041 人の知恵とは・・・
本日3話目!
第41話 人の知恵とは・・・
先ほどから露店を回り、俺たちが探してる商品・・・それは「扇風機」だった・・・
安いモノなら銀貨5枚、高いモノでも銀貨10枚ぐらいで買えるそれは、大魚亭でも備品として数台有ったはずだがどうやらケントは何か改造のアイデアがあるらしく、分解したり万が一壊しても怒られないように買うつもりのようだ・・・
(しかし、この時期に探して有るのか?もう秋って言うかもうすぐ冬だぞ!!)
まあ・・・探してみるもんで・・・数件探して売れ残りの在庫を見つける事に成功した!
やっと見つけた扇風機だが・・・やっぱり違和感があるんだよな~コレ・・・
俺たちが扇風機と呼んでいるモノは、プロペラとかが回るタイプじゃなく想念法を利用した念具の一種で、プレート状のスイッチに触れると筒状の竹の中にある念石が発動して微風を出すので、それを上部にある中空の輪に流して空いた穴から微風を出す、進んでるのか遅れてるのかよく判らない代物だ・・・
形だけ見ればフィンレスというか、俺からすると新しい型なんだけど・・・使ってる技術がな~見た目も竹とか木で構造も簡単だし・・・念具としては安い部類なんだが・・・
「おいアレン!さっきから何をブツブツ言ってるんだ?」
『あ、うん・・・ちょっと考え事・・・』
『とりあえず有って良かったね・・・いくらだった?』
「おう!売れ残りで在庫だし銀貨3枚と銅貨80枚に値引きしてくれたよ!」
「コレで実験が出来るし・・・上手く行ったら驚くぞ!」
『気になるな~やっぱり教えてよ!』
「ダメだって・・・こういうのは見てびっくりの方が楽しいだろ!」
「それに失敗したら恥ずかしいじゃないか!」
『いや・・・俺も手伝おうかと思ってね~今までも結構ケントには手伝って貰ってるし・・・有る意味恩返し?』
「お前だって銃とか一人でやってるのがあるだろ?コレは俺の趣味だから完成するまで内緒だ!」
『そんな事言われるとますます気になるだろ・・・』
「まあ、そんなに時間はかからないはずだから・・・」
何度か頼んでみるが「完成まで内緒!」と言われるばかりでまったく教えてくれず、仕方なく他の露店を見て回る事になった。
『あ!フォードさんの事を忘れてた!』
「あ!そう言えば・・・」
『「行こう!」』
色々あってすっかり忘れていたフォードさんの露店に行くと・・・
『嘘だろ・・・チャリが売れてる・・・』
「結構売れてるね~ところでアレっていくらで売ってるんだ?」
俺が思わずつぶやいた言葉にフォードさんが反応して・・・
「おいおい!嘘だろはひどいな~コレでも結構人気商品なんだよ」
『あ!・・・すいません・・・』
「まあ良いよ!その口ぶりからすると乗ってみて何かアイデアもあるんだろ?」
『あ!はい・・・一応ですが試乗してみた感想と改善点の話できたんです』
「おい!フィル~お前もこっちにきて一緒に話を聞け!」
「そこで経ったままって言うのも何だし・・・こっちにきて座ってくれ」
「お茶ぐらいなら有るから・・・」
『「はい!」』
俺たちは露店の裏で敷物に座って4人で話し始めた・・・
『え~っと・・・まず乗ってみて感じた事ですが・・・この部分!ペダルの部分が重くてもう少しギア比を変えるか、変速ギアを付けるしか・・・』
「変速ギア?」
『あ!・・・それは後で説明しますね・・・』
『え~っと次にですが・・・』
しばらく感想や改善点の説明をして俺の話が終わると、感心したようにフォードさんとフィルさんが話しかけてきて・・・
「いや~結構良い線だと思ったが、まだまだだったな~」
「完成系は今だ遠いい・・・って事だな・・・」
「いや、兄さん!かなり難しいと思うけど技術的に可能なんだし・・・何よりどうすればいいか聞けたのは大きいよ!」
『すいませんね~一応使っていた知識というか記憶はあるんですが・・・細かい部分の構造とか機構は知らないので・・・』
「いや!充分だよ!!」
「兄さん!俺・・・王都に帰ったらすぐに研究を始めるよ!」
「お!そうか、親父達とも協力するんだぞ!」
「あぁ~判ってるよ!」
『まあ・・・多少なりとお役に立ったようで良かった・・・』
『ところで・・・試作品のチャリなんですが・・・』
俺がケントにやったのを了承して貰おうと話しかけると・・・
「ああ!判ってる!!今度のも出来たら1台上げるよ!」
『あ!いや・・・そうじゃなくてですね・・・』
「ん?なんだい?」
『え~っと・・・頂いたチャリなんですが・・・ケントにあげても良いですか?』
「え!そんな事かい?そりゃ~もう君にあげたモノなんだから自由にしてかまわないよ!」
『「ありがとうございます!」』
俺たちが頭を下げながらお礼を言うと・・・
「いや・・・本来ならもっと謝礼を考えるべき何だろうけど・・・」
「まだまだ開発に資金がかかるし・・・済まないと思ってるんだよ」
『あ!そのことなら気にしないで下さい』
『僕はアイデアの提供だけだし・・・兄さんも、お世話になってるみたいですし・・・かえって申し訳ないかと・・・』
「いや~君も君の兄さんもウチの工房にしてみれば救世主だよ!」
「現に、このチャリに使ってるブレーキだってほとんど君のお兄さんが考えたんだよ!」
『へぇ~~』
俺は意外と活躍している兄の話を聞いて感心していると、フォードさんとフィルさんはさらに兄さんの話をし始めた・・・
いや~兄さんには驚かされました!
