013 山での狩り
連続予約投稿!休み前なので3話連続!
第13話 山での狩り
翌朝、目を覚まし身支度をして朝食の席に着くと親父から山での狩りが決定して、河原で話していた内容で試してみるので準備するように言われたが・・・
「昨日のうちに用意してあるよ!」
っと親父に言うと・・・
『ほ~う、一時は常識がないかと心配したが・・・ずいぶん段取りが良くなったもんだな~』
『まあ、今回は俺と別行動になっちまうが・・・ゴバックが同じ組になるから問題ないだろう・・・』
『ゴバックの言うことをよく聞いてしっかり学んで来いよ!』
「うん、判ってるよ!」
『じゃあ、あんまり時間もないし準備でき次第出かけるか・・・』
俺も親父も早々に装備を調え、母さんから弁当を受け取ると集合場所に急いだ・・・
『お!みんな集まったな!』
『今回の狩りの手順は寄り合いで話した通りだ!村の近くの街道沿いを大人12人の組で、山の方を子供4人と大人8人の組で担当することになっているからな~』
『休息拠点までは前回と同様に、馬で6人(街道組)と残りが馬車だ!前回と違う事は、村の境にある罠も全員で確認してから拠点に向かうことぐらいだ・・・質問がなければそれぞれ乗って出発だ!』
「「「おう!」」」「「了解だ村長!」」「「「はい判りました!」」」
全員がそれぞれ馬や馬車に乗り込み出発したが、前回と違い俺をはじめとした子供達にも余裕があり大人達も子供が居る違和感が薄らいだのか、わいわいとにぎやかに色々な話をしながらゆっくりと進んでいく・・・
前回と同様に1時間ほど進んだところで村の境に到着し、今回は全員が降りて罠を調べていく・・・
2時間ほど掛けて全部の罠を確認したところホーンラビット23羽、ウィンドウルフ2頭、レットディア4頭がかかっておりさい先の良いスタートにみんなの顔がほころんだ・・・
少し遅めの昼食で弁当を食べ、全員が乗り込むと前回は休憩で使った拠点を目指して進んでいく・・・
『良し夕方前に着けたな・・・日が暮れるのも早くなってきてるからさっさと野営の準備をしよう!』
『馬車は小屋の横に止めてはずした馬具と馬車を引いてきた馬用の馬具を入れておいてくれ、馬は入り口の横に止め木があるから繋いでおけば良いし・・・』
『見張りは2名、残りは薪拾いと夕食の準備だ!近いからと言って気を抜くんじゃないぞ!』
「「「はい!」」」 「「判ってるって・・・」」 「「じゃあ始めるか~」」
それぞれが自分の役割に応じて行動を開始し、仕事が終わったところで夕食になった。
夕食を食べながらも昼の猟果から今回の豊猟が予想され、みんなの声も弾んでにぎやかな夕食となった・・・
前回と同様に子供達が寝る前の見張りに立ち、俺も見張り台の上で見張っていたが・・・前回の狩りで親父に教えて貰った「闇と時空」属性の夜目が凄く役に立った!
星空と月の明かりが有る状態ならほとんど昼と同じぐらい見えるし、曇って真っ暗でも夕暮れ時ぐらいには見えるから・・・見張りが俺の順番になって少ししたとき、拠点のそばまで近づいてきたウィンドウルフ6頭の集団にすぐ気が付いて親父に報告したら拠点の柵に肉をつるしておびき出し、あっという間に撃退が終わった。
その後、俺は見張りを交代してすぐに寝たが何事もなく朝になり身支度を調えると、簡単な朝食をとりつつミーティングになった。
『んじゃあ、飯を喰いながらで良いから聞いてくれ・・・』
『今回は近場だし組を分けるから留守番は街道組2名で、残りは馬で移動しつつ罠の確認と獲物を見つけたら狩りを行う、山の組は全員山で狩りを行うが無理に獲物を求めず香草や薬草、果実やキノコの収穫をメインで考え行動して欲しい、拠点や参加した組で以上が有ればのろしか火の系統の者が信号弾の想念法を使うこと!』
『俺からはこれぐらいかな・・・他に注意したり意見のある者がいれば言ってくれ!』
『特に無いようなら、飯を食い終わったらそれぞれの組に分かれて出発だ!山の組はゴバックが指揮をとってくれ・・・以上!』
朝食を取り終わり親父と分かれた俺たちは山に向かって歩き出したが、ゴバックさんが俺に話しかけてきた・・・
『そう言えばアレン、ミーアに採って来た薬草だけどどこに生えてたんだ?まだあるなら冬に備えて村での在庫が少し欲しいのだが・・・』
「あ~アレね・・・山の中腹に閉鎖した坑道の入り口がありますよね?」
『あぁ・・・昔、昨日泊まった休憩拠点を作るのに石材を掘った跡だったな・・・』
「そうだたんですか・・・実はあのあたりに生えてたんです。」
