多少したってそこまで理解できないよね?・・・俺だけ?・・・いや・・・俺は普通のはずだ・・・聞いた話じゃ、興味を持ったケントも最初は参加したらしいけど出席しなくなったって言うし・・・うん、俺は普通、普通!そう普通だ!
まあ・・・色々あったけど・・・湖畔の集落は全部完成した!
増築が完了した大魚亭を中心とした従業員棟、貴賓室棟に管理人の自宅2軒にパークゴルフ場・・・弓の的当て場、屋外プールにアスレチック遊具場・・・湖畔側は全部出来てるんだけど・・・俺の担当してる方は、炭焼き窯の完成と・・・陶芸窯は未完成です。
遊んでたわけじゃないぞ!・・・思った以上に耐熱石の製作が大変なんだって!
一応、俺以外は全員土系と火の系統属性を持ってるみたいだけど・・・魔法とか異世界で使っていた訳じゃないただの人が、こっちに来て使えます「ハイそうですか!」って想念法が自由自在に使える訳じゃないからね!この国には焼き物を作ってる所なんて無いし・・・鍛冶屋系は人材が豊富って言うか余ってるから、ここにいる全員仕方が無く農業研修をしてたって話だし・・・
現状で1日1人5個のレンガサイズの耐熱石を作るのがやっと・・・多少のばらつきもあるし俺は2個作ったら限界だし・・・護衛の狩猟団込みで日産40個程度がせいぜいなんだよな・・・
作業次第じゃゼロって日もあるし・・・やっと2000個ぐらい貯まったけど全然足りないようなんだよね~
『まあ・・・陶芸の方は炭焼きの合間に耐熱石を作って、ゆっくりやっていきましょう!』
「ま、急ぐのも無理ですし・・・規模を小さくしすぎると効率も悪くなりますからね・・・」
焼き物工房班リーダーのリッタルさんと今後の事を話して、とりあえず明日の完成祝賀会?の打ち合わせをするため佐藤さんを探しに厨房に行くと・・・
「あ!アレンさん・・・実は・・・」
問題発生!・・・佐藤さん曰く、祝賀会や1月程度なら今の手持ちで問題ないが・・・昆布とインチキ節、海産物がかなり減ってるらしい・・・
醤油や味噌と言った調味料系は行商人ルートで仕入れが決まってるんだが、昆布や海産物は自分で取りに行かないと無理なんだよね・・・魚節は自分で作るか、村から仕入れる事も可能なんだが・・・
又親父に相談しないと・・・(ふぅ・・・)
『何とかする・・・とりあえず、明日は問題なしって事で良いのかな?』
「あ、はい・・・明日についてはバッチリです!あと・・・領主様が来られても2~3週間なら対応可能です!」
あ~領主様ね・・・俺もサピオ氏とか言っちゃまずそうなんだけど、つい口に出しちゃうから気を付けないと・・・
『了解!んじゃあ、食材については親父達とも相談して・・・早期に問題解消するから、それまで宜しく!』
「はい!任せておいて下さい!決して見劣りしたり手を抜いた料理は出しませんから!!!」
あ~早く食材をどうにかしないと・・・親父を捜すか・・・
俺はこの後、親父に相談した事を後悔するハメになるのだが・・・未来の事なんて知るわけもないので、親父を捜して大魚亭の周囲をうろうろと探し回り・・・とりあえず仕事もなくなってゴバックさんと湖に釣りに出ようとしていた親父を捕まえ・・・相談する事に成功した・・・
やっぱり全員が使える想念法(魔法)って・・・世界の発展を歪める気がするんですよね~
初期の頃はあっても、戦争とか争いで消え去った技術も多そうですし・・・
都合が良いように色々考えたんですが・・・アレン君が頑張らないと緩やかに滅亡の予定?アレン君頑張れ!(笑




