029 検討会と春までの課題
書きためた分を手直ししたり、読みやすい書き方を模索中です。
第29話 検討会と春までの課題
「んじゃあ~先日行った遠征の反省会兼検討会を始める!」
昼近くまでぐっすりと寝て、飯を喰ったらすぐに始まった会合は親父の話から始まった。
(まあ、会合とか言っても俺たち親子にゴバックさんとケントだけだけど・・・)
「まずは移動だな・・・何か移動に関して意見とか有るか?」
『ん~正直移動に関してはあまり問題がなかったな・・・』
『吹きだまりで足を取られたのも、人数がいればもっと楽だし・・・』
『それと~幌を付けたソリは結構良かったと思うよ!』
「アレは、かなり快適だったな・・・」
「まあ、実際に狩猟団で行動するなら足の速い小型と、大型で組んでいった方が良さそうだよな・・・」
「小型のは湖に着いたら荷物運びに使えるし、張るテントの数かその半数が有ればたぶん良い感じだろう」
「んじゃあ、次に拠点での問題何かだが・・・」
「一応、今と同じ設備でって言うのを前提にした話と、改善とか改築案を別に纏めよう!」
「まずは、今と同じでの問題からだ!」
「そうだな・・・やっぱり問題は暖房と睡眠だな・・・飯も暖かい物が食えればさらに良いだろうが・・・」
『だね・・・簡易ベッドを使ってからかなり疲労が違うからね』
『ベッドに関しては、「ハンモック式」か「折りたたみ式」って言うのも有るね・・・』
「それはどういったモノでどう違うんだ?」
『それぞれ良い点もあるけど・・・「ハンモック式」だと場所を取らないけど湖の上じゃ使えない、「折りたたみ式」は持ち運びも出来るし数をそろえて拠点に置いておくのも良いし、湖に持って行っても使える。』
『僕のお薦めとしては、有る程度の数各拠点に折りたたみ式のベッドを用意して、物置でも建てて保管して鍵は狩猟団で管理、予備としてハンモックをいくつか置いておくって言うのかな~』
「ふむ・・・折りたたみ式の簡易ベッドか・・・」
『うん、欲を言えばマットとか多少なりともベッドに敷ける物も用意できたら文句なしだと思う』
「まあそりゃ~な、贅沢を言えばきりがないな」
「俺は、ベッドよりも各人が持って行く敷物関係を充実させたら、ベッドは無しでもたぶん大丈夫だと思うぞ!」
「初日は荷物を出すのが面倒だったから、毛皮とか敷かなかったけど・・・」
「きちんと用意すれば湖の上で寝れたんだアレで大丈夫じゃないか?」
「ん~そうだな・・・その辺は、拠点をどうするかで変わるから今は意見だけ記憶しておくか・・・」
『出来ればだけど・・・湖畔の拠点を改造するか・・・新しく近くに建てて・・・うちみたいな温泉を引いて、暖房もあればかなり良いんだけど・・・』
『夏場でもボートなんかの小型船を置いておけば・・・家族でも楽しめる通年のレジャー施設になると思うんだけど・・・』
「やっぱり難しいよね・・・」
「アレン、レジャー施設って何だ?」
『え!ん~っと・・・遊んだり楽しむための施設、湖なら夏はボートでの釣りや水遊びが出来るし、温泉を引いてれば湯治とか・・・冬になったら、先日やってた穴釣りとか・・・を楽しむ拠点となる施設、村で管理するなら旅館とかホテルのようにして誰かを常駐管理にしても良いし交代制で管理しても良いと思う』
「うまく行けば・・・町からお客が呼べるかも・・・」
「ふむ・・・狩猟団だけじゃなくさらに利用を広げることで、施設を充実させる訳か・・・有る程度の人数で常時利用可能なら施設を充実させても、無駄は少ないな・・・」
「そうだ!その施設にイケスも組み合わせれば、取れたての魚をいつでも食える良い感じの施設になるんじゃ・・・」
親父が妄想モードに突入し暴走しかかったが、何とか止めることが出来てその後も話し合いは続いた。
話し合いをした結果決まったのは、事前準備をもう少し充実させて出来るだけ多くの狩猟団の仲間に、湖での穴釣りを体験して貰いさらなる検討をすると言うことだ!
