017 この世界の技術!
第17話 この世界の技術!
母さんも作業すると聞いておおごとかと思った俺だったが・・・実際の作業を見て驚き、納得させられた・・・
親父の考えた実験用のイケスは、冬場を考え凍り付いてしまわないよう温泉の熱を使えるようにして凍結を防止し、深さを2段階に分け掃除用の排水を下水に流せるようにするという俺から見れば、本当に今考えたのか!本格的すぎない?などと疑問符が沢山付き、今日中に作るとか無理っぽくない?などと考えさせられる物だったっが・・・
実にあっさりと作ってくれた・・・
(まさか、穴を掘るのにも自在空間が有効だったとは・・・)
まあ、確かに生き物以外なら取り込めるわけだし想念法て言うのは、有る意味イメージ次第だとは思ったけど・・・使い勝手よすぎ!
この世界って有る意味全員チートでしょ!などと叫びたくなった・・・
イケスの壁や配管というか本体部分も母さんが圧縮したのか溶かしたのかよく判らないがさくさく作っていき、途中で素材が足りないからと言って親父がどこかに行って調達してくるとあっという間にほとんど出来てしまった。
最後にうちの水道と温泉の配管にイケスの配管を接続するとびっくりするほど簡単にイケスが完成した。
(この世界の技術なめてました・・・ごめんなさい!)
イケスに水を張り準備が終わると夏の暑い日になら飛び込みたくなるようなプール?イケスが完成した。
しかし、これなら親父達が少人数でこの村を作ったって言うのも納得だよな・・・
親父と母さんは馴れてるにしても作業効率とかペースが速すぎる。
これなら村の拡張って話も決まりさえすればかなり早くできあがるんじゃないのか?
それに・・・開拓がこんな感じならなぜ小作なんて居るんだろう?
自分で開拓すれば安いとは言え土地の借り賃を支払わなければいけないのに・・・
親父と母さんに疑問に思ったことを聞いてみると、意外な事実がわかった。
『なんで、自分で開墾して土地持ちにならないかだって?』
『そりゃ~楽だからだよ!』
親父の説明だと、確かに開墾は拠点さえあれば簡単だが土地持ちになると義務が生じるらしい・・・
土地を小作に貸し自らは狩猟団で狩りを行うのが一般的で、有る意味普通の貴族より貴族らしい義務を負うのが土地持ちって話だ・・・
確かに、街道の安全を守るために騎士団ならぬ狩猟団に所属し、村の行政を寄り合いで討議して村民の生活を良くする・・・村を国などに例えれば土地持ちの義務は貴族のようだし、小作の生活も思ってるよりずっと楽で自由な感じにあふれてる・・・
俺は意外な事実を聞き、ケント達の独立心を考えると尊敬したくなってきた・・・
ケント達の考えと今の俺の思いを親父に言うと・・・
『そりゃ~当たり前だ!土地持ちと小作じゃ教育自体が全然違うからな・・・』
『アレン、お前うちが小作だったとして・・・狩りもしたことがないのに成人して狩りに参加したり開墾をやろうと思うか?』
「むりかも・・・少なくともかなりの覚悟が必要だね・・・」
『だろ?簡単そうに見えて結構大変なんだぞ!判ったら俺を見習って立派になるよう努力することだ!』
(うざ・・・ドヤ顔の親父・・・)
「そ、そうだね・・・がんばるよ・・・」
残った時間で物置や倉庫の整理を済ませ時々燻製の様子を見ていると夕食の時間となり、さっそくできたての燻製を夕食で食べた・・・
親父曰く、「できたても上手いがもう少し味がなじんだ頃が一番美味い!」とのことだったが、かなり良いできで美味かったので俺もミーアも夢中で食べた。
夕食の後は少し休憩してから明日に備えて「クーラーボックス」を二個増作すると、リバーシュリンプの話になった。
『そろそろ泥臭さも抜けて喰い頃だけど、お前の考えた「イケス」はリバーシュリンプにも使えるんじゃないか?』
「あ!そうだね・・・魚と同居させるとどうなるか判らないし、僕の記憶にあるリバーシュリンプに似た生物だと共食いをするから難しいかもしれないけど・・・」
『共食いか・・・見たことはないが・・・ふむ・・・』
「まあ、どうせ今のイケスだって実験だしついでにリバーシュリンプも試してみるのも良いかもね~」
『そうだな・・・アレがいつでも喰えるようになれば・・・くっくっく・・・』
(親父・・・俺もそうだけど食い意地が張ってるな・・・)
(遺伝か?)
まあ、おかげで美味い物が喰えるのはラッキーってヤツかな?
