051 話し合いとは拳で語る事?
アレン君には苦労の連続です。
第51話 話し合いとは拳で語ること?
精神的疲労で眠りにつくべく丸太小屋に向かおうとしたら・・・若手の職人さんに掴まった・・・
「あ~えっと~ちょっと良いかな?」
疲れ切っているが無視するわけにはいかないので・・・仕方がない・・・
『はい?何でしょう?』
「いや・・・その~ここに夜のサー・・・」
瞬時に頭を覚醒させ話をしてきた職人をにらみつけると・・・
「ビス・・・いや・・・睨まないで欲しいんだけど・・・」
『何を聞いたか知りませんが・・・当施設で相手の同意無しに何かをした場合・・・物理的に消えて貰いますので・・・お忘れ無く!』
「え?・・・いや・・・ちょっと・・・」
まだ何か言いたそうだったが・・・キッパリと無視してもう一度女性の部屋に戻ると・・・
(コンコン)「は~い」
『夜分遅く何度もすいません・・・』
「いえ・・・ところで・・・何か?」
『先ほどの話に少し関係してるんですが・・・実は、先ほど若手の職人さんから・・・その・・・夜のサービスという話が出まして・・・あ!勘違いしないで下さいよ!きっちり釘は刺しておきましたから・・・』
『ただ・・・この話を知ってるのは僕とあなた方に相楽さん達、うちの親父ぐらいだと考えていたのですが・・・どうもどこかで話が流れてる可能性があるので、もしそんな話が出た場合の対処について一言お話しにきました』
「は、はい!」
『まあ、先ほども言ったと思いますが・・・私たちの元で働いて頂く以上、本人の希望や気持ちを無視して何かを強要した場合には、それ相応の対処を私たちがきっちりさせますので、もし何かあったらすぐに私たちにお知らせ下さい』
『言っても判らない馬鹿には消えて貰いますから・・・』
にこやかに笑いながらさりげなく武器を付けた腰を叩くと、ちょっと怯えた感じがあったものの判って貰えたようだったので安心する事が出来た・・・
しかし・・・俺はまだ扱いでも12歳のはずなんだが・・・なぜにこんな苦労をしてるんだろう?
しかし・・・こういった問題は根が深いよな~この世界の常識は知らないけど・・・記憶に残ってる日本なんかでも結構色々あったからな~必要悪ってヤツになるんだろうか・・・幸いというか・・・俺には別の記憶があるせいも有って、自分より年下でも年上でも恋愛対象って居ないんだよね~どうにも・・・20歳ぐらいの大人でもお嬢さん・・・って感じで年下の感覚があるんだよな・・・強いて言うなら親父や母さんの世代に近い精神的年齢らしく・・・場合によっては親父達すら子供に思えるんだが・・・俺の記憶って一体何歳なんだ?
改めて丸太のコテージに帰りつつそんな事を考えて・・・到着した後も寝床に潜り込んで考えていたらいつの間にか寝ていた・・・
翌日身支度を調えて朝飯に向かうと・・・パンにスープ、ご飯にみそ汁!おかずは洋食系が多いが、記憶にあるホテル系の朝食バイキングによく似た光景が目の前にあった・・・
『やっぱいいよな~』
そんな独り言を言いつつ、さっそくご飯にみそ汁焼き魚にっと定番和食をかき集め親父達には、けっして判らないであろう感動と共に朝食を食べた!
今さらだが言っておくと、この世界での一般的朝食はパンとスープ!他におかずがつけば充分豪華だといえる・・・食事をイメージ的に言うと、朝食はとにかく量!がっちり喰って1日のエネルギーを得る感じで・・・昼食は場合によるが・・・結構軽めであっさりと喰う場合が多いな・・・ま、俺達の場合移動中の事が多いからかもしれないんだが・・・んで、夜・・・コレは色々あって場合によるとしか言えない・・・お客さんが来たり酒の席だとつまみ系が増えるけど御馳走になる率が高いし・・・
何もない時だと、ちょっと手間が掛かるけど美味しい物を軽めにって言うのが多いかな~
まあ・・・当然、俺はおかわりをしてがっちりと喰ったよ!
朝食の後、洗い場の片づけを待ちつつお茶を飲んで集合を待つ・・・ちょうど片づけが一段落したところでみんなが集まったので朝のミーティングを始め、昨日決めた班分けで作業を進めて貰う事にした後で炭焼き班と一緒に建築予定地に向かった。
「アレンさん・・・ちょっとお話しが・・・」
作業をしていた俺にリッタルさんが言いづらそうに声を掛けてきた・・・
『はい?何ですかリッタルさん・・・』
「え~っとですね・・・窯の事なんですが・・・」
『はあ?』
間抜けな返事を返した俺にリッタルさんは呆れることなく話を続けてきた・・・
リッタルさんの話では窯の建築に重要な問題が残ってるという事だ・・・寝耳に水だったので驚いたが・・・炭焼きの窯には問題はない・・・問題は陶芸用とガラス用の炉についてだ・・・
リッタルさんも残りの5人も陶芸用の窯やガラス用の炉を作った経験が無く、使用していた耐熱レンガ?などのこの世界での入手先は知らないというのだ・・・
(つうか・・・この世界に耐熱レンガなんてあるのか?)
