052 まったり生活?そんなに甘くないよ!
本日は金曜日何とか準備できたので・・・3話更新!
第52話 まったり生活?そんなに甘くないよ!
『もう嫌だ~~~!!』
何が嫌かって?もちろん現在の俺の扱いだよ!
ケントをぶん殴った後、狩猟団の残りメンバー全員に「アレン君、モテモテですな~(ニヤリ)」って、会うたびに言われる俺の気持ち判ってもらえるかな~
いや・・・まだね・・・若手に言われるとか苦笑気味に親父世代に言われるのは我慢できたんだよ!
でも・・・まさかゴバックさんにまで・・・その後は、職人とか一部の従業員にも言われるし・・・
『俺、村に帰って良いかな?』
「何黄昏れてやがる!仕事をしろ!仕事を!!」
いや・・・ゴバックさん・・・この状態になった責任の半分はあなたにあるはずですよ?
俺はゴバックさんへの理不尽な思いを抱えつつ、仕方が無く相談のため職人さんの所に行った・・・
基礎の作業をしてる職人さんは~っと・・・居た居た!
『すみませんが~ちょっと良いですか?』
「ん?お!モテモテ坊主じゃないか・・・どうした?」
先制攻撃で俺の心にダメージを与えてきたが・・・仕事だ仕事!ぐっとこらえて質問をした。
『え~っとですね・・・今、山の方で窯を作ってるんですが・・・窯を作るのに高温でも大丈夫な素材かモノを教えて頂ければと・・・』
「ほう~高温ね~・・・」
「高温と言っても結構幅があるけど・・・どれぐらいの温度に耐える事が出来れば良いんだ?」
『ん~そうですね~ガラスを作るか鉄が溶けるぐらいで・・・』
「ふむ・・・まあその程度なら簡単だな~」
『え!本当に?』
思ってもいない職人さんの答えにビックリした俺が聞き返すと、いぶかしげな目で俺を見ながら職人さんが教えてくれた・・・想念法を使え!っと・・・
有る程度の慣れが必要だし念量も増えるが・・・土や石を集めた後、想念法で細かく砕いて念を込めて圧縮した石に変えればそれぐらいの温度ならチョロいと・・・教えてくれた職人さんはあっさりと言た!(マジかよ!・・・やっぱ異世界技術つうか想念法って便利すぎ・・・)
俺の思いをよそに、案外と簡単な事を聞かれた(職人さん目線で!)職人さんは口が軽いのか・・・色々な事を教えてくれた・・・
ん~そうだったのか・・・そう考えるとあっちの世界にも昔同じ事が出来る人か集団が居たのかも・・・俺は知識として持ってる元の世界で、カミソリの刃が差し込めないほど精巧に加工された石壁を思い出していた・・・
まあ、最大の問題は解決したし・・・後は気楽にって・・・ひょっとして焼き物じゃなく想念法で加工したらコップや皿って簡単に出来るんじゃ・・・
思いついたので実験してみたが・・・まずは、形がバラバラで規格品にならないし・・・色がね・・・石そのものの色か元の色を濃くしたり薄くした色しか出来ないの・・・しかも作るのが大変なのよ!
土系統特化の人なら有る程度緩和できるんだろうけどきれいな形で薄く作り・・・水が漏れないほど硬化させるのって無理だから・・・コップ1個に1週間とか時間を掛ければ何とかなるかもだけど・・・
そんなに時間を掛けて・・・さえない色のバラバラの形のモノって需要があると思う?やっぱないよね?
さえない結果に終わった俺の実験中もサクサクと山での作業は進んでいて・・・今は冷却期間をおいた炭を取り出してる真っ最中です。
『おお!!結構良い感じじゃないか~!!』
「そりゃ~みんな馴れてますからね~こっちじゃ需要が少なくて、他の仕事をしてたりしてもベテラン揃いですから・・・」
『え!需要が少ないの?』
「まあ~こっちだと鍛冶屋さんに売るぐらいですから・・・」
『あ!そうか・・・』
そう言えばこっちの基本って・・・薪なんだよね・・・うちや大魚亭は火力が安定してるし便利だから念石コンロも使ってるし炭も結構使うけど・・・普通の家にはかまどって言うか薪を使った調理施設しかないし・・・炭は結構高いからね・・・
(前に聞いた時は20kgで銀貨2枚・・・薪なら無料か買っても銅貨数枚だろう・・・)
「えぇ・・・実際、作っても全然売れないんですよね・・・」
「だから、ここで炭を作るって聞いて・・・鍛冶工房でも作るのかと思いましたよ・・・」
『道理で先日バーベキューをしてたら驚いたわけだ・・・』
「アレは衝撃でしたね・・・あんなに美味しいとは・・・(じゅる)」
リッタルさんと俺の話を聞いていた他の人までよだれが出てるぞ・・・美味いとは思うけど・・・そこまでか?
