050 加速していく変化③
う~人の名前が・・・人の名前が大変なんです!
第50話 加速していく変化③
午後からはとりあえず全員に食堂に集まって貰い、今後も朝と昼の最初だけ集まってミーティングをする事を伝える。
『え~っと、今後の予定ですが・・・皆さん素人じゃないって事ですので・・・』
俺は人事と今後の発表を告げていく・・・
『まずは調理部門、佐藤さんがチームリーダーでサラさんとリンダさんの三人で厨房をお願いします。手が足りない時や仕込みを手伝う事はあると思いますが・・・基本的に配置は3人ですので注意して下さい』
『次に、宿泊施設管理ですが・・・沖田さんがチームリーダーでサブにイットーさん・・・クルツさんとエミリオさんも交代で受け付け業務など手伝う事がありますが、基本的には2人で相談しつつ大魚亭の宿泊部門の調整を行って頂きます。問題が発生した時には私に聞いて貰ってもかまいませんし、こちらの世界と自分の元居た世界での常識に関する事ならクルツさんでもエミリオさんでも大丈夫でしょう』
『宿泊施設の実作業と給仕ですが・・・相楽さん達8名で相談して作業分担を決めて下さい・・・清掃に関してはプロが3人もいるので工藤さんがリーダーになって相楽さんと協力してお願いしますね~』
『さて・・・炭焼きと陶芸ですが・・・一応午前中に見つけた窯設置の候補地でまずは炭焼きから始める予定ですので、リッタルさんがリーダーとなってまずは炭焼きを・・・有る程度炭の備蓄が出来たところで陶芸・・・時期が来ればガラスを製造して頂きます』
『え~最後になりましたが・・・私は狩猟団メンバーの3人と状況に応じてクルツさん・エミリオさんの6名で炭用の木の切り出しやその護衛、周囲の害獣駆除を行う予定です』
『何か質問がなければ作業班に分かれてミーティングや研修に入って下さい』
『では解散!』
とりあえず組み分けしてスタートさせたが・・・事前確認をあまり重要視していなかったため後々問題が発生した・・・
窯の建設予定地で、軽く伐採と整地を行い50m×50mほどの開けた空間を作り、薪の保管小屋と炭焼きの窯の縄張りを行い簡単な木の柵で周囲を囲ったら日が暮れてきたので大魚亭に戻り風呂で汗を流して夕食に向かうと・・・
『なんじゃこりゃ~!!』
俺の目の前には和洋折衷と言うか・・・様々な料理が所狭しと並べられている・・・
「すげーなアレン、何かの祭りか?」
仲間が聞いてくるが放置して厨房に向かい事情聴取だ!
『ちょっといいかな?』(ニッコリ)
「すみませんでした!!」・・・突然土下座だ!
俺は笑ったつもりだったのだが・・・失敗したようだ・・・
『え~っと・・・とりあえず事情を聞かせてもらえますか?』
「「はぃ・・・」」
何でも、コックと言うかシェフの佐藤さん・・・この世界にきてから10年ほどで、王都でも料理店に勤めていたらしいのだが・・・来る日も来る日もパンを焼き、スープを仕込み・・・肉を焼く毎日だったそうだ・・・しかも、ろくな調味料も使わせてもらえずに・・・んで!・・・目の前に俺の自作を含めた数々の調味料と海の魚介類・・・暴走しちゃったらしい、うん・・・気持ちはよく判る。判るんだが・・・
『ふぅ~~~う』
吸い込んだ息を大きく息を吐いて深呼吸で心を落ち着かせた俺は・・・
『作ってしまったモノは仕方がありません、みんなで食べましょう・・・ですが、今後は気を付けて下さいね!ストックしてる素材も無限にある訳じゃないんで・・・』
まあ、料理自体はめちゃくちゃ美味しかった・・・職人さんにも団員にも大好評だ・・・一応今回の料理は、新人料理長の腕試しって事で決着を付け美味しくいただいた・・・
俺が夕食後にくつろいでいると・・・
「すいません・・・今時間は良いですか?」
相楽さんが話しかけてきた・・・なんだ?何があった・・・
『え~っとここで話しても良いのかな?時間はあるから別の場所でも・・・』
「なら別の場所で・・・お願いできますか・・・」
とりあえず食堂の隅に移動して、仕切りの衝立を移動し人目につかないようにしてからお茶を勧め・・・
『それでお話しとは?』
「その~ちょっと言い辛いんですが・・・私たちの組に居る5名なんですが・・・」
『はあ・・・日本以外出身の方でしたね・・・』
「はい、その5人なんですが・・・その~えっと・・・」
『はい?』
「思い切って言います!あの方達は仲居とか女給ではなく夜の・・・その・・・夜のサービスがメインの方で・・・」
『へぇ?』
間抜けな返事を返した俺に意を決したらしい相楽さんがさらにつっこんだ発言を・・・
「ですから・・・その・・・夜の性的なサービスをメインとした女給さんでして・・・ベッドメーキングや掃除、給仕の方はあまり経験がないらしく・・・」
『はぁ・・・そうだたんですか・・・』
『え~っと・・・その件に関しては至急確認して善処しますので少しお時間をいただけますか?』
「はい・・・あの~~別に一緒に働くのがイヤとかそう言う事ではないですから・・・ただ、私たちもそう言ったサービスをしなければならないのかと思いまして・・・」
なるほど!納得がいった!!
