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筋肉姫と魔法使い(仮)  作者: 美海秋


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79、意志を貫く力と

 誰もが、それに驚いた。

 ある程度の状況を読めている仮面の男ですらも、これには驚く。

 金の魔力を纏ったチカは、まるで相手の魔力を抑えこむように見えたからだ。

 実際には何が起こったのか、誰にもわかっていない。

 チカ自身も、これが何なのかわからなかった。


「チカ……」

「キキル、スイのことお願いします」


 気絶したスイをキキルの元まで運ぶとチカは、その動きを加速させる。


「はああああ!」


 一瞬で間合いを詰めたチカは、握りしめた拳でスフィンクスの一体を殴る。

 すると、どういう原理なのか誰にもわかってはいなかったが、殴られたスフィンクスの一体。

 一番後ろにいた石化の魔法を使う四足歩行が、金色の輝きに体が包まれたと思うと、全身がゆっくりと崩れる。

 まるで人造物ではなく砂であったように……


「なんだと……」

「すっご!」


 そうして、スフィンクスの一体を倒した後は簡単だった。

 フォーメーションが崩れたスフィンクスは、すぐに未確認の敵であるチカに攻撃をしようとするが、時は遅い。


「無駄だ」


 仮面の男の声とともに、水の紐のようなものでスフィンクスは拘束される。

 拘束されたスフィンクスを見てチカはその拳を再度叩き込む。


「はああああ!」


 もう一体がやられたことで、最後に残っていた大型の剣を持っていたスフィンクスが、チカを狙ってくるが……


「えー、あたいだっていいとこ見せとかないとねー」


 そんな声とともにシシルが、その大剣を振り下ろしていた。

 チカには見えたが、その斬撃は一瞬のうちに四回も斬っており、スフィンクスは体がバラバラになるとゆっくりと溶けていく。

 こうして、人造物を倒した。


「あなたは……」


 チカは仮面の男に質問をしようとするが、男はチカの後ろを指さす。

 キキルたちのことを言いたいのだろうか?

 チカがそう考えたときには次に、上を指さす。

 すると、いつかのように迷宮が崩壊を始めるのが見える。

 仮面の男と話さないといけない。

 そのことはわかっていたが、時間はあまりない。


「また会えますか?」

「目的が同じであれば、交わうこともあるだろう?」

「そうですね」


 チカはそれだけで納得する。

 後は合流するだけだと、踵を返そうとしたときにシシルに今度は話しかけられる。


「すっごい力だったねー。今度はあたいと模擬戦でもする?」

「え?」

「ふふーん、冗談冗談。ね、任せるね」


 シシルはそう言って、視線をチラッと動かす。

 それだけで何が言いたいのかをチカは理解すると頷いた。

 シシルは嬉しそうに去っていくと今度こそチカはキキルたちの元へと行く。

 スイはまだ目を覚まさない。

 背負って崩れ始めたこの迷宮から抜け出すことも可能なのかもしれないが、失敗してしまうとチカ自身だけではなく、スイも巻き込んでしまう。

 そんなことにはなりたくないし、スイを巻き込みたくはない。


「速く脱出しないと!」

「行くぞ」

「ああ」


 急ぐ三人とは別にチカは落ち着いていた。


「あたしにできること……」


 チカは考える。

 体についている金色の力というのは、まだ完璧には理解していない。

 でも、黒い力よりも何ができるのかはわかる。


「大丈夫です。あたしに任せてください」

「チカ!?」


 (まと)っている金色の力を上に向ける。

 全員を包みこむように金色が広がると、その力は崩れ行く迷宮に当たると、迷宮は消えていく。

 迷宮というのは、クロたちのような存在が人造物たちを封印するために魔力で作っていたのだ。

 よって、この金色の力であろう、魔力を消してしまうことができるのだ。


「すごい……」

「だな」


 キキルとマモルが思わず声に出してしまうほどには、すごいことだった。

 カイは、声も出ないほどに驚く。

 そうして、五人は迷宮の崩壊すらもなんなくやり過ごすことができた。


「やりました」


 チカはやりきったと四人に笑いかける。

 あれ、力が……

 でも、ドッと疲労感が押し寄せると、ゆっくりと倒れた。


 ※


「あ、崩れた」


 振り返ることなく口にする。

 その両手には、気絶した人がいる。


「仕方ない。封印を解いた後は、勝てば残り、負ければ崩れる。最初からわかってたこと」


 相変わらずの抑揚がない口調だ。

 だが、どこか満足気なのは手元にいる人のおかげか……


「迷宮で、こんな存在に出会えるなんて、ラッキ」


 言葉には嬉しさが出ているのだが、表情などが動くことはない。


「ようやく縛られることはなくなった。やりたいことやる」


 今度こそはと決めていたこと、それをやり遂げるために、その場を後にするのだった。


 ※


「見つからないか」

「しょうがないじゃん、割り込んだんだからさー」

「わかっている」


 仮面の男は、頷く。

 正直なところ、計画通りではない。

 とはいえ、収穫もあったおかげでこれからの計画はもっと早くできるからだ。

 一つが狂ったとしても、最後に修正をすればいい。

 そのことを仮面の男はわかっているつもりだ。


「次へ行く」

「わかってるー」


 二人は、次の迷宮へと進むのだった。

読んでいただきありがとうございます。

よければ次もよろしくお願いします。

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