表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新世界での生活  作者: 投稿初心者
25/108

024 兄の帰郷

第24話 兄の帰郷


その日、俺とケントは妹のミーアを連れて収穫祭の時の広場で降り積もった雪を使い、カマクラを作って一緒に遊んでいた。

訓練や勉強で最近かまってやれなかったこともあったが、どちらかというと船の設計に行き詰まり気分転換を兼ねた面が強かったので多少心苦しいが・・・

(まあ、ミーアは大喜びで・・・村の小さな子供も結構集まって、久々に童心に返ったというか・・・俺たちも楽しんだけど・・・)


昼飯を喰うのに家に戻ると兄さんのウイリアムが帰ってきていた。


久々に会う兄さんは背が凄く伸びて親父には負けるものの母さんとほとんど変わらない身長になっていたので驚いた。


どうやら俺が帰る前に母さんが事情を話していたらしく・・・


『アレン!別の記憶が甦ったんだって?すげーじゃん!』

『おもしろそうな話があれば聞かせろよ!』

とか、俺の心配は何だったんだ?ってぐらい、フレンドリーというか普通に対応してきたので・・・やっぱ家族なんだよな~とか、柄にもなくじぃ~んとしてしまったのは気がつがれていないと思う。


その日の夜は、兄さんが帰ってきたのを聞いた親父も寄り合いを早めに切り上げ、久々の家族全員での食事となり兄さんの王都の話や俺の訓練の話など家族団らんの時を過ごした。

ちなみにお土産は、親父には酒、母さんに王都で人気のスイーツ、ミーアに新作の絵本3冊、俺には使い勝手の良さそうなナイフだった。(細工とか解体とか多目的に使える小型ナイフは結構気に入った!)

兄貴が帰ってきて上機嫌の親父は飲み過ぎて酔っぱらったが、新年まで3日もあるのに普段より御馳走が並び兄さんは久々のうちの味を堪能し、俺とミーアは御馳走に上機嫌で話が弾んだ!


夜も遅くなり風呂に入って寝ようと自室に引き上げると、なぜか兄さんが俺の部屋に来て話し始めた。


『アレン、ちょっと良いか?』


「何、兄さん?」


『お前にちょっと話をしておこうと思って・・・』


「別に良いけど・・・何の話?」


兄さんが話し始めた話は自分と俺の将来の話で、うすうす感じていた事の確認だった。

兄さん曰く、自分は王都で勉強してそのまま学院の教師か工房を起こしたいとか、お前に家を押しつけるようで済まないとか・・・

俺はやっぱり兄さんは物を作ったり、人に教えるのが好きなんだな~などと思いつつ、兄さんの気持ちはうすうす感じていたこと、たぶん親父も口には出してないが知ってるだろう事を話すと、兄さんは「やっぱり家族にはかなわない、上手くごまかしてたつもりだったのに・・・」などと言いながら、すっきりしたような顔で今回の帰省で親父や母さんにもきちんと話をするつもりだから、一応話が出るまで知らないふりで居て欲しいと俺に言ってきた。

俺は、親父も兄さんが帰ってきたら今後のことを決めると親父が言っていたことを話し、親父か兄さんが話を出すまでは黙っていることを誓った。





それから2日・・・大晦日・・・アレから親父も兄さんも話を出さないところを見ると、どうやら二人とも新年が明けてから話す気でいるようだった。

そう言えばこっちって大晦日でもほとんど何もなく、正月でも教会に新年の無事とかをお祈りしに行くぐらいでほとんどイベントって無いんだよな~

(まあ、御馳走が喰えるぐらいが正月の救いだよな・・・)


そんなことをボ~っと考えていると、帰ってきた翌日には興味津々と言った感じで俺や親父に「イケス」の話を聞いていた兄さんが、イケスから魚とリバーシュリンプを網ですくって家の中に入ってきた。


「兄さん・・・気が早くない?」


『アレン!準備って言うのは早いほうが良いんだ!』

『こうやって保存というか養殖?されてる魚とかリバーシュリンプの味も気になるし・・・』


「まあ、そうだけど・・・んじゃあ、新年にはもっと変わったものも食べてみる?」


『変わったもの?』


「うん、僕の別の記憶での主食!」


俺は兄さんにご飯を食べないか提案してみる・・・

(パンでも良いけど・・・魚介系メインならご飯は合うからね~)


『ほぉ~う、おもしろそうだな・・・』


兄さんの目がきらりと光ると、少し落ち着いていたはずの質問攻めが始まった・・・失敗した!

(兄さん・・・絶対マッドサイエンティスト系で粘着質だ!)


俺は自分の犯した失敗の責任を取って甘んじて質問攻めを受け入れる。

・・・長かった・・・本気で長かった・・・

まあ、話が長くなって俺が話題を変えるために言った「組み立て式の小型船」の設計に行き詰まってる話をすると、どうやらそっちに気が行ったらしく自分の部屋で考えて良さそうなアイデアが出たら教えてくれることになったので、俺の気分も多少回復した。


大晦日の夜は、俺と母さん合作で味噌仕立ての鍋(肉・魚・野菜・キノコ等の具だくさん)と最近母さんが美味しく炊けるようになったご飯(俺も結構まともになったがなぜか母さんの方が上達して、料理スキルの存在を疑う結果が出た。)に、やっぱり親父の燻製シリーズが食卓を彩り兄さんも結構気に入ったようだった。


翌日、新年(新王国歴147年1月1日)の朝は・・・冬の狩りの時狩猟団でも大好評だった(試したら大正解!)昨日残した鍋にお米を入れて炊いた雑炊!が、今度は絶賛された。

(くっくっく・・・これで兄さんも米を見直すだろう!)


ゆっくりとくつろいだ後、昼前に教会に行きエロイス司祭やレーシア様等、教会の人や教会に来ていた人達に新年の挨拶をした後、家族全員で新年の無事と俺は今年の豊猟をこっそり願った。

ミーアは声を出して「おっきくなれまちゅように」とか小さな声で言っていたのが可愛すぎて、親父も兄さんも俺も暴走しそうになったが・・・、すかさず母さんがミーアを抱き上げ、俺たちの暴走を阻止した。

(さすがですお母様・・・でも、少しぐらいだっこさせてくれても良いのでは?)


周囲のぬるい視線を感じながら家に帰って昼食を取ると、いつもならお茶を飲んでくつろぐ時間に、ミーアを寝かしつけた母さんも交えて家族会議が始まった。



今回は短いです。まあ・・・たまには良いかと思いまして・・・

次回からはいつもと同じ量ぐらいに戻ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