「明日も早いし、風呂に入って早めに寝るよ・・・」
『ん?そうだな・・・風呂に入って寝るとするか・・・』
俺の言葉につられるように親父も俺も風呂にいくとさっさと入ってさっぱりとし、俺はすぐに寝たが親父は燻製を肴に晩酌を始めたようだった・・・
(気持ちは判るが・・・ホントに酒好きだな・・・)
まあ、これだけ美味い物や酒に目がないなら海産物何かも好きだろうし・・・来年は海に行けるかも・・・それにはもっと情報が欲しいな~親父の書斎でもあさってみるか・・・結構本があったから何か良い物があるかもしれないし・・・
それに、兄さんが帰ってきたときには王都の話を聞いて、移住者(特に元日本人)の調味料や酒が手にはいるかと出来れば生産の手引き書でもあれば送ってもらうか買いに行きたいな・・・
そんなことを考えながら俺は眠りに落ち気が付くともう朝だった・・・
朝食の後、予定道理に釣りに行き魚とリバーシュリンプを生きたままイケスに放すとしばらくは様子を見ることになった。
その日の他の出来事は、まっていた収穫検査官一行と行商人達がやっと村に到着し、行商人は商店街の近くの空き地で店を開く準備をして、検査官は収穫された作物の品質と収穫量を確認すると税金分を何台も率いてきた馬車に積み込みをしていたが、まだまだ余裕があるのにずいぶん無駄なことをするんだな~
どうやら行商人も検査官も収穫祭が終わってから一緒に町へ戻るようで、しばらく見慣れない人が増えるようだ・・・
収穫検査官は親父の知り合いらしく、その日の晩はうちで一緒に夕食を取り、泊まっていくことになった。
(アレ?そう言えば見覚えがある人だな・・・確か・・・ダリルさんだっけ?)
思い切ってダリルさんに馬車の余裕というかからの分の話を聞くと、村から町や王都に売りに出す分や狩りの時手に入れた討伐証明部位や売る物をついでに運んでいくらしい、もっと町に近い村なら商人が直接来たり村から輸送隊が出るらしいがうちの村は辺境だし、領主の親戚が作った村なのでこんな形になったらしい・・・
夕食から酒を飲み、ダリルさんとそのまま晩酌というかプチ宴会?に突入して上機嫌の親父から、明日は今まで貯めた交易品(討伐証明部位・毛皮・農作物等)を午前中に積み込んでしまえば昼からと収穫祭の期間、俺の教育や訓練狩りなど全て休みになるってことだった。
(早く言ってくれよ!)
とりあえず休みがもらえるのに文句を言って取り消しになってもまずいからにこやかに返事はしたが・・・
親父達の宴会で母さんもつまみを出したり酒を補充したりと忙しそうなので、俺はミーアと風呂に入ってミーアを寝かしつけ親父の書斎の本を見てみることにした。
「へぇ~結構あるな・・・村作りの技術指導書に法律関係、家の建築技術に神殿法話・・・お!初級想念法全集、リーダーの話し方と演説法・・・」
「親父・・・リーダーの話し方って・・・読んでアレなのか?」
(まあ、いいか・・・)
一応、技術指導書や技術解説の本がメインだけどお堅い法律の本から趣味の本まで、結構雑多な本が並んでいる親父の本棚を眺め俺は気になった「初級想念法」の本を取り出すと自分の部屋に戻って読むことにした。
その本は、簡単な想念法と解説が載っているだけの薄い本なので寝る前に読めるだろうとあたりをつけたが、本当に簡単なことしか載っていなかった・・・
「火と鍛冶」・・・「着火」対象に火がつき燃えるイメージを持てば対象に火がつく(イメージと威階により効果が変動)、「火の矢」対象に向かって火の矢が飛んでいくイメージを持てば火の矢が飛ぶ(イメージと威階によって効果に変動)
「水と治療」・・・「治療」対象の傷・病を癒すイメージを持てば治る(イメージと威階によって効果に変動)「水飛礫」水の固まりが対象に飛んでいくイメージを持てば水の固まりが飛んでいく(イメージと威階によって効果に変動)
「大地と豊穣」・・・「操作」対象の土等を操作するイメージを持てば操作可能になる(イメージと威階によって効果に変動)「融合」対象と対象を融合させ大きな固まりにする(イメージと威階によって効果に変動)
「風と旅人守護」・・・「操作」大気を操るイメージを持てば風を起こせる(イメージと威階によって効果に変動)「移動」風をまとい素早く動くイメージを持てば素早い移動が可能になる(イメージと威階により効果に変動)
「光と契約」・・・「光」明るい光を生み出すイメージを持てば明かりを作ることが出来る(イメージと威階により効果に変動)「鑑定」対象の情報を読み取るイメージを持てば情報が見えるようになる(イメージと威階により効果に変動)
「闇と時空」・・・「自在空間」対象を自己の空間に収納するイメージを持てば収納することが出来る(イメージと威階により効果に変動)「夜目」暗い所でも見えるようになるイメージを持てば見えるようになる(イメージと威階により効果に変動)
まあ、知っていることもあったが知らないこともあったので良しとするか・・・
それにしても・・・初級想念法って事は1~3威階だから大人なら誰でも使えるって事だよな?効果に変動が有るみたいだけど、それでもやっぱりこの世界全員チート仕様じゃないのか?まあ、俺もそうだから文句はないけど・・・
「さて・・・寝るとするか・・・」俺は今日読んだ本にあった想念法をそのうち試してみようと思いつつ、ベットにはいるとすぐに眠った