「アレンさんは不思議そうな顔をしてますが・・・あんな利用法を考える世界は珍しいと思いますよ!」
『そうかな?結構あってもおかしくないと思うんだけど・・・』
「まあ、サトーさんとかサガラさんが居た世界じゃ当たり前みたいですけど・・・黒目・黒髪のあの人達が居た世界からの移住者って今じゃほとんど居ないんですよ~」
『え!何で?・・・』
「いや・・・私も詳しい事は知らないんですが・・・私がこっちに来た時にお世話になった神殿の人の話だと、20年ぐらい前から来る人自体が減ってきて・・・あまり来なくなっていつの間にか・・・って事らしいです」
「後・・・何だか来た事は来たけどおかしな事を叫び始めて、すぐに消えたとか・・・」
『おかしな事?』
「えぇ・・・何でも、最強?がどうとかチートをどうとかって言ってたらしいんですが意味がわかりますか?」
『げ!・・・』
ひょっとして・・・隠れオタの暴走か?こっちに移住してくる人って志半ばでとか・・・殺されたり事故にあったり・・・余りよい境遇じゃない人が多いらしいけど・・・こっちの神様って人の心が読めないか読むのがめんどくさいらしく、たま~に変な人が来たら記憶を消される転生組か元の魂に戻されるらしいんだよね・・・まあ、そうなるのって元軍人とか冒険者・・・こっちじゃ探索者って呼ばれる存在に多いらしいけど・・・
俺が教会で聞いた話じゃ・・・人命を奪う事に関連した意識の問題らしいんだよね~まあ、戦争とか争いを否定してるのに進んで戦争を起こそうとか人と争うのが(暴力的意味で)当然とか思ってる人は弾かれるらしいんだけど・・・妄想系も含まれてたんだ・・・って事はやっぱ心や思考が読めるのか?
確かにあの世界の話じゃ「選ばれし勇者」とか「特別な存在」って話が多いし・・・そんな意識の人が来たら・・・
(ぶるぶるぶる・・・)俺はおとなしく暮らしたいから大丈夫だよな?
そんな事を考えていると・・・
「思い当たる事があるようですね~良ければ教えて頂きたいのですが・・・」
『ん?あぁ~っと・・・ま、まあ・・・一種の適合不的確者って事だったんでしょうね~詳しい事は俺もちょっと判らないです!』
「そうですか?まあそう言う事にしておきましょう・・・」
ふぅ~怪しんでるようだけど・・・って言うか何か知ってると確信してるようだけど勘弁してもらえたようだ・・・
『炭焼きも成功したし・・・後はこつこつと陶芸用の窯に使う素材を作って、早い時期に焼き物を作りたいですね~』
「そうですね~料理自体は美味しいけれど・・・やっぱり木の器しかないのはちょっとですからね~」
「アレンさんの言っていた土鍋とかガラスの器にも興味がありますし・・・」
そう・・・ガラスの製法を知っているはずのリッタルさん・・・なぜか俺の話したガラスの水筒に興味津々なんだよね・・・
リッタルさんの居た世界じゃ・・・ワイングラスとか花瓶とかガラス製品が結構あったけど、飲み物を冷やすためのガラス製品って無かったみたいなんだよね・・・まあ、その辺りはこっちも似てるようなんだけど・・・って言うか・・・陶器とかも利用して無い時点で遅れてる?
『まあ、焦らずに・・・まずは陶器の器を完成させましょう!』
『ガラスはその後です!!』
(まあ、冷やすだけなら陶器でも充分だからね~)
「そうですね・・・次は陶器ですね・・・」
話題を変えて無難に話を纏めた俺は、みんなとできあがった炭を袋に入れた後に自分の空間に収納して大魚亭へ戻っていった・・・
移動の途中で木々の間からちらりと見える大魚亭・・・
『だいぶ変わってきたな~』
増築が進み従業員棟が完成した後、管理人夫婦の家も出来て現在は大魚亭そのものの増築の段階だ・・・結局スペースの問題で従業員棟が後ろに建てられ、並んだ形で管理人夫婦の家が2軒建って大魚亭の増築は今ある2棟目・3棟目を向かって右側にのばす形が採用されたが・・・この分なら夏までに(7月中旬ぐらいには)なんとか貴賓室のある建物も完成するだろう・・・
懸案だった大型船もほとんど完成して、後はケント式推進器の取り付け・・・実際に湖で実験するだけだからな・・・
推進器は発明したケントが一生懸命指揮を執ってたし・・・たぶん大丈夫だろう・・・
『進水式には何か御馳走でも出すか?』
『ちょうど炭も出来たし・・・間は空いてないがバーベキューで実際に作った炭を試すのも良いかもしれないな~』
「アレンさん!又バーベキューが食べられるんですか?!」
俺の独り言とも言えるつぶやきを聞いた炭焼きメンバーが、全員俺を見ながら固唾をのんで答えを待ってる・・・
(ここで違うとか言ったら・・・俺どうなるんだ?)
無言の圧力に負けた俺が・・・
『ま、まあ・・・作った炭も試したいし・・・バーベキューで良いんじゃないかな~』
って言ったとたん「やったー!」とか「又あの味が・・・」とかみんな喜んでるようだ・・・まあ、良いんだけどね・・・
帰ったらシェフの佐藤さんと相談しなきゃな・・・そんな事を考える俺と喜ぶメンバーは大魚亭への道を足早に戻っていった・・・
大魚亭の増築は予定変更!
よく考えたら裏には・・・ま、まあ修正したので見逃して下さい・・・




