011 小さな成功と家族での釣り
投稿を初めて数日・・・かなり楽しいです。
第11話 小さな成功と家族での釣り
翌朝目覚めた俺は、すぐに身支度を調えると朝食を食べ親父と今日の準備を始めた。
『ん~今日は結構荷物もあるし、ミーア達も一緒だから荷馬車で行くかな~』
『アレン、父さんはちょっと自警団の本部に行って馬を借りてくるから、納屋にある荷馬車に必要な荷物を積んでおいてくれ!』
「了解!」
まあ、荷物に関しては俺も父さんも自分の自在空間が大きいから不便はないはずだけど、ミーアを長い間歩かせると疲れて楽しめないかもしれないからな・・・
荷馬車を使う理由をそんな風に考えていた俺だったが、しばらくすると父さんの先読みにびっくりすることになる。
大体の荷物を積み終えた頃父さんが馬を2頭つれて帰ってきた。
『アレン、荷物は積んだか?』
「うん、父さん!」「あ!昨日のアレはまだ積んでないや!」
『ああ、それなら問題ない父さんの空間に入れてある。』
『じゃあ、問題ないみたいだし父さんは荷馬車に馬をつないで玄関に回すから、お前はかーさんとミーアを呼んできなさい全員乗ったら出発するから』
「判った!呼んでくる!!」
俺は母さんとミーアを呼びに家の中にはいると居間にいた母さんとミーアに出発を伝え、母さんが準備してた弁当や道具などの荷物を自分の空間に入れていったが・・・俺の姿を見たミーアが・・・
「にぃちゃ?」
一応今日も村の外に出るから、フル装備で武装してた俺を見てミーアが不安そうに声を掛けてくる・・・あ~ミーアを怯えさせちまったか・・・
そう思って落ち込みかけた俺だったが、どうやら杞憂で単に見慣れない格好だったからとまどっただけのようだった。
「ミーア、びっくりさせちゃったかな?もうすぐお出かけだよ!」
俺が優しく声を掛けると・・・
「おでぃかけ!おでぃかけ!・・・」っとミーアがはしゃぎだしたのでほっとした。
全員が荷馬車に乗り込むと川を目指して出発したが、村の商店街付近を通り過ぎ道を曲がったところでゴバックさんとケントに数名の親子が同じ方向に歩いているのを見つけた。
『おう!ゴバック、どうせ川に行くんだろ?乗ってけよ!』
「お!村長か、さすがに用意が良いな~家族のだんらんをじゃまするようで悪いが、お言葉に甘えて乗せて貰うか・・・」
『遠慮するなって!うちはミーアが居るから荷馬車にしたけど、前にいる連中も目的地は一緒だろ?こういう事は大勢でやっる方が楽しいからな~』
結局、同じ方向に向かってた親子(狩りに一緒に行ったメンバーだった)も荷馬車に乗り込み、全員で昨日作業した村はずれの解体場近くへ向かった。
移動中、俺は親父とゴバックさんが話してた会話が気になって聞いてみると・・・
『そりゃ~おめえ、昨日解体作業で川に大量の撒き餌をしたようなもんだからな~、今日あたり魚が集まってるはずだし釣りをしようと思うのは当然だろ!』
って・・・ごくあっさりと親父が荷馬車を用意した理由や狩りに行ったメンバーが釣りに行こうと考えた謎が理解できた。
荷馬車にあった荷物やみんなの持っていた大きめの道具は俺と親父が自分の空間に一時保管したが、・・・10人も乗っているとさすがに荷馬車の速度もあまり出ず、人が軽く走る程度の速度でゆっくりと進んでいく・・・
『着いたぞ~』親父の声が到着を知らせそれぞれに馬車を降りて準備を始める。
着いたところは、昨日の解体場より少し下流で川幅が少し広がって水深が深くなり流れが落ち着いた場所だった。
俺と親父は自分の家と預かっていたみんなの荷物を空間から河原に出して、釣りの準備を始める。
「父さん、ケント達と薪になりそうな木を探してくるね!」
『お!アレン、段取りが判ってきたようだな・・・』
『こっちの用意は大人でやっておくから、薪になりそうな木を拾いながら釣る場所を考えておけ!』
「うん、判った!」
俺はみんなの所に行くと、薪集めの話をして薪になりそうな木を探しつつ釣るのに良さそうなポイントを探していった。
「ケント!あのあたりはどうだ?結構良さそうだけど・・・」
「そうだな~少し草を刈れば5人ぐらいは余裕で釣りが出来そうだし良いんじゃないかな?」
「じゃあ、薪を届けたらあそこで釣りって事で良いな!」
「おう!了解だ!」
俺たちは手頃な乾いた木を俺の空間に入れ父さん達に届けると立派な拠点が出来ていたのでびっくりした。
『お!戻ってきたな、じゃあそれぞればらけて釣りにするか・・・』
『アレンはどうする?父さんは、母さんとミーアが居るしこの辺でも釣れるからここらで釣りをするが、一緒にやるか?それとも誰かと一緒に他で釣るか?』
「父さん、ケントと約束してるから向こうで釣るよ!」
『おう、そうか・・・なら気を付けるんだぞ!』
『昼前には一端戻ってくるように!判ったな?』
「「はい!」」
俺はケントと一緒に先ほど話していた場所に行くとあたりの草を刈り取り動きやすいように場所を広げた。
餌のくず肉を針に付け竿をしならせポイントとおぼしき場所に糸をを垂らすと、間髪入れずあたりがあり入れ食い状態が続いた。
途中で俺の竿に大物がかかりケントにも手伝って貰ったが他にハプニングも無く順調に釣果をのばし、30匹ほど釣ったところであたりが止まったので一端拠点に戻った。
俺たちが拠点に戻ると親父がミーアを膝に乗せ一緒になって釣りをしていたが、ちょうど着いたときにかかった物を見て驚いた!