俺の知らない間にずいぶんと活躍してるもんで・・・まあ~家族会議で自由を手に入れて、正直「ヒャッハァ~」って感じで開発とか研究三昧なんだろうね~
聞いた話じゃ、今は電話の開発に取りかかってるらしい・・・まあ、今のところ電話と言うより有線式のインターホンみたいだけど・・・
しかしこの世界・・・簡単な概念とか構造を話すとすぐ実現してモノが出来てくるんだけど・・・今まで誰も作ってないとか言う訳じゃないはずなのに、何でモノが出回ってないんだ?
(やっぱ、流通事情なのかな~)
『とりあえず報告も終わったし・・・ちょっと別の店を回ってきますね』
「お!そうか・・・またきなよ!」
俺たちはフォードさん達と別れて、別の露店を回る事にしてその場から離れた・・・
さてどこに行こうか・・・
そう言えば最近防具がくたびれてきたし・・・良さそうな防具がないか探してみるか・・・
『ケント、防具を探そうと思うけど・・・どう?』
「ん~防具か・・・そう言えば俺も最近ちょっと小さくなってたんだよな~」
「命を守るモノだし、探してみて良いのがあったら買い換えるか!」
『んじゃあ・・・防具屋を回ろう!』
2件ほど回ったが・・・フルプレートなど防御力は高いが重くて値段も高いモノか、俺も今使ってる防護スーツとたいして変わらないものしか売ってないようだ・・・
3件目4件目と周り諦め掛けた時、5件目の露店で良さそうなモノがあった。
構造としては、上半身が長袖のシャツに薄目の金属プレートを縫いつけた感じで肩から袖口までそれが縫いつけられたモノと、同じような構造の革製の手袋がセットになっており、下半身は柔らかいが獣の牙を通しにくい加工がされたパンツというかタイツ?で・・・膝から下が二重構造になっていてブーツの上に出す部分と、かかとと足の指先が無いが靴下のような構造のモノだった・・・
『ん~気になる・・・』
『すいません・・・コレって僕に会うサイズ有りますか?あと・・・試着できますか?』
「はい、もちろんございますよ!試着もOKです」
「俺のサイズもあるかな?後、俺も試着します」
「はい、ありがとうございます今ご用意いたしますので・・・」
妙に腰の低い対応をする店員が露店の裏に行き、俺たちのサイズを見繕って商品を持ってきたのでさっそく試着してみる。
「こちらの商品は、足首の処理に工夫が凝らしてありまして・・・」
試着していると店員が商品の説明を始めた。
まあ、要約すると・・・足首が二重構造で分離可能なのだが、外皮というか外側がめくれても内皮の部分で有る程度防護されていて、足に怪我をしづらく追跡でも撤退でも行動を阻害しない便利グッズらしい・・・
『ちょっと重いかな・・・』
「ん~これぐらいなら大丈夫じゃないか?」
『すいません、コレっていくらになりますか?』
俺が値段を尋ねると満面の笑みを浮かべた店員が値段を言ってくる・・・
「え~っとこちらの商品は、セットですと1セット銀貨五枚で2セット目が半額になりますよ!」
『え~っとつまり・・・1セットだと銀貨5枚、2セットだと銀貨7枚と銅貨50枚って事?』
「はい、さようでございます・・・」
正直迷った・・・確かに2セット有ればローテンション出来るし、今使ってるツナギタイプと違ってトイレも楽になりそうだ・・・だが・・・もう一押し欲しいな・・・
『コレって換えの手袋とか靴下部分は有るの?』
だめもとで聞いてみた俺だったが交渉の結果、2セット+換えの手袋部分2個に靴下部分2個を銀貨7枚と銅貨50枚で買う事に成功した!(当然ケントも便乗して同じ値段で買った)
まあ、店員さんはニコニコしてたから、最終日までとか粘って交渉すればもっと安く買えたかもしれないが・・・
俺たちは待っていられないからな~仕方がない!
代金を支払い、めぼしい本でもないかと本の露店をあさり・・・さらに露店探索を続ける・・・
とりあえず週末までのストックは何とか・・・デモオカシイデスネ、長くても20話程度で終わらせるはずが・・・ストック分も含めると50話を超えてます><




