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新世界での生活  作者: 投稿初心者
20/108

019 収穫祭!②

本日も3話更新予定!

第19話 収穫祭!②


(おごれって・・・いきなりストレートだな・・・)

俺もケントも・・・素直にお願いした。

「「あまり高い物は勘弁して下さい!」」


俺たちがこんな答えになったのはもちろんちゃんと理由がある・・・


狭い村の中、当然の事ながら2歳年上のエリスとエレナの双子姉妹、同じ年のアリス、イリーナ達のグループは顔見知りであるばかりか・・・うちの兄貴の親衛隊なのだ・・・

昔からこいつらは俺たちの行状を兄貴に全部自分たちの視点で伝え、優しい兄貴を利用して俺たちを迫害してきた・・・

つうか・・・こいつらに逆らうといつもひどい目に遭う事が分かり切っているので、数年前から被害の増大を食い止めるため軽い頼みは全て承諾している状態が続いている。


情報が漏れた時点で、俺たちに勝ち目がない勝負だったわけだ・・・


エリス達のグループは、意気揚々と俺たちの腕を掴み思い思いの屋台に俺たちを連れて行き被害を拡大する。

『坊主達、モテモテだな!』『少し余計に取ってやるか!』

『リア充爆発しろ!』・・・色々な店の店主に声を掛けられるが・・・勘違いだ・・・俺たちの実態は便利な財布だ・・・

(つうか、リア充とかほざいたヤツしっかり顔は覚えたぞ!夜道には気を付けるんだな俺は夜目が得意だし・・・)


色々買わされたが俺たちも自分の分を多少は買い、何とか解放して貰うと屋台街に設置された折りたたみの椅子とテーブルを使った飲食兼休憩スペースでケントと被害状況を確認して慰め合った。


俺たち2人に奴らがたかった額・・・約銀貨1枚!たった15分ぐらいでお互いに半銀貨1枚を失った計算だ!


「「ひどい目にあった」」・・・


「いつものこととは言え、俺たちにまったく利益がないのにな・・・」


「諦めよう、情報が漏れている時点で負けてるんだし・・・」


せっかくの気分が台無しになり落ち込みそうになったが、とりあえず・・・俺たちにはやることが有った。


「喰うべ・・・」「そうだな・・・」


俺が選んだのはブドウの果汁ジュースと生クリームといちごジャムのクレープ、ケントはピロシキ?パンの中に挽肉なんかが入っていてあげてあるヤツと大きな木のカップに入った野菜スープだった・・・


「美味いな・・・」「結構美味しい・・・」


俺は自分の分を喰いながら、ミーアを連れてくれば喜ぶんじゃないかな~なんて考え半分ほど飲み喰いして、ケントと交換する。


「こっちも美味しいね~」「あぁ・・・美味いな・・・」


俺たちは今後の予定をどちらからともなく話し始め、相談していく・・・


うちの村の収穫祭は、宿のそばの広場で露店と屋台が争うように喧噪を競い合い、教会のそばの広場では俺たち村民は御馳走が食い放題になる・・・年に一度の無礼講?の祭りで村民のテンションも非常に高くなる辺境だからこその盛大な物だ・・・

「そう言えば今年はアレンの家って収穫祭に何を出すの?」


「そうだな~うちはいつもの親父の燻製とたぶん母さんはリバーシュリンプのチーズ焼きじゃないかな?」


「へ~燻製にリバーシュリンプのチーズ焼きか・・・うちは親父が豚を締めるって言ってたから丸焼きだと思うけど・・・」


収穫祭で食べ放題になるのはパンとスープ、残りの御馳走は各家庭などの持ち寄りと、村の保管庫から出した物を母さん達が料理して追加していくから、手の込んだ物は人気がありうっかり見逃すと喰いっぱぐれる事になる。


とりあえず話し合いで決まったことは、今日の夜と明日の午前中は他の露店道具商やアイテム系の露店商などを中心に回り、午後からは射的やくじ引きなどのゲーム系でおもしろそうなのが有ればやったり、普段喰えない物が有ればチェックして過ごそうというものだった・・・

道具やアイテムは村に持ち込んだ分が無くなれば買いようがないし、ゲーム系や飲食系は御馳走も有るしつまらない物で散在する気はもう無くなったからだ・・・


「よし!そうと決まれば今日は、道具系とアイテム系を攻略しよう!」

「そうだな、掘り出し物があるかもしれないからな~じゃあ、晩飯を食ったら入り口に集合な!」


俺たちは一端別れ、再会を約束し俺は女の子向けの小間物商にこっそりと寄ってミーアへお土産を買った。





お土産作戦大成功!帰ったら昼寝から起きていたミーアにお土産だよ!と言いながら先ほど買ったピンクのリボンをあげたら・・・


「おもあげ?」っと不思議な顔をした後、リボンを見て俺に良いの?と確認するような目で見てきたのでうなずくと、「にぃ~ちゃ」「リボン」にぃ~ちゃ」「リボン」と大はしゃぎだった・・・


夕食の時もミーアが上機嫌で、ニコニコしたままで思い出したように「リボン」と言っては喜んでいたので、親父も母さんも機嫌が良く夕食後にケントと約束があることを話すと、別行動する事をあっさり許可された。


夜になり露店や屋台に明かりがつく頃、俺はケントとの待ち合わせ場所でケントを待っていた・・・珍しいこともあるな・・・あいつが遅れるなんて・・・


少し遅れてケントが来たが理由を聞くと、家を建てる関連の本を買ったのをゴバックさんが見て『気が早い!』と説教されていたらしい、何とかおばさんの『いずれは必要になるものだし・・・ここは先見の明があるとほめるところだ』と諭され、やっとの事で今着いたらしい・・・


