098 帰還準備②
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第98話 帰還準備②
店主に案内されて店の奥、在庫が置かれた物置の中にある鉈が置かれたところに来たが・・・
「結構数がありますね~」
「だろ?だから来て貰ったんだがね・・・」
店主が細長い木箱を開けてくれたので、その中に収納されていた在庫の鉈を1つ1つ見ていくと・・・
「あ!これが良いかも・・・」
俺が見つけたのは、どこかの洞窟にある壁画のような・・・狩りをしている様子がデザインされた鉈だった。
「じゃあコレと・・・店に飾ってあったヤツで・・・」
店主から俺が選んだ鉈を受け取り先ほど渡された鉈を返すと、店主は鉈を1振り?箱に戻して1つを持って店の表に向かう・・・
慌てて追いかけ、店頭で飾られていた鉈を受け取るとその鉈が陳列されていた場所に持ってきた鉈を置き・・・
「もう他には欲しい物はないかな?」
そう俺に聞いてきたが・・・横からケントが・・・
「爺ちゃん・・・この長剣はいくらなんだ?」
(おいおい・・・本気で買う気か?)
「ん?そりゃ~銀貨10枚・・・しかし、こういっちゃ何だが・・・どう使うつもりなんだ?自警団でたまに使うヤツが居るし、こっちも商売だ!売れと言われれば売るが・・・狩猟団じゃほとんど使い道はないぞ?」
「銀貨10枚か・・・いや、多少安ければ試してみようかと思ったけど・・・遊びで買うには高すぎるからやめておく・・・」
「まあ、そうだろうな~たまに若い探索者も買うけど・・・使いこなしたヤツなんて聞いたことがないからな・・・」
「お!アレン、何か買ったのか?」
「ん?あぁ~俺はそこにある鉈を買った!結構使い勝手が良さそうだろ?」
「へぇ~結構良い感じだな・・・俺も買おうかな~爺ちゃん、そこの鉈はいくら?」
「ん?それなら銀貨2枚だよ!」
「ん~銀貨2枚か・・・良いや!その鉈を1つ買う!」
「まいどあり~又何か欲しい時はこの店で買ってくれな~ココにない物でも相談してくれれば大抵作れるから・・・」
そう言って見送ってくれた店主に軽く会釈をして分かれると、賢人が思い出したように・・・
「あ!俺、矢を買うの忘れた!」
矢を買うことを忘れずっと長剣を見ていたケント・・・仕方がないので引き返し、事情を知って苦笑する店主に矢を出して貰いケントも無事に矢を追加できた。
「んじゃあ・・・少し町をぶらつくか?こっちはまだ来て無かったし・・・」
「そうだな・・・なんだかんだ言っても領主町は結構広いし・・・面白い物があるかもな~」
その後は適当に色々な店を回って、お土産用にピンクの綺麗な石が付いた髪留めとか・・・花の種や球根、焼き菓子にジャム・・・
(何か考えると女の子向けの物だらけのような・・・間合い良いか・・・)
色々買い込んで宿に戻ると・・・
「お!帰ってきたな~彼女に贈るお土産は買えたか?」
デッカーさんがニヤッと笑いながら話しかけてきたので・・・
「当然ですよ!たぶんコレを贈れば結婚できるでしょう!」
などと軽口を叩いてみたが・・・
「アレンは領主の娘と婚約してるんだろ?愛人でも作る気か?」
などとハリーさんにつっこまれ・・・ぐうの音も言えなくなった。
(教訓、自分より年上をからかう時はもっと慎重に考えて言おう!)