(人間やっぱり自分が体験しないと判らない部分が多いからね~)
これが決定したので、俺は親父もゴバックさんも穴釣りがかなり好きになって、何とか次も出来るように施設充実に心が傾いてるんだと推察できた。
結構時間がかかったが話し合いが終わるともう夕食の時間で、ゴバックさん親子も交え穴刷りの話などで夕食はにぎやかになった。
ミーアはまたしても「ミーアもいけゆの?」とか言って俺と親父の心を鷲掴みにして、なんとしても家族レジャーを可能にしようと心に誓わせる破壊力を発揮した。
まあ、とりあえず明日からは早急なる装備の充実を行い、交代で他のメンバーと穴釣りを決行だな・・・
この後、春までの間は目が回るほど忙しく・・・翌日から道具作りをメインにやってた俺は、「ハンモック」「折りたたみベッド」「携行用火鉢」「火鉢用調理器具」「穴釣り用の釣り竿と仕掛け」「防水テント生地」「防水加工の敷物用毛皮」・・・もうめいっぱい物作りをやらされへとへとになった。
およそ3日で準備を整え、今度は狩猟団全員で穴釣りに行ったが、さすがに仕掛けが足りないので、各テントに1組しか仕掛けが渡せなかったが・・・他のメンバーも、針を1つ付けた仕掛けでぽつぽつとニジマスや中型~大型の魚を釣っていたので退屈せずに済んだ・・・
その後帰還した村では、天ぷらとフライの揚げ物ブームが巻き起こった・・・どうやら揚げ物系は、この辺じゃ食べたことがない人が多かったらしく・・・うちの母親を始め多くの人が俺にレシピの公開と調理法を実演しろと迫るので、まるで料理教室のように教えるハメになった・・・
まあ、みんな喜んでたから良かったけど・・・俺的に、野菜の天ぷらにタルタルソースは無理が有ると思うぞ・・・美味そうに喰ってたけど・・・
(早く昆布とカツを節で出汁を取って天つゆで天ぷらが喰いたいな~)
嵐のような忙しさのなか、王都の兄さんから手紙と荷物が送られてきた。
中身は、「醤油の製法とその利用法」「自家製味噌を造ろう!」「美味しい日本酒は自作で!」「おばあちゃんの知恵袋」の4冊の本が入っていて、きっちり仕事をこなす兄さんに感謝したが・・・
すでに醤油と味噌は商工会を通じて町の方に依頼を出して村全体で購入する計画が進んでいた後だったし、仕込みに使う豆もなかったのでとりあえず種に使う豆を取り寄せて、今年は春に間に合えば試験栽培することになった。
あと・・・当然のごとく「美味しい日本酒は自作で!」の本は親父に持って行かれた・・・(たぶん真っ先に自分で試すつもりだろう・・・)
「おばあちゃんの知恵袋」の本は、調理のコツや漬け物製法が書かれていたが・・・俺もメチャメチャ忙しかったので母さんに丸投げした!(自分の知らない調理法などがあり喜んでた・・・)
しかし・・・ちょっとだけ食生活を改善しようと思っただけだったのに、凄く大事になったな~
考えてみれば、俺がごく普通に甘受してた食生活って先人達が苦労して、俺が簡単に喰えたり利用できるようにしてたんだから・・・無かったところに導入し用なんて考えた俺が、先人達と同じように苦労するのは当然なんだろうな~
そう言えば、俺が忙しくなってしまった理由・・・これを考えると頭が痛くなってくる・・・
穴釣りやご飯・揚げ物が俺の発案でついでにイケスのことまで全部親父が話してしまい、狩猟団を始め全村民にそれがばれてしまった結果、一応・・・次期村長って事も当然周知されてしまい、酒も飲めないのに寄り合いに参加させられて酔っぱらった親父の面倒を見ることになったり・・・
狩猟団の若手というか子供組(成人前)のまとめ役に任じられたり・・・
(なんだか楽をしたい親父の策謀を感じずには居られない状況だよな・・・)
(俺・・・まだ10歳で、扱いでも11歳のはずなのに・・・)
なんだか悔しかったので、親父を苦労させるべく湖畔に新規の宿泊施設を建設して、村民の福利厚生に役立てる案を寄り合いで発表してやったら採用されたが・・・当然のごとく、親父に連座して俺も苦労させられることになっていた・・・失敗だ~!
まあ・・・生活環境改善のためと思えば我慢するしかないな・・・「目指せ豊かな老後!」って・・・10歳で老後ってどうなのよ?
とりあえず決定した「湖畔の新拠点計画」(俺命名)は、夏までに湖畔側を重点的に整備する計画で春になったら、たぶんしばらく向こうに行って狩りをしながら建築作業になりそうだな・・・
ケントのヤツは自分の家を建てる練習にもなるし、認めてもらえるなら自分が管理人に収まろうかな~などと言い出す始末だ・・・
(だが現状・・・仕事のない子供組が管理に当たる可能性は結構高い気も・・・)
村の拡張計画も何となく湖方面に分村と言うか・・・新しい集落を増やす方向で雰囲気が流れている・・・(まさかこのまま俺が分村の村長とか無いよね?無いよね?)
(信じてるよ親父!そんな馬鹿な決定はしないって!!)
っとまあ・・・こんな感じで、春までは忙しく、春からもメチャメチャ忙しくなりそうなんですが・・・
俺・・・いつになったら海に行けるの?って言うかまさか海に行ったら又同じ流れがって展開じゃないだろうな?
決めた!・・・海に行く時はこっそり行こう!
しかし・・・湖畔の新拠点って結構大がかりな建物だけど、建設にどれぐらいかかるもんなんだろう?
(あ~本当にやることが多すぎて、今の俺なら過労死するサラリーマンの気持ちがよく判るぞ・・・もしかして俺の前世って過労死したサラリーマンじゃないのか?)
まあ、そんな感じでメチャメチャ忙しい生活を送りつつ春を迎えることになった。
(はぁ~これから又忙しいんだよな~><)
本日も3話更新予定!