『安心して下さい!ここでそんな事は絶対に認めませんから!!本人の意志に反して強要される事なんて絶対に許しません!!』
「はぁ~~・・・良かった・・・」
『ちょっと失礼してこの件の確認と対処に行ってきます、お知らせ下さりありがとうございました・・・』
俺は食堂で狩猟団メンバーと酒を飲んでる親父の耳を引っ張り食堂から出ておもてに向かう・・・
「痛い・・・いたたたた・・・」
「突然どうしたんだアレン?」
『父さん・・・たぶん僕が母さんにこのことを話したら父さん・・・1人になるよ・・・』
「へぇ?な、なんだ一体・・・俺は何もしてないぞ!」
『さっきね・・・宿泊部門の女性から相談があったんだ・・・』
「えぇ~~~俺は手を出してないぞ!浮気なんて絶対にしてないからな!!」
『へ~そうなんだ・・・でもね、その相談内容が・・・』
俺は親父に全部話して、どうするつもりか聞こうとしたら・・・
「くそ爺!ぶっ殺す!!」
話を聞いたとたん、親父がいきなり怒り出し・・・国王の別名を叫び呪詛を言い続ける・・・まあ、気心の知れた相手にしか判らない別名だし良いんだけど・・・
国王に対する呪詛を吐き続ける親父を見て、コレは本気で知らなかったようだと俺の方がかえって冷静になった・・・親父は国王の嫌がらせとかのたぐいだと考えてるようだが・・・とりあえずここでそんな事をゆる好きはないようで安心した。
『父さん!落ち着いて・・・とりあえずここでそんな事はさせないって事で良いんだね?』
「当たり前だ!俺がそんなまねさせるか!!」
『じゃあ、とりあえず当事者と話してくる・・・今後の事はそれからだね!』
「ふぅふぅ・・・判った!頼むぞ!」
俺はさっそく当事者の居る部屋に行き・・・(トントン)ノックをして返事を聞くと中に入って話を切り出した・・・
話をした結果・・・あの話は彼女たちの居た世界での常識だったらしく(彼女たちは借金奴隷とか契約で仕方が無く働いていたらしい)、この世界にきてそう言った仕事をしていた訳でもなく、別の仕事で生計を立てたいと思ったが・・・王国からの支援も少なくなって仕方が無くこの募集に応募してきたらしい・・・
俺がそんな事(夜の営業)は認めていないので、本人の意志でまじめに仲居兼女給として働いてくれるのをお願いすると涙を流さんばかりに喜んで・・・あぁ~まあ、凄く喜んでくれた・・・
(部屋を出る前に顔を拭いたのは内緒だ・・・特に両ほほを・・・)
お話し合いが済んだ後、食堂にいた親父に解決を伝え・・・相楽さんにも本人達はまじめに働くだけで余計なサービスというか相楽さんの考える本業以外はする気も無く、又させない事を明言して騒動は終わった・・・
問題が多発したな~・・・まあ解決したけど・・・などと考えていたのが悪かったのか・・・
「ちょっとお話しさせて貰っても良いですか?」
今度は何だ?・・・ミントさんか・・・
『ハイ、大丈夫です・・・ここでお話しを?』
「はぃ・・・あのですね・・・私とイットーの事なんですが・・・」
ミントさんの話を要約すると・・・こっちに来る前の世界でやっていた宿屋は村の酒場と食堂兼宿屋の兼業で、ミントさんが表に出てイットーさんは裏で料理を作ったり力仕事担当だったらしい・・・
あぁ~役割が逆でしたか・・・んで・・・その相談かと、対処法を考え出したんだが・・・そっちは本題ではなく、こっちに若返って出現したので(移住者は例外を除き、基本15歳程の姿でこっちに現れる)・・・って良く聞いたら恋愛相談かよ!
のろけを交えつつ延々と聞かされる恋愛トーク・・・最初こそ(リア充死ね!)とか呪詛を心で吐いて我慢していたが・・・長時間聞かされていくと心が壊れてくる・・・
『え~っと・・・では、さりげなくイットーさんに私から確認して・・・問題がないようでしたら、改めて御夫婦として雇用って方向でいかがでしょう?』
多少強引に話を纏めようとしたら、ちょっとだけ不満顔が見えたがすんなりと了承してくれた・・・
だめだ・・・心が・・・もう疲れた・・・寝よう・・・
はぁ~そろそろ本気で人物整理しないと・・・




