042 人の知恵とは・・・②
本日も3話更新の予定!
第42話 人の知恵とは・・・②
露店巡りを再開した俺達だったが・・・
『しかし・・・店の数が多いな!』
「ああ・・・全然終わらないな・・・喜んでたけど時間が少ないとさすがに厳しいな・・・」
そう、最初は俺達も喜んでいた・・・だが・・・じっくりと見ていると、時間がいくらあっても足りない・・・
『とりあえず今回は、釣り具と本に防具・・・ケントは扇風機を買ったんだよな~』
「おう!めぼしいモノは買ったと思うが・・・そう言えばアレンは何かオカマだっけ?鍋を見てたけどアレは買わないのか?」
『ん~正直まだ迷ってる・・・買えば使えるかもだけど・・・今ある鍋でも充分だからな・・・』
「ん~そうか・・・んじゃあ、とりあえず周りを見つつ本を探さないか?、一応道具や念具は割高になっても取り寄せたり・・・まあ~自分で作ったりも出来るからな~」
『そうだな~じゃあ、何か良さそうな本でも探すか・・・』
ケントと俺は周りをきょろきょろと見回しながら本の露店に向かい、役だったり面白そうな本がないか探し始めた。
しばらく本の露店を回っていると、最後の露店で妙な光景を見たので店主に問いか掛けてみた・・・
『すいません・・・そこの木箱にも本があるようですが・・・』
「ん?いらっしゃい!・・・あぁ~コレね!」
『はい、それです。』
俺は先ほど店主が、露店の商品代の横に置いた木箱から紙の束を取り出し読み始めたのを見て、ちょっと気になったので聞いてみたのだが・・・
「こりゃ~あっちこっちで仕入れた日記とかレポートとか・・・まあ、本になる前の原稿とか本にもならない紙の束だな・・・たまに遺品整理とかで出た紙を再処理用に紙を仕入れてるから、そこの木箱に入れてあるんだ」
「まあ、ほとんどもうけがないから趣味だな・・・印刷した本と違って読みづらいがそこが又面白くてな・・・」
『って事は商品ではない?』
「いや・・・別に買って貰う分には良いけど・・・たいしたものはないぞ?」
『ちょっと見せて貰って良いですか?』
「まあ、そりゃ~いいが・・・俺が言うのも何だが・・・あんたも物好きだな!」
俺は店主から許可を貰うと紙の束をあさり始めた・・・
「最愛の人に捧げる・・・」詩というか・・・『パス!』
「結界の作り方とその考察」ふむ・・・どこかの工房での研究レポートみたいだけど・・・ずいぶんと古いな・・・『保留』
「ビックラットの生態について」学生のレポートかな?『保留』
「発明ノート」・・・面白そうなんだが・・・
(中身は訳のわからない言葉で書かれていて、イラストというか設計図もないし・・・暗号でも使ってるか俺の知らない異世界言語だな・・・)まあ、面白そうだから、一応『保留!』
「保存用」・・・ん~家庭料理のレシピみたいだな・・・『保留』
「日記帳」・・・「日記帳」・・・ずいぶんと有るけど・・・コレは同一人物だな・・・まあ、遺品整理とかで出たんだろうけど・・・正直コレは長いし、役に立つかどうかも全然判らんな・・・『パス!』
かなりの量があったが・・・そのほとんどが日記帳やメモを纏めただけのモノが多く、本というか資料として使えそうなのはこれぐらいだろうか・・・
『ん~日記帳も面白そうだけど・・・やっぱこういったモノは見ない方が良いよね・・・』
(でも・・・一応・・・)
『すいませ~ん、この日記を書いた人ってどんな人か判りますか?』
「ん~どれだ~?え~っと・・・日記ね!・・・」
「今回入れてあるのは、ここの領主様の町で仕入れた分だから・・・個人の工房から出た分と雑貨屋の物置から出てヤツと・・・農家が持ち込んだ分だな~正直それぐらいしか判らんぞ~」
『そうですか・・・じゃあこの3冊というか固まりを買いたいのですが・・・』
俺が店主に差し出したのは、「結界の作り方とその考察」「発明ノート」「保存用」の3つだった・・・
「ん~ちっちまってな~」
店主ははかりを取り出し重さを調べ始め・・・
「この重さなら銅貨5枚だな・・・それで良いか?」
『はい、ではコレを・・・』
俺はすぐに代金を支払い資料を自分の空間にしまい込む
『面白そうなモノが手に入ったな~』
俺がニタ~っと笑っているとケントのヤツに「アレン・・・その笑い方・・・うちの親父と悪巧みしてる時のお前の親父にそっくりだぞ!」などと指摘され・・・精神的ダメージが大きかったのは内緒だ!