『ほ~あんな所に・・・アレは夏の草だから残っていないと思っていたが・・・地下に温泉の湯脈でもあって地熱が高いのかな・・・』
「多分そうだと思います。僕が採ったとき地面が暖かかったですから・・・」
『ふむ・・・石材を掘ってたときは普通だったし、閉鎖した跡は誰も気にしていなかったから気が付かなかったな・・・』
『とりあえず坑道跡の入り口を目指すか・・・』
しばらく歩いて目的地に着くと解熱用の薬草が大量に残っていた・・・
『これは・・・』
ゴバックさん達もびっくりしてその光景を見ている。
そこの場所には夏草と呼ばれ、春の終わりから秋の始まりまでしか本来残っていない様々な薬草等が残っていた。
『ふむ、やはり地面が暖かいな・・・』
【後で判ったことだが、夏にこの付近で狩りをしていた探索者がグランドベアに襲われて返り討ちにしたところ、その返り血で血まみれになってしまい想念法で水を導こうとしたが力が足りず、地中深くの温泉の湯脈を途中まで導いて終わったため偶然こうなったようだった。】
そんなことを知らない俺たちは見張りを2名決めると、ほくほく顔で薬草と香草の採取を行った。
『ふう・・・大体こんなもんかな~』
『根こそぎとか全部採っちゃダメだぞ~半分は残しておけよ!』
ゴバックさんが採取の注意事項をみんなに伝える。根こそぎ採ると一時的には大量に採れるが次からその場所にほとんど生えてこなくなったり土地が荒れてしまう・・・元の世界でも同じだったが地元に住む人間は決してそんなことをせず必要分、回復可能な量を見極めて採取していた・・・
荒らすのはそんなルールや土地のことなど何も考えない都市部に住んでる人達だったな~
俺はそんなことを思い出しつつ採取を終わらせると、ゴバックさんに話しかける・・・
「ゴバックさん、父さんはキノコとか果実もって言っていたけど・・・どこか有りそうな場所って有るんですか?」
『ん?キノコなら山を探せば大体あるし、果実についてはこの山の上が湖になってるんだが・・・その湖の周りや反対側の滝になってるあたりまでの川沿いに確かあったはずだ・・・』
「じゃあ、そろそろみんなも終わるみたいですし・・・湖まで移動して昼食後に果実って感じですか?キノコは帰りに探しても良さそうですし・・・」
『まあ、そんな感じだな・・・2~3日の予定だったがこの調子なら今日だけで必要な分が集まってしまいそうだな・・・』
『良し!採取が終わった者は集合!』
・・・
少し経って、全員がそろったところで山の上にある湖まで移動したが、数は少ないものの移動中にもキノコを見つけ昼少し前に到着した。
『じゃあ、とりあえず昼の準備をするか・・・』
『4の8で12人だから・・・4班に分かれて1班がスープの準備、2班が周囲の警戒、3班・4班で薪集めだ!油断せず気持ちを引き締めておくように!』
「「「はい!」」」 「「了解!」」
(俺は第1班、スープの準備か・・・)
自分の空間から大鍋を取り出し、説明中にみんなが集まっていた広場のような場所に置くとかまどに使う石がないか探し始める。
俺は2個しか見つけられなかったが、他の大人が沢山持ってきてすでにかまどの準備が終わっていただけではなく、かまどの上に3本の太めの木の枝を整形して組、フック付きのくさりを巻いて固定と鍋が掛けられる準備まで終わっていた。
ちょっと落ち込んだ俺がバケツで水をくんでくると・・・
「アレン、そんなに気にするなよ!」「そうだぞ、俺たちは何度も来てるからな~」「大抵ここで飯になるからな~、どこに何があるか判れば早いのも当然だろ?」
「そうですね・・・」
俺は少し反省しながら枯れた小枝に火を付け次第に太い木に変え薪を投入できるように準備していく・・・
「意外となれてるな~」「うん、段取りは良いね~」
俺の準備を見ながら意外な高評価をしてくれた2人に少し照れながら鍋を火に掛け、お湯を沸かし始めると薪拾いメンバーが戻ってきた。
『良し!鍋の用意は良いようだな・・・後は任せておけ!』
ゴバックさんはそう言うと次々に香草や細切れの肉調味料などを鍋に投入していく・・・(アレ?今のは薬草じゃ?)・・・
『もう少しまてば「猟師の秘伝スープ」の完成だ!』
ふむ・・・薬草を投入してるところと調味料のバランスが秘伝って言う元かな?そんな事を考えているとスープが完成し昼食になった。
なんだか疲れがとれるような気がするな・・・ゴバックさんが自慢してた「栄養満点、多少の疲労回復効果有り!」って話は本当だったようだ・・・




