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【連載版】幸子48歳、異世界転生したら出産中でした!?~後妻だったので産んだ子も連れ子もまとめて可愛がります  作者: よつ葉あき


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28.幸子、叫びと涙の中で


急な大きな声に、思わず体がびくりと震えた。


「だから、何度も言ってるでしょ! 今はお姉さんとお話中なの! 邪魔しないでっ!!」


さっきまでの穏やかな様子が嘘のように、マドカさんが怒鳴っていた。


言われたサチコちゃんは、大きな目を今にも涙があふれそうなほど見開いて──


「うわぁぁぁん!!」


泣き声が響き渡った。

視線を向けると、少し離れた場所にいた赤ちゃんも泣き出し、隣のお母さんが慌ててあやしている。


はっとして周囲を見渡すと、部屋の中にいた人たちの視線が一斉にこちらに向けられていた。

けれど、それは私ではなく、大きな声を上げたマドカさんに注がれている。

「何があったの?」とでも言いたげな、戸惑いと心配の入り混じった表情だった。


その視線にマドカさんも気づいたのか、はっとしたように顔を強ばらせ、サチコちゃんへと視線を戻す。


「……あっ。ご、ごめんね……サチコ。大きな声、出しちゃって」


サチコちゃんはぎこちなく笑い、こくんとうなずいた。


それを確認すると、マドカさんは顔を上げ、通る声で言った。


「急に大きな声を出してしまって、申し訳ありませんでした!」


その一言に、周囲のお母さんたちはほっとしたように笑みを浮かべ、「大丈夫よ」「気にしないでね」と、あたたかく声をかけてくれた。


さっき泣いていた赤ちゃんも、まだぐずってはいるものの、お母さんの腕の中で少しずつ落ち着いてきているようだった。


赤ちゃんの泣き声が次第に遠のいていくのと同じように、部屋の空気も少しずつ和らいでいく。

それでも、マドカさんの頬は赤く、目元には悔しさと疲れの影がにじんでいた。


「……すみません、本当に……最近、寝不足で。イライラしてたのかも」


ぽつりとこぼしたその言葉には、自分を責めるような響きがあった。


「サチコちゃん、それなあに?」


私は明るい声で話しかけた。

サチコちゃんはびくっとしながらも、絵本を抱えたまま、こちらを見上げる。


「えっとね、これ、読んでほしくて……」


やっぱり、お母さんに絵本を読んでほしかったのだろう。


(予想はしてたけど、やっぱり……)


そう思いながら、私はやさしく微笑んで言った。


「楽しそうな絵本だね! おばさ……お姉ちゃんも読みたいな。一緒に読んでもいい?」


危なかった。

思わず“おばさん”と言いかけたけれど、どうにか軌道修正。

サチコちゃんは一瞬きょとんとしたものの、「うん、いいよー!」と笑顔でうなずいてくれた。


私はヤヨイさんにそっと耳打ちする。


「私がサチコちゃんと遊んでくるから、マドカさんをお願い」


それからマドカさんに向き直り、笑顔で尋ねた。


「サチコちゃんと、少し遊ばせてもらってもいいですか?」


「えっ!? ……は、はい」


戸惑いながらも了承してくれたマドカさんに、「ありがとうございます」と軽く頭を下げる。


そして私は、サチコちゃんと手をつなぎ、部屋の端の空いているスペースへと向かった。

ふたりで並んで、絵本を読むことにした。



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