結局これ以外にめぼしい収穫もなく、ケントに別れを告げ自宅に帰った後は素晴らしき眠りの世界へ・・・旅立てなかった。
家に帰ったところを酒臭い親父に掴まって・・・くそ爺の話とか・・・くそ爺の話とか・・・くそ爺の話など、目一杯愚痴やらののしりを聞かされ・・・解放されたのは日付が変わった後だった・・・
目が覚めてからも、昨日の親父の話というか愚痴やらののしりを思い出してしまい憂鬱な気分で居るとケントが現れて・・・
「アレン!聞いてるのか?」
『ん?あぁ~ケントか・・・何だっけ?』
「な~もう、何だっけ?じゃないって!俺もお前も、昼には大魚亭に出発する事になったから準備を急げって言ってるのに・・・聞いてないなんて・・・」
『あ~悪い・・・昨日の夜酒を飲んだ親父に掴まってな・・・寝たのが夜中で・・・頭が動いてない感じだ・・・』
「まあ良いよ!それより準備だ!昼には出発だから・・・本当に急げよ!俺も準備があるから帰るけど・・・遅れるなよ?」
『あぁ~判った・・・準備したら南門に行くよ!』
「本当に大丈夫かな・・・」
まあ~ケントの心配をよそに、俺はケントが部屋を出て行ってすぐに今回購入した新しい防具と手持ちの防具や武器を取り出し身につけると、着替えや本などの私物を纏めると台所に有った料理で遅い朝食を喰って自警団の厩舎から馬を借りると南門へ向かった。
途中で休憩を取りつつも夜も急いで大魚亭に向かった俺達は、なんとか翌日の昼前に到着して打ち合わせ済みの準備の確認や遅れていた準備を手伝い、親父達が領主と来る前に準備を終わらせる事が出来た・・・
準備の終わった翌日の夜遅くに到着した親父達一行は、風呂に入ったり酒を飲んで多少くつろぐとすぐに眠ってしまい俺達を拍子抜けさせたが・・・翌日から大忙しだった。
まあ、領主がボートで釣りに出て、魚が掛かった瞬間に立ち上がって転覆したり・・・領主がバーベキューが喰いたと言い出して、この時期の寒空の下野外で飯を準備したり喰ったり・・・
ほぼ・・・やっかい事の8割以上が領主がらみだったが、やっと帰ってくれる最後の最後で・・・「せっかく設備があるんだし、次に来るまで(来年の夏)までに釣りで立ってもひっくり返らない大型船を用意しておけ!」と言いはなって帰っていった。
疲れ切った俺達は、やっかい事を後回しにしてたぶん親父達が戻ってくる5日後まで完全休養!接待用の高級食材使い放題!を決めて眠りについた。
その日の夕方に起き出した俺は食堂に顔を出して・・・
『おつかれ~っす!砂糖ってまだありましたよね?』っと食堂を仕切る奥様連合に声を掛け、許可を貰うとそそくさと製作を開始した。
食堂に甘い香りが流れる中俺が完成させたのは・・・
『プリン完成!』
「なあ、アレン・・・何個作った?」
『安心しろケント!ちゃんとみんなの分があるはずだ!・・・ただ・・・器がないので大きく作ったから1人分ずつすくい取って、こっちのソースを掛けて喰うんだぞ!』
「おう!んじゃさっそく・・・」
ケントの様子を横目に見ながら・・・
『ちなみに言っておくが・・・一応全員分有るはずだが、誰かが多く取って全員に行き渡らない場合・・・多く取ったヤツは恨まれるかもな・・・』
ケントが少し器にプリンを戻してる・・・まあ、足りるとは思うが・・・蜂蜜や黒砂糖と違って白砂糖は高級品だからな・・・疲れた時は甘いモノでしょ!って事でプリンをさっそく作ったけど・・・みんな満足そうで良かった。
まあ、その後は温泉に入ったり本を読んだりお菓子や料理を作ってみんなで食べたりと、休養を取りつつ親父を待っていたのだが・・・ケントの様子がちょっとおかしい・・・
ここ数日部屋にこもって何かしてるのだが・・・部屋に鍵を掛けて中を見せず何をしてるのか聞いても・・・「いや、ちょっと・・・」とか「大した事じゃないから・・・」とか言って何をしてるのか答えないのだ・・・
『まあ~元気そうだし親父達がきてからで良いか~』などと言いつつ放置していたら・・・すげーモノを作っていて度肝を抜かれた!
(久々の・・・)
『この世界(異世界)技術はんぱね~!』そんな気分にさせられるケントの新発明とは・・・




