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筋肉姫と魔法使い(仮)  作者: 美海秋


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85/122

85、魔法の使い方

 チカとアンノが出ていった後、残った四人はラスに紹介される形で一人の女性と知り合う。

 とはいえ、第一印象はこれまで出会った誰よりも最悪だといっても過言ではないかもしれない。


「おう、紹介に預かったスーパーな魔法使い、マジョさんだぞ」

「おぬし、わらわが紹介したんじゃから、酒臭い口を開くでない」

「なに言ってんの?こう見えても、あたしゃいつでも酒臭いよ」

「いや、そこを自慢しろとは誰も言っておらんのじゃ」

「お、そうなのか?何を突っ立ってんだ?飲むか?」


 そんなことを言うと、女性はガハハハッと豪快に笑う。

 手には、匂いからわかる通り酒瓶を持っている。

 さらには、会話の間にも酒を飲むところ見ると、それが当たり前なのだろう。

 だからといえばいいのか、女性に何を話しかけるべきかと誰もが悩んでいたのだが、スイだけはすぐに驚いたように口にする。


「あなたはエルフです?」

「へえ、なんだ種族のことを知ってるのか?」

「少し本で読んだです」

「なるほど、ま、あたしゃたちは文献に載るくらいにはすごいことをしてきたからな」


 自信満々にマジョはそう言葉にする。

 スイやチカは、家でマジョのような人の文献というものを読んだことがあった。

 魔力を膨大に孕んで生まれた存在であり、その魔力によって人体的に影響が出てしまった。

 それを魔人と呼び、さらには人体的特徴から一部の人たちは自分たちを人よりも高尚な存在だと名乗るようになった。

 一つが目の前にいる、普通の人よりも長い耳、そして高い身長を持つエルフと呼ばれる存在だ。


「どうだあ?あたしゃみたいなやつと出会えるなんて、光栄の極みだろう?」


 またマジョは愉快そうに笑う。

 だが、彼女の楽しそうな感じとは裏腹に、全員は他のことを考えている。

 彼女の魔力が大量だということが、わかるからだ。

 髪の色もどういうわけか、黒以外全色が混ざりあっている。


「なんだー?あたしゃのこと気になるのか?」

「はいです」


 マジョの言葉に対して返事をしたのはスイだった。

 まさか、スイが言うとは思わず、三人は驚くが言われたマジョは嬉しそうだ。


「ほお、いいじゃねえか。その理由を聞いてやろうか?」

「これです」


 スイはそう言ってから、自分の口の中からあるものを外す。

 そして見えたのは、牙のような歯だった。


「ほお、立派な牙だな。いいのか?見せても」

「はいです。スイはさらに強くならないといけないです。そのためなら、必要なものは全て使うです」

「ガハハハ!いいだろう、気に入った!魔法を教えてやろう」


 マジョは豪快に笑うと、ついてこいと扉を指さす。

 スイはついていく。

 その姿を見て、キキルもラスに向き直る。


「ラス、うちのこともいいかな?」

「なんじゃ、そういうことなら教えてやるのじゃ。そこの盾、おぬしもじゃ」

「俺もかよ」

「では、よいのじゃな?」

「いや、行く」


 今度はラスが指さした扉へと、キキルとマモルを含めて三人が入っていく。

 そして、家に残されたのはカイ一人だ。

 カイ自身わかっていた。

 自分の魔法というものが、他とは違うということを……


 魔法の中でも、属性というものがないのがカイが使える魔法だからだ。

 他の人とは魔法が違う。

 だから教えられるとすれば全てをわかっているであろうクロだけだ。

 カイもわかっているからこそ、この場所にとどまっていることしかできない。


「そんなことはない」


 前までであればそう考えていただろう。

 でも、今は違う。

 このまま立ち止まっているだけでは、置いていかれることをわかっている。

(だが、どうやる?)

 わかってはいるのに、やることがわからない。

 そして、間違ったことをやってしまった場合、ただのタイムロスになってしまうことをわかっていた。


「なんだあれ?」


 目に入ったのは、黒い本だった。

 何故か吸い寄せられるようにして、その本を手に取ると中を開いた。


「何も書かれてない……」


 でも、そこには何も書かれてはいなかった。

(これだけいい本なのに、どういうことだ?)

 カイはすぐに疑問に思う。

 本は、かなり年季が入っているようにみえるのに、中には何も書かれてはいないからだ。

 普通であれば、最低でも何かが書かれているはずだ。

 例えば、魔法のことなど……


「なんだ?」


 カイが考えたのは、魔法のことが書いてあればいい。

 それだけなのだが、本が光ったと思うと、これまで何も書かれていなかったはずの本に内容が書かれていた。


「これは!って、くそみたいな内容だな」


 すごいことが書いてある、そう考えて内容を読んだものの、書かれている内容というのは、まさに子供だましのようなものだ。

 魔法は誰でも、どんなものでも使うことは本当であれば可能だ。

 さらにいえば、魔法なんてものはどこで発動するのか、それさえわかっていれば簡単に扱える。

(なんだよ、適当な内容は……)

 急に浮かび上がったからこそ、内容に期待したというのにカイはかなりがっかりとする。

 何もいいことは書いていない。

 そう考えて、本を閉じた。


「なんだ?」


 閉じたときだろうか?

 一枚の紙が落ちる。

 何かが書かれているようで、手にとって内容を確認する。


「”魔法は使え”って、これだけかよ……」


 内容を読んだところで意味はわからない。

(本当にそうか?)


「魔法をどうやって発動するのか、そればかりを考えていた。そもそもそれが違うのか?」


 カイは、魔法自体が間違っていると考えた。

 そこで一つの可能性に閃いた。

 すぐにそれを試すべく、部屋にある適当なものに手を伸ばすと、魔法を使うべく魔力を体に巡らす。

(イメージは元に戻す……)

 手の先にあるのは、先ほどマジョが置いていった空き瓶だ。

 中にあったものを想像しながら、戻るようにと頭で考え、そして魔法を発動した。


「何も起こらない?違うのか?」


 考えていたようにならずにカイは悩む。

(どうやったら成功する?)

 考えは合っているはずだと、結論を出していたカイは今度はその瓶を割る。

 そして再度魔法をさせるために、手をかざすと……

 瓶は巻き戻されるようにして元に戻るのだった。


「はは、まじかよ……」


 カイは驚きながらも、魔法の使い方を考えるのだった。

読んでいただきありがとうございます。

よければ次もよろしくお願いします。

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