まあ、確かに成人が15歳で俺たちはまだ10歳!いくら狩猟団の見習いとは言え少々先走っている気がする。


「まあ、結局認めて貰って褒められてるから良いじゃん」

「さあ、時間も少ないしさっさと見てみようぜ!」


「そうだな、売り切れたらおしまいだからな!」


俺たちは予定していたように、道具やアイテムを扱ってる露店商をねらい打ちするように見て回った。


「お!アレって便利そうじゃない?」「どれどれ?」


最初にケントが見つけたのは「釣り竿」だった・・・


4mほどの継ぎ竿になっていて少し堅そうだが、自分の空間が狭く荷物を背負ったり馬車に積み込んで行動する人には便利そうだった。


「ケント、それ買うのか?」「ん~ちょっと考え中」


すかさず店主がケントに売り込みを開始する・・・


「大きさ的には良いんだけど・・・問題は強度なんだよな~」


ケントがそう言うと、丈夫さをアピールするため糸を付けて組み立てた竿に付けると『試してみろ、壊れても弁償しなくて良い!』と自信満々だった。


俺はそれを見て、竿も気になったが糸の方がもっと気になった。


俺は露店に同じような竿がまだ沢山さん有るのを見て、ケントの横腹をつついて目で促しつつ露店商の親父さんに糸について聞いた。


『お!この糸に目を付けるとはお目が高い!』


嬉々として説明を始める露天商・・・話半分で聞いてると、普段俺たちが使ってる糸は「シルクスパイダー」と呼ばれる中型の蜘蛛(30cm)ぐらいの糸を加工した物で、露店商の使った糸は「タイガースパイダー」と呼ばれる身体が丈夫で毒を持つより強い物を加工した物らしくこれよりも強い物は、「ジャイアントスパイダー」と呼ばれる大型の蜘蛛(1m~3m)の糸があるが討伐も加工も難しく、特殊なロープとして使われるぐらいで釣りに使う事なんて無く、釣り糸としてなら「タイガースパイダー」の物が一番丈夫な糸らしい・・・


「へぇ~ちなみにいくらで在庫はどの程度?」


『そうですね・・・』


露店商が値踏みをしながら俺たちに言ったのは、竿は見たまんまここにあるだけと在庫が同じぐらいで1本半銀貨1枚、糸は「タイガースパイダー」のものは50m巻きが10個あり1個が銀貨1枚、とのことだった・・・

俺たちは悩んだが俺は竿を一端見送って糸を買いたいが巻きが長すぎると言い、ケントは竿も糸も欲しいが金を節約したいと言ったので少し交渉してみることにした。


「おじさん、その竿とタイガースパイダーの糸を一緒に買うから少し負けてくれない?」


『ほう・・・そうだな、併せて銀貨1枚と銅貨45枚ならどうだ?』


「いやいや、おじさん竿は在庫がいっぱいで糸は値段が高くてあまり売れてない売れ残りでしょ?もう少し負けてよ!」


『む・・・それでさっき質問してたのか・・・侮れない坊主だ・・・』

『む~~併せて銀貨1枚と銅貨30枚でどうだ!』


「まあ、まあ、おじさん・・・僕達の後ろを見てごらんよ!」


『ん?・・・これは・・・』


竿の強度を見せるパフォーマンスに糸の説明を嬉々として語った露店商の店主、周りには人が集まり中には財布の中身を確認してる人もいる。


「これだけ客寄せに協力したんだ、後一声頼むよ!」


『侮れ無いどころか末恐ろしい坊主だったか・・・良いだろう、銀貨1枚と銅貨20枚で売ってやろう・・・これ以上は本当に無理だぞ!』と、周りを気にするように小声で答えてきた。


「ありがとうございます」「じゃあこれ・・・」


俺は竿と糸を受け取ってその場を離れた・・・


「すごかったな~どこであんな手を覚えたんだ?」

「ちょっと記憶が戻ってね~その知識・・・」

「へぇ~大怪我で記憶が戻るって本当だったんだな~」

「そんなに便利なら俺も戻って欲しいけど・・・怪我はイヤだな・・・」


「んじゃあ、竿ね!糸は半分で分けるから分けたら渡すね」

「おう!サンキュー!!」「ところでいくら払えば良いんだ?」


「そうだな~銅貨80枚でどう?竿が1本に糸を分けるから2個で3個の商品、値下げが銅貨30枚だし一個あたり銅貨10枚安くして俺にケントが銅貨80枚くれれば良い感じだと思うんだけど・・・」


「お!まじで?交渉もアレンがしたし、俺はてっきり半分に割った銅貨85枚だと思ってたけど・・・本当に良いのか?」


「いいよ~半分だと俺が買ったのは糸の半分だけだから半端になるし、ちゃんと交渉分でちょっとだけ俺に有利になってるから」


「んじゃあ、それで決まりだな!」


ケントは俺から受け取った竿を自分の空間にしまって具合を見るが、特に問題もないようなので満足している。

(まあ、竿って意外とじゃまだから収納できると便利だよな~)

(俺は空間が広いからそこまで分解しなくても運べるけど・・・)


その後も露店を見て回ったが、気になる物は2~3品有ったが結構な量の在庫があったので明日以降に決定することにして今夜は解散した。


家に帰って風呂に入り自分の空間から今日買った「銃と弾にベルト」「本を三冊」「釣り糸」を出すと、銃などは装備を入れた箱に入れ本と糸は机の上に置いて寝ることにした。


いよいよ祭りだ!楽しむぞ~


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