(・・・アレって「ザリガニ」だよな?でかくないか?)
俺の目の前には、30cmぐらいの巨大なザリガニをつり上げる親父とミーアが居た・・・
『おう!アレン戻ったか・・・ちょっとこれを見てみろ!』
そう言われて親父のそばに行った俺が見たのは、昨日親父と一緒に作った「大型クーラーボックス」いっぱいの巨大ザリガニだった。
「うわ~結構釣れてるね~」
『まあな、ココがポイントなのは大人なら誰でも知ってるからな!』
『それより、昨日作ったこの箱!水漏れもしないし良い感じだぞ』
『「リバーシュリンプ」は、きれいな流水で2~3日泥を吐かせないと泥臭くて食えないんだが・・・、馬車や荷馬車で運ぶには普通の桶じゃ浅すぎて逃げたり重かったりで効率が悪いし、しめった草なんかを入れたかごや樽だと弱るので味が落ちるし苦労したが、これだと上手く運べそうだぞ!』
上機嫌で話す親父を見ながら俺は昨日のことを思い出していた・・・
俺が思いついた「大型クーラーボックス」だが、狩りの前に作業室の納戸に入っていた弱冷気の想念法を使った木箱と昨日聞いたスライムの利用法を組み合わせただけだ・・・
弱冷気の木箱は、どうやら俺の兄さんウイリアムが冷やし箱を作る実験で何個か作ったらしいが、親父が自在空間を使えるから必要性もなく捨てるのももったいないから納戸にしまい込まれていたらしい・・・その話を狩りの準備で納戸を明けた時に聞いていた俺は、昨日釣りに行く話が出たとき前世でのレジャーで「そう言えばレジャーにクーラーボックスって付きものだったよな~などと思いだし、ん?そう言えば弱冷気の箱・・・スライムの皮を張ったら「クーラーボックス」に出来るんじゃねぇ?っと思いつき親父と話し合って完成させていたわけだ・・・
「とりあえず成功みたいだね~」「昨日話したときにやけに乗り気だったから何か使い道を思いついたんだとは、ちらりと考えたけど・・・これは予想外だったよ」
『まあな、実際俺もお前も自分の空間が使えるからあまり不便を感じていなかったが、俺たちが使える空間には生き物を生きたまま入れることが出来ないからな!』
『普通の冷やし箱だとリバーシュリンプが死んでしまうし、ただの木箱なら水漏れもや運んでる間の温度上昇でこれまた弱ったり死んでしまうからな・・・』
「へぇ~アレンがこれを考えたんだ~凄いじゃん!」
「まあな~まぐれだけどうまく行って良かったよ!」
一通り話を終えると俺たちも父さんの近くで昼間で釣りをしていた。
ちょうど良さそうな時間になり昼の準備をしていた母さんが近くに来ると、他の人も集まってきて持ち込んだ弁当に母さん手製のスープ、塩をふって串焼きにした魚と結構豪華な昼食時間になった。
朝、家を出るときに母さんが大荷物だったのは親父と同じようにみんなも釣りに来ることを予想してたからだったんだな~
昼飯の後、母さんが入れてくれたお茶を飲みつつ俺は先ほど思いついたことを今夜にでも親父に話してみようと思っていた。
今度の思いつきは、イケスと言うか魚などの養殖だ・・・
俺たちが暮らす村の冬は厳しい!・・・まあ、生活環境じゃなく主に食糧事情で・・・
さすがに飢えた記憶が有る訳じゃないが、アレンの記憶だとかなりの食事が保存食オンリーになるようだった・・・
母さんの料理は美味しいから救われているが、さすがに材料が限られている状況だとレパートリーにも余裕が無くなるよな!
村の食糧事情を改善し美味い物が喰いたいし、パンも美味しいんだがやはり米が食いたい!出来ればうどんやそば・ラーメンも・・・
そんなことを考えていると、親父がみんなに話し始めた・・・
もう少し話を進ませたら「人物紹介」とか、この世界についての「設定」を少し纏めて書いてみようと思ってます。




