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筋肉姫と魔法使い(仮)  作者: 美海秋


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89/122

89、有象無象は予想外

 戻ってマモルとキキルは、武技を扱うための訓練をしていた。

 キキルに至っては武技の使い方の復習というよりも、新しいものの開発と呼んでいいものなのかもしれない。

 元々キキルは武技を多く扱うことができることもあってか、魔力の扱いは得意だ。

 でも、魔力で武器を形作るというのはかなり難しいし、それを使って武技にするというのはさらに難しい。

 そもそもでいえば、まず武器の形を作ることはできても一瞬しか作れない。


「うまくいかないのお」

「当たり前でしょ、うちの魔力はどう考えてもラスよりも少ないんだから、そうなるのが当たり前じゃない?」

「言っておることは理解するのじゃ。じゃからこそ、斬るタイミングでこうじゃ」

「できるか!」


 ラスは簡単に言ってのけるのは、魔力を使った剣を一瞬だけ作り出すなんてことは容易ではない。

 そんな神業が使えるのであれば、これまでも使っていただろう。

 できないということは、それだけ難しいということだ。


「そもそもマモルはどうなのよ」

「ふ、俺か?そもそも俺には武器を使える才能はない。よって武器を魔法で作るなんてことはできるはずもない」

「なんでそんなに自信満々なのよ」

「そういうことじゃ、仕方ない」

「どうしてラスもそこには納得して、うちにだけ厳しい訓練をやらせているわけなのよ」

「できるようにならんと、強くなれんからじゃ」

「ゔ……」


 ラスに確信をつくことを言われて、キキルは思わず言葉に詰まる。

 確かにラスが言っていることはわかる。

 使えることができなければ、チカにこれ以上ついていくことができないということを……

 特に少し前にあった、自分の力が通用しなくなってしまったときを思い出すと、あんな思いをしたくは絶対になかった。


「でも、こんな高等技術は絶対にできないから!」

「なんでじゃ、やるしかないことくらいわかるじゃろ」

「わかっててもできることとできないことはあるってわからないわけ?」


 わかっていても、できない。

 できないはずなのだが、キキルは考える。

 できないと諦めてしまえば簡単なことなのに、キキルはそれをしない。


「あー、もう!」


 文句を言いながらも何度も新しい技を覚えるために腕を振る。

 結果は同じだ。

 とはいえ、マモルも同じで盾を構えずに魔力だけで盾を作るというのは難しい。

(そもそもどうして武器に魔力が通せない?)

 マモルが今更ながらに考える。


 魔力で扱うものと考えれば、普通であれば武器だ。

 それにうまく魔力を流すことができることが最低条件なのだが、マモルができるのは盾に魔力を流すということだけだ。

 武器ではなく盾にしかできない理由とは何かあるはずだ。

(言ってもなあ、孤児の俺にはよくわからないな。わからないなら、考えても仕方ない)


「盾!」


 右手を出して魔力の盾をなんとか発動するが、やはり何も持たないで魔力の盾を発動することはできない。

 このあたりのことは、キキルと同じだ。

 違うところがあるとすれば、体に盾と同じような鎧だけはなんとか作ることができるくらいだ。

 それは、かなり強固なものではあったが、盾とは違う。

 守ることができるは、自分だけだ。

 これでは、盾を構えていたほうが、盾の後ろにいた人たちを守ることができる。


「くそ、わかんねえ」

「ほら、言ってるじゃん。できないんだって」

「じゃったらどうするのじゃ?おぬしらは強くなるのじゃろ。ほれ、これじゃ!」


 再度ラスは無手で振る。

 一瞬にして作り上げた魔力でできた剣で斬る。

 何度見ても、すごいことだとわかるが、これを真似しろと言われても難しい。

 それもそのはずだ。

 ラスがやれと言っていることは、ラスのように魔力によって体を変化させた人種。

 ラスのような人をオーガなんて呼んでいたが、そのような特別な人であるからこそできる奥義のようなものだ。

 だが、ラスだってキキルやマモルについては見たことがない存在だった。


 全ての武器を扱える存在に、武器ではなく盾を扱う存在。

 ラスだってこの特異な体質によってそれなりに長い年月を生きているのにだ。

 そして、二人の存在というのはラスとマジョの二人をまとめる役割をしているアンノですら、未来を魔法で見たときに本来であれば関わることがなかったものたち……

 言ってしまえば有象無象だ。

 でも、今であればこの存在というものが何かを変えられると期待できるものだ。

 ラスでしかできなかったこともできるのではないかと……

 実際にはできていない。


「考えすぎじゃったか……」


 ラスはそう言葉にする。

 そんな中でキキルは無手でなく剣を手にしていた。

 さすがに無手で先ほどのことを真似することは無理だ。

 でも、キキルは少し前から試していたことがあった。

 普通は武技というものは、各武器で扱うことができるからこそ武技と呼ばれている。

 とはいえ、キキルはいろいろな武技を使えることから、他の武器であっても武技を使えるのではと考えていた。

 いくつかはできることはすでに実践済みではあったが、先ほどラスが使った剣技もできるのではないのだろうか?


「”斬”」


 見よう見まねで、先ほどラスが使った武技を真似する。

 上からの振り下ろしを剣に魔力をのせて……

 一度やってみたもののうまくはいかない。


「うーん、もう一回」


(今度はもっと魔力を込めるタイミングを考えてっと……後は魔力の量も増やしてっと)

 ラスのように魔法で全て作っているわけではなく、武器に魔力を纏わせて疑似的に同じようなものを再現する。


「これで……”斬”」


 威力は弱いものの、予想通り技というものを真似することができた。


「おぬし、それは……」

「え?だって武器なしじゃ、うちには難しいから。武器ありならできるかなって」

「ほお……」


 ラスはキキルの言葉を聞いて、目を瞑って頷く。

(そ、そんなことあるわけないのじゃあああああ!完璧ではないとはいえじゃ、武器を手に持てばできる技じゃないのじゃ……じゃが、楽しくなってきたということじゃな)

 これは鍛えがいがありそうだと、ラスは楽しくなるのだった。

読んでいただきありがとうございます。

よければ次もよろしくお願いします。

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