とりあえず当面は炭焼き窯で、コレには土と木やムシロ・石材が有れば充分なので問題はないが・・・
(後で親父にでも相談してみるか・・・)
リッタルさんにはとりあえず何とかする予定なので、今は炭焼きに集中してくれと言っておいたが・・・
まあ、知らない事を考えても仕方がないし・・・作業に集中しよう!
ま~そんな事を思っていたが・・・昼の弁当を食べ作業を進めているウチにだんだん俺のやる事が無くなってきた・・・
炭焼き窯を作るには行程があるのだが・・・最初、窯の大きさより大きめに土を掘ったり・・・粘土に置き換えたり・・・大雑把な窯の形にするところで俺は大活躍と言っていい働きをしてたはずなのだが・・・
窯の形を整えたり焚口や煙道を作る細かい作業になると、コツというか経験が無いと手が出せず・・・結局、木を切って乾燥させたり保管に使う小屋を建てる方に回り・・・簡単だったのですぐにそれが終わると・・・薪集めになった・・・
作業が進んで・・・炭焼きに使う薪の乾燥が終われば、すぐにでも炭焼きを開始できるところまで来た・・・
まあ、明日以降は薪や炭用の木材を集めつつ炭焼き場周囲の柵を補強したり雑用が色々ありそうだな~、一端周囲をキチンと囲んで安全が確保できたら警戒に1人か2人残して護衛役の人間で薪集めって感じに分担作業にしても良いかも・・・考える事が多くて頭が痛いな~
夕方になり、大魚亭に戻って親父に話をしようと建築現場に向かうと・・・・
「おい!ちょっと顔を貸せ!」
『は?なに?』
いきなり肩を掴まれ4~5人がたむろする建材の陰に連れ込まれた・・・
『何か用ですか?』
「何か用かじゃねーよ!」
「昨日は良くも恥をかかせてくれたな・・・」
『は?』
「は?っじゃねえよ!昨日お前に話そうとしたら無視して消えたろ!」
あぁ~この人昨日俺にくだらない話を持ちかけてきたから一応注意しておいた人だ・・・んでこの状況って事は・・・本気でくだらないな・・・
『そう言えば・・・昨日くだらない話を話しかけた人ですか?』
『昨日言った事は私たちの総意ですから覆しませんよ!』
「いや・・・考え直して貰うぞ!」
「オイお前ら!ちょっと世の中ってもんをこのガキに教育してやれ!」
馬鹿の取り巻きだろうか?周りを囲んでいた若い兄ちゃんの1人が俺に殴りかかってきたが、黙って殴られてやるギリはないので速攻で喉に半抜き手というか指を半分たたんで突きを喰らわせ、近くに立っていたヤツに金的をけり込んでやったが・・・
最初から少し離れて護衛のように立っていたヤツに角材で頭を殴られて、意識が飛びそうになった辺りで形勢が逆転して・・・かなり抵抗したが掴まった・・・
まあ・・・その後はお決まりで・・・「この野郎とか」・・・「調子にノリやがって」などと言われつつ殴られたわけだが・・・
「てめえら!ウチのアレンに何をやってやがる!!」などと言って親父が乱入して・・・
俺の眼前には、ぴくりとも動けない馬鹿が5人と・・・親父にくってかかってる職人の親方達5人ほど・・・それを取り囲む狩猟団と職人達という有る意味お約束の光景が存在する・・・
『ふぅ~~何とか片づいたな・・・』
あの事件というか出来事の後、話がかなりもめた・・・馬鹿どもは当然のように真実を語らず・・・俺が突然襲いかかってきたとか言い出すし・・・やっと押さえ込んだところで親父にぼこぼこにされたとか言われた時には又親父が大騒ぎしだすし・・・
まあ、結局親父を呼びに行った別の職人の証言と馬鹿どもの日頃の行いや、女性従業員についての馬鹿話を聞いていた職人の証言があり決着したんだけどね・・・
最初に俺に話しかけてきた馬鹿!あいつは職人をまとめてた親方の息子だったらしく事実を知った親方から勘当された・・・
仲間の馬鹿3人は減給の上で下積み期間延長、護衛っぽいヤツは本当に護衛だったらしく・・・減給と馬鹿につきあわないよう説教が親方達により数時間にわたり繰り広げられたらしい・・・
ま、相手はダメージがでかく村に戻しての治療と王都への強制帰還が決まってるし、俺の方は武装は使ってないけど新しい防具がキチンと役目を果たしちょっとした怪我で済んだ・・・
(まあ、護衛からの1撃以外は、顔を馬鹿に少し殴られてたら親父がすぐに来たからな~)
んで今の俺の状況は、この騒動が収まってすぐに、交代要員のゴバックさん達が来たので親父に連行された馬鹿ども(骨折等の重傷者4名)が村へ帰るのを見送ってケントと話してる最中だったりする。
『って訳で一件落着って事だ!』
「へぇ~結構大変だったな~」
真剣な表情で俺の話を聞いて感想を話し始めたケントだったが・・・
「アレンさん・・・お茶のお代わりをどうぞ・・・」
『あ!どうもありがとうございます』
「いえ・・・」(ニッコリ)
って感じで俺が・・・事件を知ってキチンと守ってもらえるんだ!と納得できた女性従業員達から優しくされてるのを見た瞬間に、(にやりと笑いつつ)「アレン君・・・モテモテですな~」などとほざいたので、とりあえずぶん殴った!