「まあ、冗談の話はそれぐらいにして・・・獣車が予定どうりに着いたから明日の朝は早いぞ!今日はしっかり喰ってよく寝ていくようにな!」
これ以上からかわれては溜まらないので、そそくさと自分の部屋に戻り荷物を整理しておく・・・
(まあ、最終的に全部自分の空間に放り込めばすぐに終わるんだが・・・性格というか、整理しないと落ち着かないからな・・・)
夕食前にひとっ風呂浴びるか・・・そう思って自分の部屋を出てケントを誘おうと部屋の扉にノックをしたが、しばらく待っても返事がないので覗いてみたら・・・鍵は掛かっていないし、中でゴバックさんがいびきをかいて寝ているだけだった。
「ん~先に入ってるのかな?」
下の食堂でお茶を飲んでいた2人に聞くと、少し前に降りてきて俺を待っていたらしいが先にはいるように言って風呂へ送り出したらしい・・・
(ケントが俺も誘わず先にはいるのは珍しいな・・・)
二人に軽く挨拶した後俺も風呂に向かい、札がキチンと出ていることを確認して入ったが・・・脱衣所に入った俺を待っていたのは『ヒャッホ~~』奇妙な叫び声だった。
「何をやっているかな・・・」
呆れた俺の声にも気が付かず、風呂の中で暴れているのは我が親友だ・・・もう一度大きな声で
「何をやってるんだ?」
「お!アレンか・・・見ての通りだ!誰も居ないし良いだろ?」
「まあ、迷惑を掛けていないことは認めるけど・・・何してんの?」
「いや・・・風呂に来たら誰も居ないから・・・ちょっと泳いでみた・・・」
俺の問いで自分の行動が恥ずかしくなってきたのか、ちょっと赤面した顔で小さくそう言ってきた。
「ま、明日は村に戻るし・・・少しはしゃぐ気持ちも判るけど・・・余計な体力を使うより明日に備えた方が良いと思うぞ・・・」
「うん・・・そうする・・・」
俺は静かな入浴時間を過ごし、風呂上がりに冷えたジュースをケントと一緒に食堂で飲んでいると・・・
「ん~だりい・・・飲み過ぎたか・・・」
ゴバックさんがそう言いながら降りてきて風呂に向かった・・・
「やっと部屋で落ち着けるな・・・」
ぼそりとケントがそう呟いたが・・・どうやら寝ているゴバックさんに部屋から追い出されたらしい・・・
(まあ、あのテンションじゃしょうがないかな・・・)
結局時間も中途半端で、部屋に戻ってすることもないし・・・そのまま食堂でくつろいでいたら夕食の時間となり・・・
「迎え酒だ!飲むぞ~~~」
風呂から上がってきたゴバックさんがそう叫んで、晩酌と言うよりは・・・学生の飲み会?って勢いで飲み出した。
本日の夕食は・・・『パエリア!・・・焼き飯?』
(米を喰う文化が・・・あ!ウチの村からか・・・)
大きなフライパン?中華鍋?・・・底の浅いフライパン状の両手持ちの鍋に作りたてのパエリアが入っており、取り皿と一緒にテーブルに運ばれてきたが・・・俺の記憶にあるパエリアの鍋と同じような気がする。
(ウチの村じゃフライパンや浅めの鍋で作ってるのに・・・さすがだ・・・それともどこかの郷土料理として伝わってるのかな?)
後で聞いたら・・・単に大量に料理を作る時、フライパンの形状じゃ安定が悪いので両手で運べるように鍛冶屋で作ってもらっただけで、パエリアとか特定の料理を意識して作った訳じゃないようだったが・・・
肉や魚、ドライフルーツなどが入ってスープで味付けされ炊かれた米・・・美味い!
付け合わせに出された茹でソーセージとポテトフライも美味いし・・・コレは酒が進む気が・・・ちらりとゴバックさんを見ると・・・グビグビ飲んでる・・・
(まあ、明日は獣車での移動だけだし・・・乗りさえすれば安全だからな・・・)
ゴバックさんにつられて飲んでる他のメンバーとケント・・・俺はどうしようかな~そんなことを考えていると・・・
「安心して飲め!明日は絶対に起こしてやっるから・・・」
厨房からケビンさんが現れ俺に話しかけてきた・・・
「明日は村に戻るんだろ?ウッド村で流行ってた米を出して、酒のつまみに良いメニューを夕飯にしたんだ!心ゆくまで飲みつぶれろ!!」
「はい!」
何だかよく判らないが・・・ケビンさんの熱気というか・・・勢いに飲まれて・・・モリモリ食ってグビグビ飲んだ・・・
「ん~ここは・・・宿の部屋か・・・うぅ~~トイレ・・・水・・・」
酔いつぶれた俺を誰かが部屋に運んでくれたらしいが、尿意と喉の渇きで起きてしまったようだ。
「お!起きたか・・・もう少ししたら朝飯が出来るが・・・朝風呂に入って酒を抜いた方が良いかもな・・・それに・・・結構くさいぞ・・・」
ん~俺自身は何ともないが・・・しらふの人間が言うんだし・・・たぶん臭うんだろう・・・俺は素直に風呂に向かったが・・・中にはいるとウチのメンバーが全員そろってた。
又書かなきゃ!頑張ります。




